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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※清水先生の作品とは、一切関係ございません。


オリジナルストーリー

「瞳」


前編



駅から、人が溢れ出た。
その多くは、仕事に向かう通勤客、それに、近くの大学で、国家公務員試験を受ける、受験生だ。

この日の天気は、快晴。
5月上旬の爽やかな風が、人々の間を、すり抜けていた。

「キャアッ!」
悲鳴が、響いた。

そして、人込みの中を、押しのけるように、走っていく男。
「泥棒っ!」
「捕まえて!!」
「どけっ!!」

矢継ぎ早に、声がする。
人々は振り返り、けれど状況が呑み込めず、あるいは関わることを避け、驚いた様子で、逃げる男から身を反らす。
そして彼らは、男の後ろから、もう一人、それを追う、背の高い青年の姿に気付く。

2人の男が、必死に走り抜け、けれど人込みに思うように進まず、そして・・

ダンッ!!

突然、逃げていた男が、その場に倒れ込んだ。
男が驚きに目を向き、再び立ち上がろうとしたその時。
追っていた青年が、肩を掴まえ、覆いかぶさった。

「このっ・・!」
青年は、男が抱えていた、バッグに手を掛ける。
「チッ」と男は舌打ちを鳴らし、バッグを離して・・

逃げ掛けた男を、今度は、駆け付けた警察官達が取り押さえた。

「グウ・・」
観念したように、ノドを鳴らす男。

「ほら。来い」
引ったくり犯は、警察官に連れられて行く。

そこに、通勤途中と思われる女性が二人、駆け寄った。
その女性達に向かい、その場に残った警察官は、青年が手にするバッグを指して、言う。
「このカバンの持ち主ですか?」

「そうです」
女性の一人が言い、青年は、バッグをその女性に返した。

「ありがとうございました」
「いえ・・」
女性に頭を下げられ、首を振りながら、青年は傍らに目をやり・・

「おい、待てよ!」
その場を立ち去ろうとした、少年の腕を捉え、引き留めた。

少年は、一度目を見開き、それからチラリと相手を見上げ、立ち止まる。
そして小さくため息を付き、自分の腕を掴む手と、相手の顔を交互に見やる。

それを見て、青年は、少年の腕から手を離した。

傍らでは、警察官が、被害者の女性と話している。
「お手数ですが、調書を取りたいので、一緒に来ていただけますか?」
「分かりました。会社に連絡してもいいですか?」
「どうぞ」

女性がケータイで話し始め、警察官は青年に向き直り、言った。

「お手柄だね。君、名前は?」
「鈴木克洋と言います。〇大〇学部の学生です」

「君は?」
警察官に問われ、少年は肩をすくめた。

「僕は何も・・」
「何もじゃないだろ。君が、あいつの前に足を出したから、あいつは転んで、掴まえることが出来たんだ」
鈴木はそう言い、目の前に立つ少年を、見つめた。

白い肌と、栗色の髪を持ち、小柄で、華奢な身体つき。
一見、中学生位かと思える容貌だが、その表情は、大人びた知性を湛えている。

・・高校生だろうか?
鈴木は、目を細め、思う。

少年は、鈴木から目をそらし、周囲を見渡しながら、立っている。

「そうか。君も犯人確保に協力してくれたんだね。名前は?」
「ですから。僕は大したことはしておりません」
警察官の言葉に、少年は重ねて答えた。

「では、鈴木君と言ったね、君、ここに住所と連絡先を・・・」

警察官や女性達が立ち去ると、鈴木は、少年に向かって、言った。
「ありがとう。君のお陰で、助かった」
「何故、礼を言う」
「え?」

予想外の相手の返答に、鈴木は、目を丸くした。

「何故、お前が礼を言う。バッグを引ったくられたのは、赤の他人だろう?」
「あ・・まあ、そうだけど」

少年は、行き交う人々を見渡すと、言った。
「悲鳴を聞いても、泥棒だと声が上がっても、誰も手を出そうとはしない。皆、見て見ぬフリだ。学生だと言ったが、今から、お前も試験を受けるんだろう? そんな大事な時に、何故、面倒に関わるんだ?」
「それは・・」

鈴木にしてみれば、とっさに身体が動いてしまったに過ぎない。
それに・・

「君だって、助けてくれたじゃないか」

鈴木が言うと、少年は、フッと息を吐いてから、言った。
「あのままでは、お前が追い付くとは思えなかったからな。可能か不可能か、状況を把握して行動しているようには見えなかったから。可能な状況にしてやろうと、思っただけだ」

「・・・・・・」
鈴木は、相手の顔を見つめた。
少年も、顔を上げて、鈴木と目を合わせた。

とても・・とても大きな、目。
澄んだ茶色の瞳は、強い光を放ち、鈴木は、その瞳に吸い込まれそうな感覚に、陥った。

「お前も・・ってことは、君も、受験生?」
鈴木の問いに、少年は、コクンとうなずいた。

となると、最低でも21歳ということだ。
鈴木は、驚きを持って、その少年・・いや、青年を改めて見つめ、言った。

「オレは、鈴木克洋」
「さっき聞いた」

青年の口からは、またも、予想外の言葉が返ってくる。
鈴木の口元に、笑みが浮かんだ。

「そうじゃなくて、君の・・・」
そこまで言い掛けた時、鈴木の肩に、手を掛ける者があった。

「鈴木じゃないか」
「何やってんだ? さっさと行こうぜ」
友人たちに引っ張られ、鈴木は振り返ったが、青年の姿は、人波に紛れてしまっていた。

一方青年は、鈴木が立ち去った後、腕時計に目をやり、足早に、その場を去ろうとした。
・・が。

ふと、足元に落ちていた、一枚のカードに、目を留めた。





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