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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene9:未来


爽やかな風が吹く、午後。

カフェのテラス席で、栗色の髪を持つ、美貌の男性と、眼鏡を掛けた、短い黒髪の若い男が、一つのテーブルに着いていた。

「晴れましたね」
眼鏡の男、青木は、パラソルの下に大きな身体を潜め、その向こうに広がる青空を見上げた。

「・・・・・・」
美貌の男性、薪は、青木の言葉が聞こえているのかいないのか、無言のまま、周囲を見渡している。
その視線が、ある一点で、ピタリと止まり・・・

「珍しい光景だな」
薪の言葉に、青木もそちらに視線を向けた。

その先には、人影。
「なるほど。そうですね」
青木も言った。

都会の街中は、人種のるつぼだ。
190センチを越える人間も、外国人も、子育てをする父親も、決して、珍しくは無い。
だが、それが全て揃うと、さすがに、滅多に見られるものではないだろう。

赤ん坊を乗せたベビーカーを押しながら、こちらに近付いてくる、長身の外国人男性。
薪は立ち上がり、その男に、声を掛けた。

「フォスター」
「薪」
フォスターは、薪の前に立つと、ただ、その名を呼んだ。

「フォスター捜査官。お久しぶりです」
青木も立ち、フォスターに歩み寄る。

「青木、元気そうだな」
「はい。フォスター捜査官も」
フォスターと青木は、笑顔を見せ合った。

青木が椅子を勧め、フォスターが座る。
そして、薪と青木も座り直した。
ベビーカーの中の赤ん坊は、すやすやと、寝息を立てている。

「車で来るのかと思っていた」
薪が言った。
「ホテルから、すぐだからな。これを畳んで子供を乗せ替えることを考えたら、余程、歩いた方が早い」
言いながら、フォスターは、赤ん坊の身体が日陰に入るよう、傍らのベビーカーを動かした。

クスッ・・と、薪が笑みを漏らす。
「? 何だ?」
フォスターが振り返り、言った。

青木も、微笑みながら言う。
「フォスター捜査官、すっかりパパになってますね」
「そうか?」
フォスターは、肩をすくめる。

「奥さんは、ご一緒じゃないんですね」
青木が言うと、フォスターは答える。

「ああ。今日は、母親と買い物だと言っていた。やっとの思いで休暇を取り、日本での語学研究家との対談に臨めることになったというのに。まさか、妻と子供が付いてくるとはな。しかも、外国での育児が不安だからと、クリスは、自分の母親まで連れてきた。そして、昨日までは私の予定が詰まっていたから、今日は子供を見てくれときた」

フォスターは、ウェイターにコーヒーを注文すると、再び、話し始める。

「なるべく、ベビーシッターに任せ切りにはしたくない、自分の手で育児をしたいと主張しながら、やればやったで、育児ノイローゼになりそうだと言う。・・女の理屈には、全く敵わない」

そう言って、フォスターは子供の顔を見やる。
薪や青木も、子供の顔を覗き込んだ。

「男の子でしたよね」
青木が言った。

「ああ。名前は、サミュエル・ソラ・フォスターだ」
「ソラ・・」
薪が、つぶやいた。

「それは、日本名なんですか?」
「そうだ」
青木の問いに、フォスターが答える。

「私の名前にも、日本名が付いている。その名を、私は誇りに思っているが・・その名前の持つ意味に、縛られもした。息子には、何にも縛られないでほしい。この空のように、未来に向かって、自由に羽ばたいて欲しい・・そんな思いを込めた」

皆、その場で空を見上げた。
青く、澄み渡る空を。

「それに・・」
フォスターは、言葉を継いだ。

「子供はいつか、そうして、親の元から羽ばたき、離れていく。だが、どこへ行ったとしても、私は変わらず息子を想っていると・・たとえ、どんなに離れていても、同じ空の下、愛する者への想いは変わらずにあるのだと」

「・・それを、忘れないでほしいとも、思った」

最後の言葉を発する時、フォスターの目が、薪を見ていることに、青木は気付いた。
薪はと言えば、穏やかな目で、赤ん坊を見つめている。

「この子は、お前のように、捜査官になるんだろうか」
薪は、指先で、子供の頬に触れながら、言った。

「さあな。子供の人生は、子供の物だ。好きにすればいいさ」
フォスターは、子供の顔と、子供に触れる薪の横顔を見ながら、話している。

「私が・・我々が出来ることは、子供の未来の為に、少しでも世の中をマシな物にしてやることだけだ」

「未来・・」
青木が、つぶやいた。

「ああ。大人達は、それぞれの立場で、未来を少しでも良い方向に向け、次の世代に手渡してやらねばならない。そして、我々MRI捜査官は、正義を持って、全力で捜査に向かう。それが・・自分の子供だけではない、全ての子供の未来の為に、成すべきことだと、私は思っている」

「・・・・・・」
フォスターの言葉を聞き、青木は、無言で薪を見つめた。
薪も顔を上げ、青木と、視線が合った。

未来の為に、次の世代の為に、生まれてくる、全ての子供達の為に。
自分達が、今、していることは・・・

青木には、薪が何を考えているのかは、分からない。
ただ、互いに目を合わせるだけ・・・。

「ホギャア・・」
沈黙を破る、声がした。

「あ・・」
フォスターが、赤ん坊を覗き込む。
「起きたんですか?」
青木が言う間に・・

「ホギャア、ホギャア、ホギャア!・・・」
赤ん坊が、泣き出した。

フォスターは、子供を両手に抱え、抱き上げた。
「ホギャアッ、ホギャアッ・・」
泣きわめく子供を抱え、フォスターは立ち上がり、あやしながら、泣く原因を探る。

「・・濡れてはいないようだ」
「ミルクじゃないですか?」
「いや、飲んだばかりだ」

赤ん坊一人に、立ち上がり、顔を寄せ合う、図体のデカイ男二人。
見上げていた薪は、その間に、割って入った。

「貸せ」
「え?」
薪の言葉に、青木は聞き返したが、フォスターは、伸ばされた薪の手に、赤ん坊を差し出した。

薪は、赤ん坊を受け取ると、しっかりと腕に抱き、そして、そっと揺らした。
「ホギャッ、ホギャッ・・・」
薪の腕の中で、赤ん坊の泣き声が、小さくなっていき・・

「泣き止んだぞ」
薪の言葉に、あとの二人は、顔を見合わせる。

赤ん坊は、静かになると、閉じていた目を、パッチリと開いた。
「・・・・・・」
涙に濡れた、大きな瞳が、薪の顔を、じっと見上げている。

薪も、赤ん坊を見つめる。
フォスターも。
そして青木も。

未来を担う、その命を囲み。

三人は、顔を寄せ、その場に佇んでいた。




未来 終





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コメント

■ 

かのんさん、こんにちは。

青木も薪さんも悩まれましたが‥ふっきれたのでしょうか‥。
それとも時折そのことに想いをはせたりなさるのでしょうか。
ひとに感情がある以上は仕方がないことなのかもしれませんが‥
どうか、お考えになったとしても‥苦しまないでください‥
それを願ってやみません。

未来をいく子たちはすべて自分たちの子供‥
そういう広い考え方がお出来になる薪さんですもの、
ご自分の血を分けた子供でなくても
愛情を注ぐことでしょう‥。
いつか‥いつか養子を迎えて三人で‥という未来が見てみたい‥と、
勝手に思ったりして‥すみません(^_^;)
子供がすべてではありませんが、育てていくのは大人の役目、
そんなふうに思われて養子を‥。

でも‥
たったふたりで‥ではないのですものね‥
青木も薪さんも素晴らしい方々に囲まれています。
フォスターもそうですが第九の方々‥
岡部さんに今井さん、宇野さん‥
ついでに(笑)小池さんと曽我さん‥‥
これでも十分幸せかもしれません。
(これでも?)
私にもお二人の明るい未来が見えるようです。

魔がさして10月号を読んでしまった私の心も癒された気がします。
ありがとうございました‥。

■ ruruさま

○ruruさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 青木も薪さんも悩まれましたが‥ふっきれたのでしょうか‥。
> それとも時折そのことに想いをはせたりなさるのでしょうか。
> ひとに感情がある以上は仕方がないことなのかもしれませんが‥
> どうか、お考えになったとしても‥苦しまないでください‥
> それを願ってやみません。

ああ・・読んでいただいて、彼らのその後に思いを馳せていただける・・。
嬉しいものですね。
書き手冥利に尽きます。
ありがとうございます。

> 未来をいく子たちはすべて自分たちの子供‥
> そういう広い考え方がお出来になる薪さんですもの、
> ご自分の血を分けた子供でなくても
> 愛情を注ぐことでしょう‥。

薪さんは、本当に、広く深いお心の持ち主ですから・・。
きっと、そうでしょうね。

> いつか‥いつか養子を迎えて三人で‥という未来が見てみたい‥と、
> 勝手に思ったりして‥すみません(^_^;)
> 子供がすべてではありませんが、育てていくのは大人の役目、
> そんなふうに思われて養子を‥。

以前、もう一年半も前になりますが、「ルイスから始まる話」という記事で、

「私の創作の世界で結ばれた、薪さんと青木は、いつか、養子をもらったらいい、と思う。
 二人で子育てをしてくれたら、それは、とても素敵な光景だと思う。
 ジャックとエレナとルイス、そして彼らの子供のような、そんな家族が遠い遠い未来に現れるとしたら、その 未来へ続く過程に、薪さんと青木の子育てという近未来があっても、いいんじゃないかなと」

と、書きました。

この頃、既に、「薪さんと青木の子育て」というイメージは、あったようです。
そして、その頃は、やはり「養子」という形でのイメージでした。

ruruさんも、そんな未来を見てみたいという、同じ思いでいらっしゃること、嬉しいです(〃▽〃)

> でも‥
> たったふたりで‥ではないのですものね‥
> 青木も薪さんも素晴らしい方々に囲まれています。
> フォスターもそうですが第九の方々‥
> 岡部さんに今井さん、宇野さん‥
> ついでに(笑)小池さんと曽我さん‥‥
> これでも十分幸せかもしれません。
> (これでも?)
> 私にもお二人の明るい未来が見えるようです。

そうですね。
おっしゃるとおり、薪さんと青木は、素晴らしい第九メンバー達に囲まれています。
彼らのような人達と共に居られたら・・それで充分幸せ、ですよね。

> 魔がさして10月号を読んでしまった私の心も癒された気がします。
> ありがとうございました‥。

おおおおおお・・・・
ruruさんが、既にお読みになった・・。

でも、今号は、「彼女」の出っ張り具合が少ない分、まだマシ・・・?かもしれませんね。

「癒された気がする」というお言葉が、とても嬉しいです。
私の書いた物が、お読み下さる方にとって、そんな物になれば、これ程嬉しいことはございませんので。

こちらの方こそ、お読み下さいまして、また、幾度もコメント下さいまして、どうもありがとうございました!m(_ _)m

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