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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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後編


雪子が呆気に取られていると。
いつの間に手にしていたのか、4人は皆、額に鉢巻を結んでいた。

2人は、「薪剛 親衛隊」と書かれた、ブルーグレーの鉢巻。
2人は、「鈴木克洋 親衛隊」と書かれた、ライトグリーンの鉢巻を・・・。

「あの・・どういうこと・・?」
ようやく雪子が言葉を口にすると、彼女達は、言った。

「どういうことって、見てのとおりよ」
「私達は、薪さんと鈴木さんの、親衛隊なの」

「・・・・・・」
絶句しつつ、雪子の脳裏には、職場の後輩のセリフがよみがえる。

「鈴木さんって、変わり者ですよねえ」
スガちゃんは、休憩中、お菓子を口にしながら、言ったのだ。
「第九一どころか、科警研一のイケメンと誉れ高い鈴木さんが、よりによって先生を選ばなくてもいいと思いますけどね~」

スガちゃんの言葉に、雪子は振り返る。
「科警研一のイケメン? 克洋君が?」
「そうですよお。ヤだなあ、自分の恋人なのに、知らないんですか? 女性職員の間で、もっぱらの噂ですよ。それだけの男をゲットしたってのに、先生ったら、ありがたみが分かってないんだから」

「・・・・・・」
確かに、言われてみれば、鈴木はイケメンかもしれない。
いや、いい男だと自分も思ったからこそ、付き合っているのだが。

でもそれは、恋人の欲目というものだろう。
大体、切り開いてしまえば、人体の骨格なんて、大差は無い。
その上に乗っている皮膚一枚で、それ程に騒ぐことだろうか。

もちろん、その皮膚が、突出して完璧に整っていれば、また話は違うだろうが・・・。

「薪さんは、また別ですけどね」
ドクン。
耳に届いたその名に、雪子は、たった今、脳裏に浮かんだその顔を言い当てられ、鼓動が高鳴るのを感じた。

「えっ? 今、何て・・」
「どうしたんですか?」
戸惑いを見せる雪子に、スガちゃんは肩をすくめて見せる。

「薪さんは、イケメン度では、ランク外なんですよね。イケメンと言うより、あれは美人部門だって」
「美・・・」
「密かにアンケートが取られたこともあって、並居る美人研究員を抑え、薪さんが堂々の1位だったそうですよ。有名な話なのに、これも先生、ご存じなかったんですか?」

「・・・・・・」
「本当に、先生って、噂話にうといんだから。薪さんと鈴木さんには、親衛隊まであるって噂ですよお。あくまで噂ですけど。とにかく、先生を恨んでる女は沢山居る筈ですから、気を付けて下さいね!」

「・・本当だったのね」
スガちゃんの話を思い出した雪子は、一度目を閉じ、額に手を当てた。
そして目を開ければ、そこには、雪子の前に立つ、うら若き4人の女性達・・・。

雪子は、ここはひとまず、人生の先輩として、諭す方向に向かうことにした。
「あの・・さ。余計なお世話かもしれないけど、克洋君や剛君は、あなた達から見たら、おじさんよ。せっかく若いんだから、もうちょっと、自分に見合った男性に目を向けた方がいいんじゃない? 彼らの年を知ってるの? 剛君だって、ああ見えて・・・」

「知ってます」
「おじさんだなんて、失礼な!」
「我らが薪さんは、永遠の青少年ですっ!」

「せ・・・」
またも雪子は、絶句せざるを得ない。

『先生を恨んでる女は沢山居る筈ですから、気を付けて下さいね』
スガちゃんのセリフがよみがえり、雪子は、自分が鈴木と付き合っていることが、この女性達にとって気に入らないのかと思ったが。
それにしては、さっきの彼女達の言葉は、合わない気もする・・・。

「ねえ、結局、あなた達は、何が言いたいの? 私にどうしてほしいわけ?」
雪子は改めて、尋ねた。

「だからさっき・・」
言い掛けた一人の言葉を、もう一人が制した。
「ちょっと待って。最初から説明しないと。この女、何も分かってないわよ」
彼女達は、互いに目配せし合い、そして、受付け嬢が、話し出した。

「私達は、薪さんと鈴木さんの親衛隊、こちらの二人が主に薪さんの、こちらの二人が主に鈴木さんの追っかけを担当しています」
「追っかけ・・って・・」
目を丸くする雪子に、女性は、話を続ける。

「私達は、薪さんと鈴木さんの動向を追っています。朝、何時何分に登庁したか。その際に、誰と一緒だったか。服装は。コートの色は。ご機嫌はいかがなご様子か。表情や、足取りまでチェックしています」
「そんなことまで・・・!」雪子は、またも絶句する。

「何時何分に、何の資料を取りに来たか。あるいは、来させたか。部下の方が来た時は、さり気なく、薪さんや鈴木さんのご様子も探り出します」
「それぞれの立場から、出来る限りの情報を集めて、皆でその情報を交換すれば、たとえ、一人一人の力は微力でも、薪さんと鈴木さんの日々の行動が、手に取るように分かるんです!」

「ちょっ・・ちょっと待って」
雪子は、手を挙げて、話を遮る。

「警察関係者の動きは、公にしたらまずいんじゃないの? 捜査官の行動をチェックして情報交換し合うなんて、事件や捜査の秘密を漏らすようなことになったら・・」

「守秘義務は、ちゃんと守ってます」
「私達で情報確認するだけで、外部にはおろか、研究所の内部の他の人間にも、一切漏らしていません」

キッパリとそう言う彼女達に、雪子は、胸を撫で下ろした。
彼女達は、第九の捜査事項を、外に漏らすようなことはしていない、そこは、科警研に勤める者としての良識はあるらしい・・・。

「薪さんや鈴木さんが、休憩時間に、第九の外に出る姿を目撃したら、即連絡を取り合って、その時に、自分も休憩中の者が、後を追います」
「追います、って・・・」
雪子は、それ以上言葉が出ない。

「外食だったら、自分もその店に入るか、入れない場合は、どの店で誰と入ったかをチェックしていました。庁舎内のカフェでも同様です。近くのテーブルに座って、どんな会話をなさっているのか、全身を耳にして聞き入っていたんです」

げげげげっ・・・。
ということは、自分が薪や鈴木と庁舎内で会っている時は、その会話も聞かれているということか・・・。

「それって・・」
既に犯罪ではないか・・と言いたくなったが。
ふと、雪子は思った。
鈴木はともかく、あの薪が、彼女達が自分達を追っていることに、気付かないとは思えない。

「そんなことまでして、剛君には、気付かれないの?」
雪子が聞いてみると、彼女達は、また目配せし合い、そして、言った。

「一度、薪さんに、呼び止められたことがあります」
やっぱり・・雪子は、そう思った。

「薪さんは・・・」
女性は話す。
薪は、こう言ったのだ。

『君は、鈴木のことを追いかけているようだけど、そういったことは、やめてくれないか。鈴木は優しい奴だから、知っても、君を咎めることは無いかもしれないが。僕は不愉快だ。そんなことを続けるようなら、僕が許さない』

丁寧に、けれどキッパリとそう言われ、女性は、うなずくしか、なかった。

「そう・・。剛君がそんなことを。それで分かったでしょう? こんなこと・・」
雪子は神妙な顔で言いかけ、そして・・目の前の女性が、キラキラと瞳を輝かせていることに、気が付いた。

「何て・・素敵なの!」
「えっ? えええっ!?」
相手の言葉に、雪子は、眉をしかめて、相手を見つめる。

「だってもう!薪さんたら!自分が見られてるとは、滴ほども思わないんだからっ!追いかけられてるのは、鈴木さんだけだとばかり思ってらして・・。ああ、やっぱり素敵だわ、あの二人! あんなことを目の前で言われるなんて、これまで、追ってきたかいがあったわ・・!!」

両手を胸の前で組み、空を仰いで瞳を潤わせる相手を見て、雪子は、思わず後ずさる。

「鈴木さんにも、言われたことがあるのよね!」
「そうそう!」

今度は、別の女性が話し始めた。
「いつものように、鈴木さんを追いかけていたら、ある日、声を掛けられて・・・」

鈴木は、こっそりと彼女を呼び止めると、言った。

『君、薪のファンかい? 気持ちは分かるけど、追っかけみたいなことは、やめた方がいいな。薪は、自分のことには無頓着だから、気付いてないようだけど。もし、こんなことを続けるようなら・・・オレも容赦しないから』
最初は笑顔だった鈴木の顔が、一瞬、鋭さを帯びた。

そして、ふっ・・と表情を緩めると・・
『だから、忠告は聞いてもらいたい。よろしく頼むよ』
最後はまた笑顔になって、彼女の肩を、ポンと叩くと、鈴木は去って行った。

「そうなの・・克洋君も・・・」
雪子が言い掛けると、またも、相手は喜びの表情を見せる。

「鈴木さん! サイコーーーーっっ!!」
ガッツポーズを取るその姿に、雪子は、更に後ずさった。

「あの穏やかな鈴木さんが、薪さんのこととなると、途端に表情が変わるのよっ! それを間近に見られるなんて・・感激!!」
「鈴木さんも、自分が見られてるとは思わないのよねえ。視線を感じると、それは全部薪さんに注がれてると思ってる。きっと、そんな薪さんの傍に居ることが、誇らしくて仕方ないのよね!」

「互いに、相手のことしか見えてないって言うか~」
「そこがいいのよね!」
「相思相愛よねっ!!」

今や4人は、頬を染め、手を取り合って、はしゃぎまくっている。

「何なの? これって・・・」
雪子は呆然とし、そこから、立ち去ろうと歩み掛け・・・

「ちょっと待った!」
「話は、まだ終わってないわ!」
女性達に、行く手を塞がれた。

「・・何なのよ」
今やもう、雪子は、彼女達の話を、まともに聞く気がしなかった。

女性達は、表情を引き締めて、話し始める。
「薪さんと鈴木さんに忠告されて、私達は、会話を盗み聞きするようなことは、やめたの」
「プライバシーを侵害しないように、遠くから見守ることに、決めたのよ」

腕時計を見て、更に周囲を見渡しながら、つまらなそうに話を聞く雪子に、女性達は、顔を上げて言った。
「私達は、ずっと、薪さんと鈴木さんを見てきた」
「二人の絆が、どんなに強いか、よく知ってる」
「なのに」

言葉を切った彼女達に、雪子も、顔をそちらに向ける。
「一番近くに居るあなたが・・何も、分かってない・・!」

先程までとは打って変わった、真剣な表情でそう言われ、雪子も、相手を見返した。

「分かってないって・・どういうこと?」
雪子の問いに、女性の一人が、フン・・と、鼻を鳴らした。

「三好先生、あなたって、本当に鈍いのね」
「薪さんにとって、鈴木さんがどんなに大切な人間か、ちゃんと分かってるの?」
「え・・?」

雪子は、先程の光景を思い出す。
カフェで、鈴木が近付いた時、目を上げた薪。
それまで、他の部下達と笑い合っていた薪が、瞬間的に見せた、その瞳。

雪子は、胸が、ギュッ・・と、痛くなった。
これまでに見てきた、薪の表情は、鈴木を見つめていた顔は・・あれは・・・・

「まさ・・か・・」
つぶやく雪子に、女性は、更に言う。

「あなたが、鈴木さんを一途に想うなら、私達も、あなたと鈴木さんの仲を、祝福出来たかもしれない。でもあなたは」
続く言葉に、雪子は、心が凍り付いた。

「あなたは、いつだって、薪さんを見てるんだもの」

「!!・・・・・・」
雪子は、何も言えない。

「薪さんの前に出ると、途端に口ごもったり」
「そうかと思うと、急にムキになったり」
「態度がガラッと変わるんだもの。見え見えなのよ!」

「鈴木さんは、あなたのこと、本当に好きみたいだけど。あなたは、それを裏切ってる。少しは、自覚したらどうなの?」
「だったら、さっさと鈴木さんと別れて」
「私達の大切な、薪さんと鈴木さんから、離れてよ!」

何の関係も無い彼女達に、こんなことを言われる筋合いが、あるのだろうか。
本来なら怒るところだが、不思議なことに、そんな気持ちは起こらなかった。

それよりも、次々と、信じられないことを聞かされて、言葉が出てこない・・と言った方がいいかもしれない。
いや、本当は、知っていたのかもしれない。
けれど自分は・・・・

「ちょっと! 聞いてるの!」
「いい加減に・・っ!!」

黙っている雪子の様子に、一人が、思い余って、手を伸ばした、その瞬間・・
「ハッ・・!」
「ぎゃあああああっ!!」

しまった!
雪子は思う。

考えごとに気を取られていたせいで、無意識に、身体が反応してしまった。
気が付いたら、手を伸ばしてきた相手を、抱え上げていた。

自分の黒帯びは、不審な人影や、自分を追う怪しい男に使う物だ。
か弱い(?)かどうかは知らないが、少なくとも、こんな女の子に使う物ではない・・!

寸でのところで、雪子は相手を地面に投げ飛ばさず、とっさに庇って着地をさせた。

「ぐっ・・!」
それでも、一度身体を抱え挙げられた相手は、相当ダメージをくらったようで・・・

「大丈夫?」
「この女・・!」
他の女性達が、投げられそうになった女性を囲み、雪子に詰め寄ると・・

「どうした?」
「何だか、凄い声が聞こえたぞ」
近くを歩いていた職員が、騒ぎに気付いたようだった。

「チッ」
女性達は舌打ちをすると、雪子を睨み付け、あっという間に、走り去って行った・・・・。

一人残された雪子は、しばし、呆然と佇んでいたが。
やがて、職場に向かって、歩き始めた。

それまで、何も見えていなかった雪子が。

薪の、鈴木に対する気持ちや。
自分の、薪に対する気持ちを。

意識するようになるのは、この出来事が、あってからだった。




雪子の災難 終





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