カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
Scene26:前方


青木が去ったあと、小池は言った。
「あいつ・・これで、日本に帰るんですね」
「そうだな」
薪が言う。

岡部も、薪に向かって話す。
「ラウの目的は、あいつから拉致監禁の証言を取ることで、ボスに不利な材料を、揃えることなんでしょうか」
「きっと・・そうなんだろう」

「いいんですか・・?」
「今更、何を言われ、どうなったところで、僕はもう構わない」
薪は、静かにそう言うと、目を伏せた。

・・・が、ふと、目を上げ。

「岡部」
「はい?」
「もし・・ことが、ラウの思惑どおりに運ばなかったら。もし青木が・・ラウの役に立たなかったとしたら、どうなると思う?」

薪は、瞳を揺らし、アゴに手を当て、思案する仕草を見せた。

「役に立たないって?・・」
岡部は、一瞬、考えた。
それは、つまり・・・

「・・そうですね。ラウは、自分の利益しか考えてない男です。もし、あいつが役に立たないとなったら、その場で放り出すでしょうね」
「・・・・・・」

揺れていた薪の瞳が、ピタリと止まった。
次の瞬間、薪は足を踏み出す。

上着を手にし、部屋を出て、早足で歩きながら、言う。
「岡部、車を出せ!」
「あ?・・・・はいっ!」

岡部は慌てて、薪に並ぶ。
二人は車に乗り込む。
車はビルの外に出て、走り出す。

陽は高く昇り、車の中に光を降り注ぐ。

薪の胸の中に、鈴木の声が、木霊していた。
鈴木は、言ったのだ。

「薪。オレは、お前の傍に居ると、その約束を破ったけれど。でも、お前の傍には、彼らが居る。岡部に、今井、宇野、曽我、小池・・他の幹部達や、社員達、そして・・・この青木も」
そう言って、鈴木は、薪の傍らに居る、青木を見た。

「薪は、彼らを、どう思っている? 大切か? 信じているか?・・だったら、彼らもお前をどう思っているか、分かるだろう?」

鈴木・・・
薪は、胸の中で、鈴木に答えた。

僕はもう、どうなってもいいと思った。
全てを失うのだと。
それで・・良かったのだと。

けれど、鈴木。
僕は、こんなことで、潰されたりはしない。
全てを失うなんてことは・・無い。

何故なら、僕は、僕には・・・・

“本当は宇野だって、ボスを狙うような奴は仕留めたかった筈です。でも、ボスがそれを望まないことが、分かっているから”
“皆、ボスの身を心配して、気が気じゃないんです・・・あんまり、無茶はせんで下さい”
“君を探しに行くと言って聞かなくてね、我々を手こずらせてくれた”

声が聞こえる。
様々な、声が。

そして・・・・

“信じているのは、あなたもでしょう? 薪さん”
“もう一度、あなたに会わなければいけないような、気がしていました・・・あなたを、傷付けてしまったような気がして”

“・・信じていいですね”
“薪さん一人じゃ、危険です・・・一緒に行きます”

“薪さんは、そのことを怒っているんじゃ、ありません!・・・あなたが、一人で去ってしまったから・・”

「あいつ・・」
そうつぶやきながら、薪は、微笑みを浮かべる。

「?・・薪さん?」
ハンドルを握りながら、岡部が、不思議そうな顔をして、助手席に座る、薪の様子を伺う。

「そうだ、岡部。お前に、言いそびれていたことが、あった」
薪は言った。

「お前、僕が、まるで死に急いでるようだと、そう言ったが・・・」
「・・はい?」
薪は顔を上げ、そして、言った。

「そんなことは無い。僕は、死に急いだりはしない。もし、死にたかったら、わざわざお前を、こうして、連れ歩くようなことは、しない」

「え・・・」
薪の言葉に、岡部は一瞬、動きが止まる。
それって・・・。

岡部は、胸に込み上げる物を感じて、ちらりと、薪の顔を見た。
薪は、生き生きとした表情で、真っ直ぐに前を見ている。

ガラスから差し込む、光を浴びて。

・・・ずるいですよ。
岡部は、心の中で、つぶやいた。

川沿いの道で、また、一台の車が止まる。
今度は誰も、転げ落ちては来ない。
その代わり、助手席と運転席の双方から、人が降り立つ。

助手席から降りた者が、運転席から降りた者に向かって、何か一言話し、土手に設けられた、階段を降りて行く。

階段を降り切ると、街灯が並ぶ、遊歩道がある。
その遊歩道を少し戻った先に、木製のベンチが、いくつか並んでいる。

そのうちの一つに座る男が、近付く者の姿に、気付いた。





関連記事

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/580-981c62bd

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |