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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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※注 少年の見た犯行が描かれます。結構キツイかもしれません。


Scene5:検証


篠塚少年の脳の検証は、失踪した4日前から始められた。

友人達と語り合う様子、放課後、クラブ活動のテニスをする姿・・その後の運命とはかけ離れた、ごく普通の高校生活が、そこにはあった。

ラケットやカバンを自転車に積み、学校を出る。
夕闇が迫るその中を、自転車は軽快に進んでいく。
ふと、立ち止まった。

「何だ?」
岡部が画面を覗き込む。

少年が振り返ると、そこに1台の車が止まっている。
呼び止められたようだ。
陰になって、顔は輪郭しかよく分からないが・・

「エヴァンズだ」
岡部の背後で見ていた、フォスターが言った。

身振り手振りを交えたエヴァンズの話に、少年は耳を傾け、また自転車を走らせた。
ここで一度別れたのかと思うと、信号待ちの時に、少年は一度後ろを振り返った。
そこに、先程の車がある。

「後を付けられて逃げているのか?」岡部が言うと、
「いや、そんなスピードではない。これは・・誘導している」薪が言った。

辺りはすっかり暗くなり、町外れの工場跡まで来ると、自転車は止まった。
少年が振り返ると、エヴァンズが車から降り、笑顔でお辞儀をしている。

少年はエヴァンズを背に、また自転車を走らせようとした、その瞬間、
「あっ!!」岡部が叫んだ。

殴られたと見られる、光の点滅。
そして、少年は目を閉じた。

「同じ手口だ」フォスターが言う。

続けて薪が話した。
「資料によれば、アメリカでの事件も、自転車に乗った少年に道案内を頼み、その後ろに車で付いていく。あるいは、車を運転している少年に、自分は徒歩で近付き、山道で車が故障したから送ってくれと言って乗り込む。けして、自分の車に相手を乗せることはしない」

「エヴァンズの車に乗れと言われれば、少年達も警戒する。だが、自分が運転する車や自転車での誘導となれば、困った人間を助けようという気持ちも沸き、警戒心は薄れる。しかし、巧みに人気の無い場所に誘導させれば、状況は同じだ」

「何て奴・・」岡部はつぶやいた。
人の善良さに付け込む、卑劣な犯行・・・。

「岡部、解像度を上げて、車のナンバーを確認しろ」
薪の指示に、岡部は再び、画面に向かった。

「薪さん、画が出ました!」今度は、青木が声を上げた。
青木の操作する画面を、薪とフォスターが背後から見つめる。

「かなり長時間、目を閉じていたようで・・今、開いたところです」
殴られたせいで意識が混濁しているのか、なかなか視界が定まらない。

ぼんやりとしたその向こうに、テーブルで、食事をしているエヴァンズの姿が見えた。
袋に入ったパンや、即席のスープ等を、ガツガツと食べるその姿が。

少年は、視線を落として自分の体を見た。
下着しか身に付けていない。
と、その瞬間-

視界が揺れ、完全に横たわった。
エヴァンズが気付いて、近付いてくる。

微笑みを浮かべているが、先程の笑顔とは全く違う、恐ろしい顔。
少年の恐怖が、伝わってきた。

視界がまた、元に戻った。
もう一度少年は自分を見下ろす。
椅子に座り、手は後ろ手に縛られているようだ。

エヴァンズは、椅子ごと倒れた少年を元に戻すと、改めて少年を見つめ、そして・・手にしていたナイフを、握り直した。

エヴァンズを凝視する少年・・ほんの数秒後、エヴァンズは立ち上がり、またテーブルに着くと、何事も無かったように、食事に戻った。

少年は、自分の腕を見つめた。
一筋、ナイフで裂かれた傷があり、血が滴っている。

青木も、薪も、蒼ざめ、絶句していた。
この後、最終的に32箇所の傷を付けられるまで、少年は、どれ程の恐怖を味わうのだろう・・。

「・・青木、ナイフが一番よく見える画像をプリントアウトしろ。凶器は、国内で入手した可能性が高い。それから、少年の目から見える物を、全てリストにしろ。家の間取り、家具、エヴァンズが食べている物・・詳細に、全てだ!」

他のメンバー達も、4日の間に行われる、繰り返されるエヴァンズの凶行、少年の恐怖を、見た。
それは吐き気をもよおす程の、辛く、苦しい画だったが、それでも彼らは、粘り強く、捜査を続けた。

そして、最後の日-

もうろうとする視界の向こうで、エヴァンズがうろうろと歩き回っている。
冷蔵庫を開けて覗き込むところを見ると、食料が底を付いたのだろうか。
エヴァンズは、財布を取ると、一度、その場を出て行った。

が、しばらくすると、思い直したのか、また戻り、何か、黒い布のような物を手にして、少年に近付いた。
少年の視界が途切れた。
目隠しをされたらしい。

それから、1時間以上立った、ある瞬間、視界が戻った。
目隠しが取れ、真っ暗な、いや、月明かりだろうか、かすかに周囲が見える、森の中を、少年は走っていた。
暗闇の中、つまずいて転び、何かにぶつかり、また転ぶ。

それでも走るのをやめなかった。

遠くに明かりが見えた。
その明かりは、何か、画面を通して見ている第九メンバーにさえ、ホッとさせる物があった。

そして、その明かりに向かって走っていくと、突然、視界が開けた。
そこは道路だった。そして-

「アッ!!」
画面を見ていた全員が、それが何を示すのか、分かっていた。

少年の見た物は、これで全てだった。

どういう方法かは分からないが、彼は監禁から逃げ出し・・たぶん、明かりの見える方に行けば助かると思い、その明かりに近付いた瞬間、車にはねられたのだった・・・・



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コメント

■ 

あ~~~~(;;)
少年が可哀想すぎる!!!
脳を見てる時点で助からないのは分かってるんだけど、
読みながら、助かってほしい!とか、逃げれて良かった~!とか
思っちゃって・・・(TT)
ハラハラしながら読みました。

超大作だからすぐには終わらないんでしょうね♪
毎日の楽しみができました(o^^o)

■ 

○コハルビヨリさま

コメントありがとうございます。

私もこの回は書くの辛かったです(TT)
でも外せないシーンだし・・・

こういうシーンって、書くのに時間がかかる上に、書き上げても満足感が少ないんですよね・・
薪さんが誰かとからむシーンとかは、あっという間に書けるのに!(笑)

>毎日の楽しみができました(o^^o)

・・そ、そう言っていただけると・・(照)
が・・頑張ります!

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