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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene5:葛藤


「最初は、養子をもらうという方法も、考えたんですが」
「ちょっと待て。その前に。お前、フォスターに、何をどう話した?」

話が飛ぶ青木に向かい、薪は、スタート地点へと、話を戻す。
青木は、順を追って、話し始めた。

「フォスター捜査官には、薪さんとオレとの間に子供を持つ場合、まずどう動くべきかと、そう話しました」
「・・そして、彼は何て言った?」
「動く前に、今の状況で子供を持つということについて、そのリスクをまずはよく考えるべきだと、そう言われました」

「当たり前だ・・っ!この馬鹿!!」

薪は立ち上がり、同時に青木をグーで殴り付ける。
気配を察していた青木は、座ったまま、とっさに後ろにのけぞったものの、完全には避け切れず、薪のこぶしが、頬をかすめた。

「ッタタ!・・・」
青木は、自分の頬を抑えた。
薪は、そこに立ったまま、燃える瞳で、青木を睨み付けている。

「そんな簡単なことじゃない。安易に物を言うな!」
「安易じゃありません。ずっと・・考えてきたことです!」

互いに叫び、相手を睨み付け、そして・・・

「ハッ・・」
薪は、ため息を付くと、再びソファに座り込んだ。
顔を下に向け、その額を片手で支えて。

青木は、改めて話し出す。
「色々と、考えました。この状況で、子供が出来たら、周囲は、どんな反応を見せるだろうかと」
「・・お前と僕は、世間では、同居している上司と部下に過ぎないんだぞ。今は、同じ場所に勤めているが、どちらかが異動になれば、同居の理由だって、無くなる」

「法律上結婚した夫婦だって、単身赴任で別居することは珍しくないですよ」
「・・今は、そういうことを言ってるんじゃない」
薪は、再び両手で頭を抱えた。
そして・・ぐっと顔を上げると、青木を見つめ、言った。

「とにかく、この状況で、子供を持つなど、無謀だ。ここに赤ん坊が加わったとして、世間に、どう説明する?」
「・・事情があって、引き取ることになったと言うしか無いでしょう。その・・オレか薪さんの、彼女との間に出来た子だと、思われるかもしれませんが」

「子供には、どう説明する? 赤ん坊のうちはいい。だが、物心つく頃になったら、何て言うんだ?」
「それは・・」

「嘘で塗り固めても、真実を話したとしても、子供は、戸惑うだろう。たとえ、本人が納得したとしても、その周囲の人間は? 男同士の夫婦に育てられたことで、親戚や、友人や、学校・・そういったところから、揶揄されるかもしれない」
「・・・・・・」

沈黙する青木を前に、薪は、この話は、もうこれで終わりだというように、立ち上がり、歩きかける。
「待って下さい!」
青木も立ち上がり、薪の腕を掴んで、引き止めた。

「オレは、このことをずっと・・ずっと考えていたんです。最初は、養子も考えました。でも、本気で自分達の子供を持ちたいのなら、こういう選択肢もあると、フォスター捜査官に言われて・・」
「同じことだ」
薪は、青木を見上げ、言った。

「養子縁組にしろ、非配偶者間の体外受精にしろ、その先には、様々な問題が待ち受けている。それは、男女間においてさえだ。まして、僕達の立場であったなら、そこには、どれ程の壁があると思う?」
「分かってます・・」
「いや、お前は分かっていない!」

薪は、フッ・・と息を付くと、青木を、じっと見つめる。
そして言う。

「他に方法が無く、それでも子供が欲しい。そう強く願う人間が、その困難を背負う覚悟をして臨むんだ。お前に、その覚悟が、あるのか?」

青木は、しばらく考え込んでいる様子を見せ、それから、顔を上げ、言った。
「薪さんは・・子供が、欲しくないんですか?」

「お前は、欲しいのか?」
薪は、尋ね返す。
「お前は、そんなに、子供が欲しいのか・・?」

青木は薪を見つめ、言った。
「薪さんとオレの子供なら、オレは、欲しいと思います」
「・・・・・・」

キッパリと言い切る青木を見て、薪は、顔をゆがませると、青木の手を振り払い、自室へと入っていった。

薪にとって、それは、終わった話だった。
だが、青木は、諦めなかった。

折に触れ、薪を捕まえ、この話を持ち掛けた。
子供を持つ上での問題を一つ一つを挙げ、どう対処していくか、説いた。

その都度、薪と青木の間で、口論になった。
職場では、いつもどおりに振舞う二人だったが、いざ仕事を離れると、薪は青木を避け、青木は薪を追い。
幾日も幾日も、そんな日々が続き・・・・

「・・いい加減にしろっ!!」

その日、薪は風呂から上がると、ラフな姿で、湿った髪のまま、タオルを首に掛け、キッチンへと入った。
カウンターの向こうに、青木が居たが、薪は無視して、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。
ボトルの口を開け、立ったまま、水をのどに流し込む・・

そこに、青木が近付き、また、例の話題を持ち出したのだ。
薪は怒鳴り、ボトルをダン!と音を立てて置き、青木を睨み付けた。
青木も、真っ向から、その視線を受け止める。

キッチンカウンターを挟み、二人は、じっと睨み合っていた。

二人とも、この話に疲弊し、消耗していた。
それでも引き下がらない青木を、薪は唇を噛み締め、見つめた。

薪の脳裏に、青木のセリフが、よみがえる。
『薪さんとオレの子供なら、オレは、欲しいと思います』

「青木・・」
薪は、口を開いた。

「青木。もし・・ここに子供が加わったとして、お前は、その子が、生まれてきて、幸せだと思うか?」

薪は、青木を見つめ、青木も、薪を見つめていた。
二人とも目をそらさず、じっと、見つめ合ったまま。

「・・もし、子供が出来たら」
青木は、答え始める。

「ここに、薪さんとオレの子供が居たら、オレは、薪さんを愛するように、その子供を愛します。薪さんだって、そうでしょう?」

青木は、薪に微笑んで見せる。

「子供は、間違いなく愛されます。愛されて、愛されて育ちます。そんな子供が、幸せじゃないわけが、ありますか?」





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