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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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メロディ 2010年 12月号「秘密-トップ・シークレット-2010 END GAME ACT.2」


レビュー3:「気付き」という痛み


全編を通して、様々な痛みが伝わってきた、今号の「秘密」。
その中でも、特に強い痛みを感じたのが、青木が、姉の遺体と対峙するシーンだった。

今、レビューを書こうとして、改めてそのページをめくると。
また、脳みそが沸騰するような、脳内が、ぐつぐつと煮える音が聞こえるような、感覚に襲われる。

清水先生が、やめようかと迷いながらも、結局、この展開を選んだのは。
そうまでして、先生が、描きたかったのは。

こういうことだったのかと、そう、思った。

薪さんの脳裏に浮かんだ、穏やかな笑顔を見せる、その男は。
青木は。

姉を包む布団を、姉の顔を覆う布を剥がし、その姿に、向かい合っていた。
その身体には、司法解剖をした、縫合跡。
その頭には、脳を取り出した証拠である、頭部をぐるりと囲む、傷跡があった・・・・・

拘束され、事情聴取をされていた青木は、姉夫婦の遺体が、発見された後、どう処置されたのか、知らされていなかったのかもしれない。
誰もあえて・・知らせなかったのかもしれない。

けれど青木は。
それを、確認しようとした。
そして・・・姉の脳が、既に、そこには無いことを、知った・・・。

青木の脳裏に、過去の出来事が、次々とよみがえる。

父の葬儀の時。
「するわけないだろ、そんな事!! 何考えてんだよ!!」
・・と言った青木は。

何故母が姉が、そんなことを言うのかと、不思議に思っただろう。
自分が見るのは、捜査するのは、犯罪者や、犯罪に巻き込まれた人間の脳だけ。
それは、青木にとって「仕事」であり、家族とは、全く関係の無い世界の出来事。

青木にとってそれは、穏やかな日常を送る家族とは、全く縁遠いところで起こる、非日常の世界の、そんな住人の脳を、見ることだったのだ。

本当は、脳を見てきた人間達の多くが、犯罪に巻き込まれるその日までは、普通の日常を送っていた。
青木や、青木の家族と、何ら変わらない、犯罪に会うその瞬間まで、明日もあさってもその先も、同じ日常が続くことを信じていたかもしれない、普通の人々だったのだ。

そして、亡くなった人間達にも、家族や友人が居た。
生前のその人を大切に思い、その死を悼む、人々が居たのだ。

「ご遺体には、なるべく傷を残さぬよう」
岡部さんが、青木の傍らでそう言った時。
青木は、自分が真実を追究したい、捜査をしたいという思いを、岡部さんが汲んで、協力してくれているのだと、自分の為に、先輩が頭を下げてくれているのだと、感謝していたに違いない。

その言葉の意味を、深く考えもせずに。

けれど、現実には。
「傷を残さぬよう」脳を取り出すなんて、出来る筈が無い。

髪を反り、脳に大きな傷跡を残し、大切なその人の脳を、空っぽにしてしまうのだから・・・・

「知らなかった こんな事は 何も」
青木の口から漏れる、言葉の一つ一つが、胸をえぐる。

故人の脳を取り出すということは、どういうことか。
それが、遺族にとって、どんな思いをもたらすものなのか。

読者である私自身も。

「秘密」を、初めて読んだその時は、「脳を取り出して、それを見ることで捜査をする」ということに、ギョッとしたし、その発想の斬新さに、驚いたけれど。
同時に、現実に照らし合わせ、自分や自分の身近な人間の脳が、そんなことになったら・・やっぱりイヤだな、という思いもよぎったけれど。

「秘密」を読み進めていくうちに、そんな思いは薄れ。
脳から、事件の真相に近付くことに、一読者として、時に胸踊る思いで、読んでいた。

ここに登場する、過去の事件。
コミック2巻に収録された、絹子の事件は、青木が、MRI捜査の、自分のやっていることの是非に、苦悩しながらも、そこを乗り越え、捜査をやり遂げる姿が、描かれた。

人権団体の抗議などの事実も、幾度も描かれ。
これが、色々な意味で、問題を抱えた捜査方法であることが、示唆されてきた。

それにも関わらず、私は、初めて「秘密」に出会った時の、驚きや、一瞬よぎった不快感を忘れ、その問題を見ないようにして、単純に、「秘密」という世界の面白さを、味わっていた。
薪さんが、青木が、第九メンバーがMRI捜査に向き合うことを、純粋に、応援していた。

それが、青木の「知らなかった こんな事は 何も」というセリフと、そんな言葉を漏らした、青木の気持ちと、重なった。

薪さんをはじめ、第九メンバーの誰もが、MRI捜査に対する世間の目を、常に、人権団体の抗議の声を受け続けていることを、知っている筈。
自分達が、人の脳を覗き見ているという、その特殊性を、感じている筈。

それでも、それが捜査に、事件解決に必要なことだと、自分の使命を信じて、やってきたのだろう。

青木も、自分の仕事を、親戚には「警察庁の課長」と偽っていたことからも、「第九」に対する世間の目については、充分に感じていた筈だ。

自分自身は、「第九」は、憧れて配属された部署であり、敬愛する上司のもとで、存分に力を発揮出来る場であり、連続殺人や、猟奇殺人を解決出来る、持ち前の正義感が満たされる職場でもあった。

世間がどう言おうと、どんな目で見られようと、自分がやっていることは、正しいのだと。
それを信じて、突き進んできたのだろう。

だから、父の葬儀の場で、母や姉に言われたことも、青木にとっては、「ろくに知りもせずに、偏見に満ちたことを」と、家族に理解されないことが、くやしかったかもしれない。

けれど、他ならぬ、自分の家族が、その当事者になった、今になって。
それがどういうことなのか、自分がやっていることは、どんなことなのか、初めて、知ったのだ。

青木が「知らなかった」ことを、誰も責められは、しないと思う。
青木は、優しい気質の人間だし、人をぞんざいに扱ったことは、そう無いと思う。
捜査にも、真摯に向き合ってきたし、絹子事件の時に、あんな風に苦悩する心も持っていた。

けれど、当事者になってみなければ、どうしても、分からないこともある。
想像だけでは、計り知れないこともある。
それは、どんなに、人を思いやる心を持っていても、知り得ないことなのだ。

けれど青木は。
誰に責められなくとも、自分自身を、責めた。

自分が、知らなかったことを。

その時は、偏見と悪意に満ちた言葉に取れたかもしれない、絹子の言葉。
それが今になって、本当の意味を持って、迫ってくる。

人の脳を取り出し、それを見て捜査をするということを。
それがどんなことか、本当の意味を知らず。
事件を解決するという目的に向かい、新たな発見が出来れば喜び、薪さんに認められれば嬉しくなって・・・

初めて、青木は、その罪深さを、知った。
そんな自分のせいで、その報いが今、姉夫婦の身に降りかかったとさえ、思い・・・・

苦しんだ末に。
青木が、辿り着いたのは。

「お願いします。どうか、オレを捜査から外さないで下さい」
という言葉だった。

その決意は、何も知らない人から見れば、巷の刑事ドラマなどでありがちな、「身内を殺した犯人を、自分の手で捕まえたい」などといった理由にも見えるだろう。

だからこそ、そういった、感情的な視点で捜査をしたら、偏った見方、誤った判断をしてしまうだろうということから、被害者の親族は、捜査には参加出来ない規定になっているのだろう。

けれど、青木のこの言葉は、そんな、安易な物では、ないと思う。

青木は「狂っていない世界」を、掴みたかったのだ。
自分がやっていることの、真実を。

MRI捜査の、その罪深さを、残酷さを、知った上で。
それでもあえて、その捜査に立ち向かうことで。
自分がやっていることの「真実」を、見つけたいのだと、思う。

故人の脳を取り出す、という罪。
その、大きな犠牲。

そんな代償を得ても、なお。
「脳を見る」ということが、「事件を解決する」ということが、どんな意味を持つのか。
青木は、確かめたいのでは、ないだろうか。

たとえそれが、愛する姉の脳であっても。
いつもと同様に、信念を持って、捜査に向かい、真実を追究する。

そこを乗り越えた時。
青木は、自分がやっていることの、MRI捜査の意味を、見つけることが出来ると。

今の青木の決意は、きっと、そんなところに、あるのではないだろうか。

清水先生が、迷いながらも、描きたかったこと。
青木が、身内を殺されるという、そんな酷な展開をもってしか、描けなかったこと。

それが、こういったことなのだと、私は、思った。
青木が、身内を殺され、その脳をMRI捜査にかけるということが、どういうことか、知る。
知った上でなお、その是非に立ち向かい、その先に辿り着く。

それを、清水先生は、描きたかったのでは、ないだろうか。

私達読者は、薪さんはじめ、第九メンバーが、決して安易な気持ちで捜査に向かっているわけではないことを、知っている。

けれど、それでも足りない。
本当に、「脳を見る」ということが、どういうことか。
清水先生は、第九メンバーに、青木に、きちんと、向き合わせたかったのではないだろうか。

同時に、それを、読者にも見せたかった。
「脳を見る」という、その重さを見せ付けて、なお。
だからこそ、その重みを受けて、どうあるべきか・・・・

ただ単に、「脳を見て、他の捜査では出来ない発見をして、事件を解決する」という、着眼点の斬新さ、事件解決の面白さを、見せるだけではなく。

一度は、きちんと、この「重さ」に向き合い、読者に伝えたいと。
そう、先生は、思ってらしたのでは、ないだろうか。

苦悩の果てに。
絹子事件の時のような、「他人の脳を見る」という苦悩とは、全く次元の違う。
ごく身近な、「大切な人の脳を捜査する」という、大きな苦悩の先に。

青木は、何を見つけるのだろう。

青木は、この悪夢から、「狂った世界」から。
抜け出すことが、出来るのだろうか。





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■ 鍵拍手コメ下さったCさま

○11/4にこちらの記事に鍵拍手コメ下さったCさま

コメントありがとうございます。

読んで下さり、そしてまた、感じ入って下さったとのこと、本当にありがたく、私の方が泣いております・・(;;)

お察しのとおり、今号のレビューは、自分の中で、ここが一番の山場と申しますか、一番苦しいところでございました・・。
お気遣いいただき、感謝申し上げますm(_ _)m

■ 非公開コメ下さったRさま

○11/4に非公開コメント下さったRさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

え・・と、「先ほど読みました」とおっしゃるのは、「メロディ12月号を」という解釈で、よろしいですよね。

希望が生まれた、そうですね、おっしゃるとおりだと思います。
だから私も今回は、辛い部分が多々ありながらも、10月号の時と違い、こうしてレビューをすぐに書くことが出来ているのだと思います。

あの笑顔に、一番心を奪われたとのことですが、私も、見所が沢山あった今号の「秘密」で、一番印象的だったのが、あの笑顔でした。
実は、「レビュー4」を書くにあたり、改めてそのシーンを読み直していたら、その笑顔のコマで、涙が溢れてきて、自分でも驚いてしまいました。
青木の慟哭や、薪さんが鈴木さんの葬儀を思い出すといった、胸がえぐられるような辛いシーンですら、涙は出なかったのに・・・。

青木にとっての薪さんの存在が、どれ程の物であるのか・・。
薪さんは知らないけれど、私たち読者は、そこに立つ以前の、青木が苦しみ泣いたシーンを見ているだけに、あの一コマで、鮮やかに伝わってきましたよね・・。

語彙が乏しいだなんて・・何をおっしゃいますか!
そんなことはございません!

コメント嬉しく読ませていただきました。
ありがとうございました。

また、連絡事項も、ご丁寧に、ありがとうございましたm(_ _)m
なかなかゆっくりそちらにお邪魔出来ないことが・・辛いです~(><。。)
こんな私を見捨てずにお付き合いいただき、いつも感謝しております!!

■ 非公開コメ下さったMさま

○11/5に非公開コメント下さったMさま

コメントありがとうございます。

メールにて、レスを送らせていただきますm(_ _)m

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