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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※これは、「秘密」原作のあるセリフから、過去のシーンを想像した物ですが、私かのんの完全な妄想であり、清水先生の描く世界とは異なる物であることを、どうかご了承下さい。


オリジナルストーリー

「疼き」



それは、見えなかったのか。
それとも、見ようとしなかったのか。

「おい、青木」
「んー・・」
「青木!おい、起きろよっ!」

「うあっ・・あ?」
青木は、慌てて顔を上げた。

目の前には、小池の顔。
少し離れたところから、曽我や宇野も、こちらを覗き込んでいる。

「ここで寝るなよ。また薪さんの雷が落ちるぞ」
「はい。・・ありがとうございます」
青木は、目をこすり、口元を触った。
幸い、ヨダレはたらしていない。

MRI画像の映るモニターの前で、うたた寝してしまっていた。

「あれ・・?」
青木は、頭を抱えながら、つぶやく。

「何だ?」
小池に問われ、
「いえ、何でも・・」
と、青木は首を振る。

何か、夢を見ていたような気がした。
だが、よく覚えていない。
覚えていないが・・それは、何とも甘く、でもどこか・・・

ふぅっ・・と、青木は、ため息を付いた。

青木が、第九に配属されてから、半月が立つ。
遂に憧れの第九に来られたと思ったら、いきなり、28人殺しの犯人、貝沼が絡む事件の捜査で、大変な思いを味わった。

そして、その事件が解決したのも束の間、次々に新たな事件の捜査が入り、ろくに帰宅する間も無く、脳の検証をする日々が続いている。
仕事は心身共にキツイが、そんなハードな仕事に一丸となって立ち向かうかのように、第九メンバーの結束力は強く、青木も、先輩達に親身に教えられ、導かれ、ここまで来ることが出来た。

今、声を掛けてきた小池も、多少、口の減らないところもあるが、何かと新人の青木を気遣い、面倒を見てくれていた。

その小池が、「雷を落とす」と言った人物。
小池は、彼を非常に恐れている。
いや、小池だけではない、第九メンバー全員が、彼を恐れ、そしてその元に、集結しているのだ・・・

「薪さん!」
部屋に入ってきた人物に向かい、宇野が、声を掛け、近寄った。
「被害者の画像から、犯行現場の特定が出来ました。これなんですが・・」

彼が、薪警視正。
第九の室長で・・そして、誰もが一目置く存在。

「青木。お前が見ている方は? 同じ現場か?」
「あ、まだ・・」
薪の問いに、青木が言いかけ、その瞬間、次に何が起こるかを予測して、室内に緊張が走る・・

「青木!お前は一体、何をやってる!どれだけ時間を掛ければ気が済むんだ!!」
薪の怒声が響き、その場に居た全員が、身を固くした。

「はいっ!・・・」
青木も身を縮め、返事を返すと、慌てて目の前のモニターに向かった。
薪の言い方はキツイが、確かに、寝入ってさえいなければ、とっくに見終えている筈の項目だ。
薪には、いつも、全てを見抜かれてしまう・・・

「まだ、記録は更新するみたいだな」
薪が室長室に入っていった後、曽我が、青木を見て、つぶやいた。
「・・新人の在籍記録ですか? まだ、辞めませんよ」
青木は、モニターから目を離さずに、言い返す。

「あれ以来、薪さん、青木に容赦しなくなったもんな」
「でも、よく続いてるよ」
先輩達の会話を、青木は無視して、モニターを見続ける。

「あれ以来」の「あれ」とは、青木が、ヘリコプターの操縦席を奪った件だ。

そう、それまでは、自分のことを「君」と呼び、「君、この仕事、あわないんじゃないかな」などと、静かに話しかけていた薪が。
「死ぬなら一人で死ね!バカ!お前、一体何のために・・!」
ギリギリのあの状況で、薪はそう叫んだ。

あの時からたぶん、薪と自分の関係は、変わったのだ。

どう変わったのか。
そう、容赦なく怒鳴られるようになり、しょっちゅうバカと言われ、そして・・・・

「青木、来い。運転しろ」
ある日、青木は薪に呼ばれ、共に、外に出た。

「遺体を、引き取りに行く」
本来なら、それは、第九メンバーの仕事ではない。
だが、亡くなった人間の脳を見るという、非常にデリケートな問題であることから、第九の人間が直接伺い、遺族の許可を得て、そのまま引き取ってくる場合もある。

「そこで停めろ」
薪の指示で、青木は車を停めたが、周囲には、一軒の家も無かった。

「目的地は、この先だ」
車を降りると、薪は言った。
そこは、鬱蒼とした森の入り口。

こんなところに・・・?
青木の疑問をよそに、薪は、さっさと森の中へと、入っていく。
青木も、慌てて後を追う。

歩を進めるごとに、道路を行き交う車の音は、背後に消え去り。
風に吹かれる、木々のざわめきだけが、辺りを満たしていく。

青木は、この風景を、どこかで見たことがあるような、気がした。
確か、「ナウシカ」と同じ監督の・・あれは、何てタイトルだった?

ほの暗い森の中、薪は先へと進む。
その背中を、青木は、改めて見つめた。

つむじが見える程に低い位置に、小さな頭。
華奢な肩。
細い背中。

正面切って怒鳴られる時は、とてつもなく恐ろしいのに。
こうして、背後からその姿を見ていると、その姿かたちの小ささを、感じる。
そして・・こんな小さな身体で、あの第九を束ね、自分達を率いていることを、改めて、思う。

部下達を叱り付けながら、その実、内面に大きな傷を負い、時に気を失い、また、自分の目の前で頭を抱え、号泣していた姿を、思い出す。

小さな身体に、傷を抱えながら、大きな重荷と責任を背負い、前を歩く、薪・・

木漏れ日が降り注ぎ、薪の姿を照らす。
薪は、どんどん前へ進む。
その姿が、消え入りそうになって・・・

「薪さん・・!」

「・・青木?」
薪が、振り返り、青木を見上げた。
その瞳は、驚きに、大きく見開かれていた。

「あ、あの・・」
青木は、その瞳を見て、うろたえたように、言った。
「何だか・・薪さんが、このまま消えてしまうような、気がして・・・」

呼びかけると同時に、自分は、青木は、薪を、背後から抱き締めていた。
気が付いたら、自分の腕の中に、薪の身体が、あった。

自分を見上げる、大きな瞳。
腕の中に、スッポリと納まってしまう、華奢な身体。
その温もり。
そして・・

「っ・・!!」
青木は、その柔らかな身体の中に、確かに膨らんでいる部分があることを、腕の中に、感じた。
「え、まさか・・!?」
驚く青木に、薪は、青木の腕から、そっと身体を離すと、改めて向き直り、言った。

「気が付いたか」
「だっ・・えっ・・何故・・・!」
青木は、まるで金魚のように口をパクパクと開閉し、それ以上、言葉が出なかった。

「何故僕が、男として、生きているかって・・?」
薪は、じっと青木を見上げる。
「分からない?」

「え・・」
青木も、薪を見つめた。
心臓が、バクバクと音を立てている。

「僕が女だと分かったら・・どうなる?」
薪はそう言うと、青木に、身体を寄せた。
薪の胸の膨らみが、再び、青木の身体に伝わる。

「あ・・」
青木は、カーッと熱くなる自分を、感じる。

と同時に、デジャヴを感じた。
そうだ、あの夢だ。
自分はあの時、こんな夢を見ていたのだ。

今見ている光景は、夢と同じ・・・

今や薪は、青木の胸にピッタリと身体を寄せて、その両腕を、青木の背中に回し、その小さな顔を上に向けて、青木を見つめている。

その大きな瞳は、潤んで揺れ。
ふっくらとした唇は、赤く染まり、艶めいて。

その唇が、かすかに開き、甘い吐息が、漏れる・・
吐息と共に聞こえる、声。
「青・・木?」

「ま・・!」
背中を貫くように、電流が走る。
体中の血がたぎり、心臓が早鐘を打つ。

「ま・・薪さん、オレ・・!」
青木は、薪を、腕に掻き抱いた。

腕の中に納まる、細い細い身体。
強く抱き締めたら、折れてしまいそうだ。

そう・・折れてしまいそうな、そんな、この人を。

あの時から、自分は、容赦なく怒鳴られるようになり、しょっちゅうバカと言われ、そして・・・強く、とても強く、そしてモロいこの人を、オレは、この腕で支えていきたいと、そう・・・

「薪さん・・薪さん! オレは・・!」

ピピピピピピピピピピピ・・・・・

森の中にはそぐわない、電子音が流れる。
・・・気が付くと、目の前に、殺風景な天井が、あった。

「・・・・・・・」
青木は、セットしておいたケータイのアラームを止め、上半身を起こした。
そこは、仮眠室のベッドの上。

連日の捜査の中で、メンバー交替で睡眠を取っていたのだ。

ふーっ・・・
青木は、大きくため息を付いた。

自分は、二重の夢を見ていたのか・・・。

あり得ないこととは言え、何とも甘い、不思議な感覚が残る。
そしてどこか・・

青木は、自分が、寝汗を掻いていることに気付いた。
着替えた方がいい。
家から持ち込んであるシャツを取り出し、その場で、汗を吸い取った服と、取り替えた。

「おう。青木」
「眠れたか?」
「はい。ゆっくり休ませていただきました」

先輩達と会話を交わしながら、青木の目は、自然と、その人へと向かう。
そこに何人居ようと、真っ先に、その姿が目に入るのだ。

青木の視界に入った薪も、顔を上げて、青木を見る。
そして言う。
「青木。お前の担当だが・・」

青木は薪に、薪は青木に歩み寄り、立ったまま、薪は書類を手に、青木に話しかける。

青木のすぐ目の前に、小さな頭と、つむじが見える。
その下には、長い睫毛に縁取られた、大きな瞳。
それは、ついさっき、夢の中で見た物と同じ。

だが、その瞳は、今は、潤んではいない。
明確な意思をたたえて、鋭い視線を放っている。
唇も、赤く艶めいてはいない。
桜色のその唇が、ハッキリと言葉を形作り・・・

「青木!!」
「あ?・・」
「今の話を、もちろん、聞いていただろうな?」
「あ・・・・・」

青木が気付くと、周囲のメンバー達はすっかり蒼ざめ、こちらの様子を伺っていた。
「あの・・あ・・」
青木の背筋にも、冷たい物が降りる。
間髪を入れず・・

「このバカっ!!まだ眠ってるのか!目を開けて寝る位なら、さっさとここから出て行けっ!!」
「あ・・すみませんっ!!」

薪に怒鳴られ、謝り倒し、周囲の同情の視線を浴びて・・・
やっと解放され、自分の席に戻ると、青木は、頭を抱えて、仕事を始めた。
夢の中でも、現実でも、薪の怒声を浴びるとは。

・・だが、夢の中のように、その相手がもし、女性であったなら、状況は、違ったかもしれない。
そう、女性上司に仕えるとなれば、日々はもう少し、楽しくなったかも。
青木はそんなことを思い、そして、そんな自分に苦笑する。

でも・・・
青木は、チラリと薪を見やる。

すっくと背を伸ばし、部下達に指示を出す、その人を。

薪は、紛れも無く男だ。
自分が憧れてきた、第九の室長だ。
そして、そんな上司と、目をかけてくれる先輩達に囲まれて、こうして仕事をこなすことが、今の自分にとって、一番の幸せなのだと。

そう、青木は、改めて思った。
そして、軽く頭を回し、目を見張ると、目の前の仕事に集中し始めた。

青木は、分かっていなかった。
いや、あえて、見ようとしなかったのかもしれない。

夢の中の、甘い記憶。
自分の上司が女性だったらと、単純に、それを喜ぶ自分の、心の奥に。

まるで、森の中のように、ほの暗い、心の深淵に。

説明のしようのない、うずきが、宿っていることを。




疼き 終





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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったCさま

○7/9に鍵拍手コメント下さったCさま

コメントありがとうございます!

早々にコメントいただき、嬉しく思いました。
レスが遅くなりまして、申し訳ございませんでしたm(_ _)m
プライベートがちょっと立て込みまして、「後書きを書いてからレスを」と思っておりましたら、後書き記事が遅れまして、結局その前にレスを書くことに・・(><)

そうですよね。
薪さんがもし女性だったら、青木はきっと、地位や年の差なんて、ものともせず・・

男性だからその気持ちに自覚が無いだけで、結局それだけ青木は、性別に関係なく「薪さん」という人間に惚れこんでいるのだと思います。

薪さんが女性だったら、青木が岡部さんや他の第九メンバーに激しく嫉妬・・してほしいものです!!(←青木に嫉妬してほしいが為に、創作「狂風」を書いた人)

青木は、なまじ最初の一週間で薪さんと逃避行したり、一緒に鈴木さんの脳を見たりして、薪さんに近付いてしまったが故に、そのありがたみが分かって無さ過ぎると思います!

青木、君はどれだけ羨ましい位置に居ることか。
薪さんの性別に関わりなく、少しは嫉妬してみろ!

・・と思ってしまいます・・・。

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