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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene8:証


結局、それは、スタッフの手に渡らなかった。

「そういうこともあります。通常とは違う状況ですから、採取出来ないという場合も。卵子は凍結保存出来ますし、いくらでもチャンスはありますよ。相手の女性の了解も得てあります。日程を設定し直して、再度、試みましょうか?」

小さな部屋で、スタッフと薪が、向かい合って座り、薪のやや後ろに、青木が座っている。
スタッフの言葉を、薪は、静かに聞いていた。

「せっかくなんですが、もうこれで、終わりにしたいと思います」
青木が言った。

スタッフは言う。
「ここで中断すれば、この契約行為自体が、終了することになります。再度行なおうと思っても、その時は、また一からスタートしなければなりません。今回と同様の条件で行なえるとも、限りません。それでも、よろしいですか?」

薪と青木は、病院を後にした。

「その女性には、協力いただいたことへの感謝と、中断したことに対する、お詫びを」
スタッフに薪が言ったのは、それだけだった。

採精室で。
放出した余韻に浸りながら、薪は、青木の言葉を、聞いた。

「薪さん・・」
目を閉じ、ベッドに横たわる薪の顔を、髪を、優しく撫でる手が、あった。

「薪さん。以前あなたは・・薪さんとオレが、何故抱き合うのかと、そう、言いましたね」
薪は、目を開いた。
自分を見つめる、青木の穏やかな瞳が、あった・・。

「男と男では、子孫は残せない。いくら抱き合ったところで、何も生み出さないのにと・・でも、果たして、そうでしょうか」

「子孫を残す為の本能が、人と人とを引き寄せる、それも、確かにあるかもしれません。でも、それだけじゃない。人と人とが引き合うからこそ、その結果として、愛の証が生まれる、そういうことも、あるんじゃないでしょうか」

「そして・・証は、子供であるとは、限らない。少なくともオレは・・薪さんと結ばれる度に、大きな証を得ています」

「青木・・」
薪は、自分の額に置かれた、青木の手を取った。
その手を握り締め、口付けた・・・

そして、言った。
「でも、お前は、子供が欲しいんだろう・・?」
「それは・・」

「青木」
薪は、青木の顔を、じっと見つめ、言う。

「青木、お前が子供を求めるなら、何も、こんな方法を取らなくたっていい。お前には、まだ未来がある。必ずしも、僕が傍らに居るわけではない・・未来が」
「薪さん・・!」
青木の目が、大きく見開かれた。

「違います!オレが欲しいのは、ただの子供じゃない。あなたの子供なんです。あなたと・・オレの」
青木は、薪に覆いかぶさり、薪をギュッと、抱き締める。

「でも・・それが、あなたをかえって苦しめることになるなら・・もう欲しくない。オレは、あなたが苦しむ姿を見たくて、こんなことをしたんじゃないんです・・!」
「・・・・・・」
薪も、青木の背に手を回し、きつく、抱き締め返した。

ただ、そうして、抱き合っていた。
しばらくして・・・

青木は、薪の身体を離すと、起き上がり、ベッドの上に座った。
薪も起き上がり、青木と向かい合わせに、座る。

「薪さん」
青木は、膝に手を付き、真剣な表情で、改めて、薪の顔を見つめる。
そして言った。

「薪さん。・・・オレ、薪さんの子供を生めなくて、すみません!!」

言いながら、深々と、頭を下げた。

「・・・・・青木?」
薪は、ポカンと口を開いた。

「お前、そんなこと・・」
「ずっと、ずっとオレ、薪さんの子供を生めないことで、悩んで。生めない自分が、情けなくて、くやしくて。だから、何とかして子供を作れないかと、必死になって・・・」

青木は、頭を下げたまま、話し続ける。
「薪さんに申し訳なくて。薪さんには、男のオレじゃなくて、もっといくらでも選択肢はあった筈なのに。だからと言って、オレはもう、薪さんから離れるなんて考えられなくて、だから・・!」

そこまで話した時。
青木は、すぐ前から響く声を、聞いた。
青木は、顔を上げる。

「ククッ・・クククッ・・」
薪は、笑っていた。

「・・薪さん?」
今度は、青木が口を開ける。

「ククッ、クククッ・・フフフッ、ハハハ・・!」
薪の笑い声が、大きくなった。

「あの・・え?」
青木の戸惑いをよそに、今や薪は、腹を抱えて、笑っていた。

「プッ・・」
青木も、吹き出した。

「ハハッ・・ハハハ・・」
「アハハ・・」

二人とも、笑っていた。
声を上げて。

薪が、笑う。
笑いながら、その頬に、キラリと光る物が、こぼれた。





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