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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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メロディ 2010年 12月号「秘密-トップ・シークレット-2010 END GAME ACT.2」


レビュー6:母親


これは、萩尾先生が描く、母親だ。
そう思った。

萩尾先生の漫画をいくつか読んで、そこに、親子、特に、母子の間での、葛藤が描かれていると、そう気付いたのは、大人になってから。
子供を理解出来ず、子供が選んだ道を、受け入れようとしない、母親達。

清水先生も尊敬してらっしゃるという、その萩尾先生が描く母親像が、今号の青木の母に、重なって見えた。

この母親が、最初に登場したのは、コミック2巻に収録された「秘密 2003」。

「お父さんの脳みそ とって見たりしないわよね?」
そう直接尋ねたのは、青木の姉だったが。

「お母さんが聞いてくれって・・」と、姉は言っていた。
これを、姉に言わせたのは、今思えば、青木の母だった。
「行ちゃん!まだ読経が!!」と、涙ながらに言い、それどころではない様子だったが。

MRI捜査に、誰より不審を抱いていたのは、実は、母親だったのだ。

この時青木は、この光景を思い出して、クスと笑っていた。
母や姉の些細な疑問に、ムキになって反論した自分を、恥ずかしく思うかのように。

でも、実はそれは、些細なことではなかった。

その後、青木を訪ね、母は言う。
「誰でも たとえ・・・どんな人にでも 人には知られたくないものがあるからね」
「あんたも それだけは忘れんようにね」

「お父さん・・・・あんたの仕事 好かんかったと」
と・・・・。

私は、これを読んだ時、何故母親が、青木にこんなことを言うのか、理解出来なかった。

最初の、「例えどんな人にでも、人には知られたくないものがある。それだけは忘れないように」という言葉は。
人の脳を見るという仕事をしている息子に対して、「大事なことを忘れないように」と、母として、諭しているとも、受け取れる。

けれど、最後の言葉は。
「あんたの仕事 好かんかったと」という言葉は。

青木に、言う必要があるのだろうかと、思った。

「2003」のレビューを書いた時、私は、この母親の言葉に衝撃を受けたと書いただけで、それ以上の考察はしていない。
青木の家族のエピソードは、絹子事件に、MRI捜査に向かう青木の気持ちを、補足する物・・という程度に捉えていたせいもあるが。

それ以上に、この言葉が理解出来ず、不快感を覚えたからだ。
母親の気持ちに、これ以上触れたくない・・という思いが、どこかにあったのだと思う。
そこには、以前雪子が言っていたような、青木が、「絵に描いたように健全で、まっすぐすくすく育ってきた」人であってほしいという、私の青木に対する願い、理想像があったからだとも、思う。

家族にとって、自慢の息子・可愛い弟であり、愛されて育ってきたのだと。
実際には、何の悩みも無く大人になる人間なんて、居るわけはないのだけれど。

病床の父親は、青木に、
「おまえのやってる仕事は 立派なことだからな」
笑顔で、そう言っていた。

だったら、それでいいではないか。
母親も、その傍らに居て、それを聞いていたのだから、夫が息子にそんな言葉をかけた気持ちが、分かるだろうに。

それをあえて、「好かんかったと」と知らせて、どんな利があるのだろう。

夫が、息子の居ないところで、そう言っていたとしても。
それを隠すのが、母親というものではないだろうか。

「お父さん、本当はオレの仕事、気に入らなかったんじゃないかな」
たとえ、青木がそう言ったとしても。
「そんなことない。お父さんだって、行ちゃんに、立派な仕事だって、言ってたじゃない」
そう取り成して、息子を安堵させるのが、母親というものだろう。

なのに、あえて、こんなことを言うなんて。
しかも、当の本人が亡くなった、その時になって。

父親が、まだ生きている頃ならば。
青木は、父親に、仕事について、言い訳することも出来るだろう。
もし本当に、父が気に入らないと思いながら、立派な仕事だと青木に言ってくれていたとしたら、それを、感謝し、謝罪する言葉も、口に出来たかもしれない。

当人が亡くなって、青木には、もう父にどうすることも出来ない、今になって。
母の口から、そんなことを言われて。

父の日記を「自分は見たくない」と、母から託され。
「きっと・・行ちゃんの事も いろいろ書いてあるんだろうから」と、前置きしながら。
その上で、「どんな人にでも、人には知られたくないものがある」「仕事、好かんかったと」という言葉を口にされたら。

青木だって、その日記を、開くことは、出来なくなるだろう。
何故、そんな残酷なことを、母はしたのか。
わざわざ東京に出てきて、青木を呼び出し、日記を渡したのは、こんな言葉を、添える為だったのか・・・。

分からない。
母親としての、この人の気持ちが、分からない。

青木が、涙を流しながら日記を燃やしかけたその時、炎の中に、父の写真が見えた。
第九の前で、笑顔で映る、父の姿。
たぶん、青木が知らぬ間に、父はそこを訪れていたのだろう。

「一行の初の勤務先」というその言葉には、父親としての素直な喜びが垣間見えて・・・

たとえ、青木の仕事を「好かん」と言っていたとしても。
「立派なことだ」というその言葉も、嘘ではないと。
親戚に堂々と話すことは、出来なかったけれど。
それでも、父として、息子を誇らしく思う気持ちもあったのだと。

そう思えて、青木と共に、父の気持ちに、涙した。

けれど、今になってみると。

もしかすると、青木の父は、実は、青木の仕事を気に入らないと、そんなことは言っていなかったのではないか、そうも、思えてきた。
言っていたかもしれない。
けれど、誰よりも、青木の仕事を「好かん」と思っていたのは、他ならぬ、青木の母だったのだと。

父だけが、そう思っていたなら、わざわざ、父親が亡くなった後に、青木に伝える必要は無い。
母自身が、青木のこの仕事を気に入らなかったからこそ、「お父さんが言っていた」という、今は亡き人の口を借りて、青木に伝えたのだ。

・・・酷い母親だ。
そう、改めて思う。
だったら、「お父さんがそう言っていた」ではなく「私は、お前に第九の仕事を辞めてほしい」と、母親が、自分の思いとして伝えた方が、まだ理解出来る。

親戚に「自慢の息子だよね」と言われて、母親は、青木の傍らで笑っていたけれど。
青木の姉も、「あんたは母さんの自慢の息子だったから」と言っていたし、実際、母親にとって、青木はずっと「自慢の息子」だったのだろう。

きっと青木は、子供の頃から、素直で頭が良く、体格も運動神経もいい息子で。
進学する度に、試験に受かる度に、
「東大法学部に入った」「国家一種に合格した」と、両親は、自慢して歩いていたのかもしれない。

それが、「第九」という、「田舎の年寄りには解りにくく、説明しても解らない」部署に、配属された。
いくら、エリート中のエリートだと言われても。
「死んだ人の脳を見る機関」は、母にとって、堂々と自慢出来るところではなかった。

ずっと「自慢の息子」だったのに。
それは、裏切られた思い、だったのかもしれない。

けれど、私は思う。

たとえ、自分には理解し難い職場であっても。
それが例えば、詐欺とか強盗とか、法に触れたり、人に迷惑を掛ける物は別として。
それが、子供自身が、正義だと信じ、信念を持って出来る仕事なら、母として、応援するところではないかと。

それが、特殊な仕事、厳しい仕事であったら、その仕事に就くことで、子供自身が苦労するのではないか、それを心配し、辞めるように説得するなら、分かる。
子供の心身を、心配するなら、分かる。

けれど、その仕事自体を「気に入らない」という理由で、子供を責めるなど、理解出来ない。
別れ際に、「体に気をつけて。仕事頑張ってね・・・」と言いながら、この母親は、息子に対して、何を思っていたのだろう。

「秘密 2007」(コミック4巻)でも、青木が、舞ちゃんの顔を見に来て、すぐに仕事に戻る姿を見ながら、母親は、
「まったく因果な商売に就いた事・・・他の部署を選んでいたら、お嫁さんの来手もあっただろうに」
と言っていた。

この時は、この母と姉の会話が、その後、青木が雪子と進展していく前フリだと思っていたし。
母親の言葉も、純粋に、忙しく仕事に励む息子を、その健康や将来を、心配してのことだと思っていた。

けれど、今にして思えば、この言葉も、「嫁の来手も無いような、因果な商売」「そんなところより、別の部署を選んで欲しかったのに」という意味にも、取ることが出来る。

堂々と親戚に自慢出来るような部署に就き、やがては、相応のお嫁さんをもらい、子供を儲けて・・というコースが、それがこの母親の、「理想の息子の人生」というものだったのかもしれない・・・。

今回の、姉夫婦殺害事件で。
隠していた青木の仕事は、親戚にも、知るところとなったろう。
こんな状況では、隠していたことを、青木の母に問い詰める人は居ないだろうが。

「一行ちゃん、あの第九で働いてたんだってね」
「間違って逮捕されたんだって? ひどい話だねえ」
「和歌子ちゃんのことは、本当にお気の毒で」

・・・そんな風に、親戚から同情されることすら、今の青木の母には、耐え難いことなのかもしれない。

エリートで、自慢の息子。
エリートとまではいかないかもしれないが、頭が良く、そこそこのお嬢さん大学位は出てそうな、綺麗で優しい娘。
真面目そうな人と結婚し、可愛い孫まで、生まれた。

友人・知人・親戚中に羨ましがられていた筈が、一転、哀れな目で見られることに、なった。
そんなことも、この母親の神経を、すり減らせるのかもしれない。

そして何より。
その娘が、こんな事件に巻き込まれ、信じられない悲惨な死を、遂げた・・・・・

もし、私の娘が死んだら。
それが、病気や事故であっても、私は狂いそうになるだろう。

まして、こんな異常な殺人事件の被害者となれば・・・・正気を失ってしまうのも、分かる。
(そもそも、そんなことになったら、娘の葬儀の日まで自分が生きている気がしないので、自分に置き換えての想像も、あまり参考にならないが・・)

けれど、だからこそ。
残った家族とは、その痛みを分かち合い、労わり合い、慰め合うことが、必要ではないか・・?

娘が無残な死を遂げたことは、何より辛いだろうが。
息子が容疑者と目され、誤認逮捕されたことだって、母親としては、辛い筈。
釈放された息子の姿に、ホッと安堵し、逮捕されたことや、第一発見者だったことのショックをねぎらい、抱き締めるのが、母親ではないだろうか。

それを、まさか。

「死んだ人の脳なんか見てるから こんな事に」
「あんたがこんな仕事してるから あんたが」
「あんたのせいで 和歌子までェっ」
と叫び、青木を打ち据えるという行為に出るなんて・・・・・

本当に、信じられなかった。

様々な痛みを感じた今号の「秘密」だけれど。
このシーンは、「痛い」というよりは、あまりに信じられなくて、呆気に取られた・・という方が、近い。

母親が、正気を失うのは、分かる。
誰かにこの衝撃を、ぶつけなければたまらない、という気持ちも。

でも、被害者の母親である自分同様、その弟である青木だって、自分と同じ、亡くなったその人の、一番近しい人間として、苦しんでいるのは、当然のことなのに。
正気を失う程に苦しんでいるのは、母親も、弟も、同じだろうに・・・・・。

苦しくて苦しくてたまらないからこそ、誰よりも、その悲しみを分かち合う人間として、母と息子が、寄り添う筈の場面で。
その全てが、息子のせいであるかのように、叫び叩く、母親の姿。

これがもし、単なる交通事故だったりしたら。
こうは、ならなかったのだろうか。

いや、きっとそれでも、同じだったかもしれない。
どういう理由で亡くなったにせよ、突然の娘の死という、信じられない出来事を目の前にしたら。
それをきっかけに、この母親は、息子が「第九」で仕事をしているという、ずっと抱いてきた不満を、爆発させるのだろう。

この、母親だったら。

本当なら、ここは、こうなる程に、娘の死に苦しむ母親の姿に、その母親を、哀れと思い、同情するところなのかもしれないけれど。
私は、全く、共感も同情も、出来なかった。

現実の、亡くなった母を思い、また、娘を持つ母としての自分を思い。
色々と、想像してみたけれど。
どうしても、この、青木の母親の言動は、理解出来ない。

エリートの息子を持ち、その息子が第九に配属されたことも。
結婚した娘が、その旦那さんと共に惨殺されたことも。
経験が、無いからだろうか。

そういったことを、実際に体験したら、私もこの母親のような態度に、出るのだろうか・・・?

母親の後ろで、雪子が「一行さんのせいじゃないです」と、呼びかけているけれど。
青木自身が、「オレのせいじゃないよ」と言う人間だったら、この場は、違ったものになっていただろう。

その前に、他ならぬ青木自身が、自分の仕事に、罪を覚えた。
だからこそ、そこを突いた母親の言葉に、何一つ、反論することが出来なかった。
青木は、母の怒りを悲しみを、当然のように、受け入れた。
青木だって、苦しんでいるのに・・・・・。

辛いシーンではあったが、この、「MRI捜査の罪深さ」に、青木が事前に、気付いていて、良かった。
姉の死そのものの、その悲しみで心がいっぱいで、他のことに気付いていなかったら。
青木はここで、母親にこんなことを言われて、初めて「自分のせいなのだろうか?」と自問し、傷付くことになっただろう。

その前に、自らそのことに気付き、深く深く苦しんだからこそ、母親のこの怒りを、この場で、受け止めることが出来た。
「捜査に、参加させてほしい」と、しっかりとした決意を持って、薪さんに、願い出ることが出来た。

まあ、ここで青木がこんなことを言い出さなければ、青木の母も、やっとの思いで耐えていた神経を逆撫でされ、「まだそんな事を・・・」と、言い出すことも、無かったのかもしれないが。

・・・青木、母親の目の届かないところで、言えば良かったんじゃ・・。
でも、思い立ったら即行動の君だもんね。
それに・・胸に湧き上がった決意を、今、口にしなければならない程、君は、追い詰められていたんだろうから。

この母親のセリフに、行動に、見ていた薪さんは、岡部さんは、他の第九メンバー達は、どう思っただろう。

第九の仕事を非難し、事件がそのせいだと主張する母の言葉を、真っ青になって、聞いていた薪さん。
繰り返し叩かれる青木を、見ていた薪さん。
まるで自分が打ち据えられているかのように、薪さんは、痛みを感じていたに、違いない。

そして、岡部さんや他の第九メンバー達も、この様子を目にして。
もし、自分の近しい人間が、殺人事件に巻き込まれたりしたら、自分も、第九の仕事のせいだと、その報いだと非難されるのだろうかと、そんなことも、思ったかもしれない。

青木の母親は、青木だけでなく、薪さんや、他の第九メンバー達の心にも、傷を付けたかもしれない。
娘を惨殺されたこの母親を、責めることは、誰も出来ないだろうが。

それにしても。

「秘密」の世界に出て来るキャラクターは、男性キャラは、それぞれに魅力があり、犯人ですら、その行動に説得力を感じるのに。
女性キャラは、どうしてこう、感情的で、愚かな人間ばかりなのだろう。

この母親、雪子はもとより、父親と同じDV男を選んでしまう葵なども。
絹子や郁子も、犯行に至る動機には、同情する部分もあったけれど、哀れで愚かな部分ばかりが描かれて、男性犯人に見られる、犯人ならではの賢さみたいなものは、見られなかった気がする。

唯一素敵な女性だと思っていた青木の姉は、こうして亡くなってしまったし・・・。

清水先生は、同性だからこそ、女性に、男性には無い、哀れさ愚かさを、見てしまうのだろうか。

・・・・・ここまで書いてきて、ふと、思った。

先程、「そもそも、自分の娘がこんな目に合ったら、葬儀の日まで自分が生きている気がしない」と書いたが。
もし、青木の母が、苦しみのあまり、自らの命を絶ったり、あるいは、痴呆症などの症状が出て、何も分からなくなったりしてしまったら、どうだろう。

・・・青木は、自分のせいで、姉夫婦だけでなく、母もこんなことになってしまったと、自らを責め、苦しむだろう。
今の状況以上に、絶望にあえぎ、それこそ、捜査に参加するどころでは、無いかもしれない。

そう考えると。

母親が、自殺もせず、病気にもならず、こうして叫びながらビシビシと青木を叩いてるこの状況は。
実は、非常に前向きな展開と、言えるかもしれない。





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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったCさま

○11/10に鍵拍手コメント下さったCさま

コメントありがとうございます。

そうですね、青木があんなに真っ直ぐに育ったのは、親の愛情をしっかりと受けたからだと、私も思います。
ただ、第九の仕事だけは、どうしても・・と、おっしゃるとおりだと思いました。

・・駄目ですね、自分の子供がまだ小さ過ぎて、この母親の気持ちを引き寄せて考えることが出来ません。
思春期以上の子供を持つ親なら、子供が自分の思いどおりに進まない時の、鬱屈した気持ちなどが、多少は理解出来るのでしょうか・・。

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