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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene2:陽光


「ここで、皆様にもう一つ、ご報告がございます」

笑顔でそう言うのは、ウェディングコンサルタント会社から派遣された、司会者だ。
ここは、結婚披露パーティーが催されているレストラン。
ランチビュッフェを中心とした、カジュアルな会食の場だ。

乾杯に先立ち、この日の主役である新郎新婦が、家族や身近な親族と共に、つつがなく式を挙げたことが、司会者の口から報告され、出席者から拍手が沸いた。

そして、もう一つの報告というのが・・・

「お二人は既に、新しい命を、授かっていらっしゃいます。出産予定日は、○月×日です。この喜ばしい出来事、お二人と、その愛の結晶である、生まれてくる赤ちゃん、彼らの輝かしい未来に、皆様、どうぞ、今一度、盛大な拍手をお願い致します!」

会場内に、どよめきが湧き上がり、再び、拍手が鳴り響く。
新郎新婦は、互いに顔を見合わせ、手を繋ぎ、それから、その手で共に新婦のお腹に触れると、喜びに満ちた笑顔を見せた。

威勢よく乾杯の音頭が告げられ、パーティーが始まる。

屋内の会場から外へ出るドアは、大きく開け放たれ、広いテラス、そして緑溢れるガーデンへと、続いている。
パーティーの出席者は、生演奏の弦楽四重奏を鑑賞できる屋内や、光が降り注ぐガーデンなど、思い思いの場所に移動しては、料理を口に運び、歓談していた。

「妊娠4ヶ月だってな」
友人が、青木にそう言った。

「オレ、全然知らなかったよ」
青木は、食事をする手を止め、少し離れたところで、パーティーの出席者と話している、新郎新婦を見やる。
新郎は、青木の、学生時代からの友人だった。

「聞いてなかったか。お前、最近、飲みに誘っても出てこないしな。彼女のお腹が目立たないうちに式と披露宴を済ませようって、会場探しが、大変だったらしいぜ」
「そうか。それで・・」
青木は、数週間前のことを、思い出していた。

『急なことで、大変申し訳ありませんが、ご都合を合わせていただければ、幸いに存じます・・』
そんな文面と共に、今回の披露パーティーの案内が届いたのだ。

「そんなわけで、この日は、朝から出掛けますから」
何か予定が入ると、律儀に薪に報告するのは、青木の習慣だ。

「・・前から、聞いてたのか?」
薪は、青木から見せられた案内状を手に取り、そう言った。

「いいえ、結婚することは、聞いてませんでした。随分前から付き合ってたことは、知ってますが。もうそろそろ、決まりを付けるべきだと思ったのかもしれませんね」
「・・・・・・」
薪はそれ以上、何も、言わなかったが。

「でも、聞いてなくても、大体分かるだろ」
もう一人の友人の声に、青木は、我に返る。

妻帯者であり、既に子供も居るその友人は、言う。
「何年も付き合いながら、全く結婚する気配は無かったのに、突然、結婚するって言い出して。しかも、こんな急に挙式だなんて。子供が出来たんだなってことは、察しが付くだろ」

「・・そういうものか?」
青木は、聞き返す。

薪と自分の間には、子供という分子は、存在しない。
それが、あまりにも当然のことである為に、子供が出来たのだろうとか、そういった発想が、自分は全く浮かんでこなかったのだ。

だが、薪は、気付いたのだろうか・・・・。

青木は、そっと、自分の胸元を見やる。
そこに納められたチーフに、伸ばされた白く細い指先が、見えるような気がした。

パーティーが終わり、新郎新婦と挨拶を済ませ、青木は、友人達と、会場の外に出た。

「ああ!さっきは、どうも!」
独身の友人が、青木の脇で、手を振っている。
青木が目を上げ、その先を見ると、女性達が数人、こちらに向かって会釈を返していた。

「誰だ?」
「さっき、一緒に受付けをしたんだ。オレは新郎側で、あの子達が、新婦側の」
「へえ」
「この後の二次会、行くだろ?」

友人二人の会話を、青木は、聞くともなしに、聞いていた。

「オレはパス。今、子供が手のかかる時期でさ。うちの奴、キレそうなんだ。早く帰ってやらないと」
「青木は?」
「え?」
自分に話を振られ、青木は、顔を上げる。

「二次会だよ。行くだろ? 彼女達も来るって言ってたし。結構レベル高いよな」
青木が、友人が指す方を見ると、女性達もこちらを見ていた。
そのうちの一人と目が合うと、相手は口元に手を当て、何事か声を上げたかと思うと、女性同士顔を寄せ、話をしている。

「脈ありだぜ。やったな」
友人に、青木は脇腹を小突かれる。

「・・・・・・」
青木は、黙って女性達を眺めた。
確かに、若い女性には目を引かれるし、着飾った姿は、華やかだ。
チラチラとこちらを見られることも、悪い気はしない。

けれど・・・

「いや。オレは・・」
「うん?」
「オレは帰る」
言うと同時に、青木の足は、帰る方角へと、向かっていた。

その脳裏には、膝を抱えてソファーにうずくまる、薪の姿が、浮かんでいた。

「お、おい!」
「青木!」

友人達の声にも、足を止めることなく。
青木は、歩きながら振り返ると、笑顔を見せて軽く手を挙げ、その場を後にした。

「あいつ・・やっぱり・・」
「何だ?」
後に残された友人達が、話す。

「青木の奴、最近、付き合い悪いんだよな。仕事が忙しいからって言ってるけど。あれはやっぱり、女じゃないか? じゃなけりゃ、普通、このチャンスに帰るか?」
「・・でも、じゃあ何で隠すんだ?」
「さあな」

その夜。
青木は、薪に何も尋ねなかった。





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コメント

■ 

かのんさんこんにちは。

これはもしかしたら‥
お書きになりたかったお話ですね(^∇^)

かのんさんの新作だっ!と私、喜んでおりましたが‥
あああ‥笑っている場合でなくて‥
優しく思慮深い薪さんですから苦しまれるのでは‥?
かのんさんのお話ですから痛いということは‥ななないですよね。
でもこれは必ず通る道なのでしょうか‥
例えば本人達は気にしなくても周りが‥と言う場合もあるでしょうし、
青木が全く気にしなくても薪さんが‥申し訳ない‥なんて気持ちや、
負い目を持ってしまう‥。
それを何でカバーするのか、その想いを払拭できないまでも前向きに持っていくのか‥
そこが問題ですよね。

薪さんが極力苦しまれないように‥
二人の愛あふれる未来へと歩いて行けるように願いながら
読ませていただいてもよろしいでしょうか。

「ま、薪さん‥あなたという存在がそれだけで‥すんごいものなのですーーっ!」
「私はあなた様だけいれば他は誰も、何もっ!」

‥‥妄想が入ってしまいました。
申し訳ありませんでした(^_^;)

とにかく薪さんという輝くばかりの宝珠を青木は掴まえている― 
それだけでなんという幸せなことでしょう‥薪さん、苦しまないでね‥。

お邪魔いたしました。

■ ruruさま

○ruruさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

> これはもしかしたら‥
> お書きになりたかったお話ですね(^∇^)

ruruさん、鋭い!
この時点でお気付きになったのですね。

さすがと思うと同時に、以前私がruruさんのところでお話したことを覚えていて下さったこと、嬉しく思いました(*^^*)

> かのんさんの新作だっ!と私、喜んでおりましたが‥

ありがとうございますm(_ _)m
そのお言葉が、本当に励みになります(つ;)

> あああ‥笑っている場合でなくて‥
> 優しく思慮深い薪さんですから苦しまれるのでは‥?
> かのんさんのお話ですから痛いということは‥ななないですよね。

どどどうでしょう・・(汗)

> でもこれは必ず通る道なのでしょうか‥
> 例えば本人達は気にしなくても周りが‥と言う場合もあるでしょうし、
> 青木が全く気にしなくても薪さんが‥申し訳ない‥なんて気持ちや、
> 負い目を持ってしまう‥。
> それを何でカバーするのか、その想いを払拭できないまでも前向きに持っていくのか‥
> そこが問題ですよね。

このお話、実は、構想自体は、一年近く前からあったものなんです。
書くタイミングが見つけられなくて、ここまで延びてしまいました。
とてもデリケートなテーマなだけに、書くことを躊躇していたという部分もあります。

でも、どうしてもラストシーンを書きたくて・・・

> 薪さんが極力苦しまれないように‥
> 二人の愛あふれる未来へと歩いて行けるように願いながら
> 読ませていただいてもよろしいでしょうか。

ありがとうございます。
そうおっしゃっていただけると・・・

> 「ま、薪さん‥あなたという存在がそれだけで‥すんごいものなのですーーっ!」
> 「私はあなた様だけいれば他は誰も、何もっ!」
> ‥‥妄想が入ってしまいました。
> 申し訳ありませんでした(^_^;)

おっしゃるとおりですっ!!
薪さんさえいらして下されば・・ですよね!(^^;)

> とにかく薪さんという輝くばかりの宝珠を青木は掴まえている― 
> それだけでなんという幸せなことでしょう‥薪さん、苦しまないでね‥。

宝珠・・まさしく!そうですね。

苦しむ・・そんなには・・たったの8話ですし・・たぶん・・・・
・・・・・・・・。

スミマセン(滝汗)

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