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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※清水先生の作品とは、関係ございません。


オリジナルストーリー

「交差点」



薪は、そこに座っていた。
ブルージーンズに、濃い茶色の軽いダウンジャケットと、ごくカジュアルな格好で。

駅から少し離れた、広場のベンチ。
待ち合わせた男は、まだやって来ない。

「・・すいません!」
視界に入る人波の中から、一人の男が抜け出し、薪に近付いてきた。

「すみません。あの・・○○駅の西口は、どこだか分かりますか?」

声を掛けてきた男は、年は20代半ばから後半。
身長は、175~180センチ。
前髪だけをやや伸ばした短髪を明るい茶色に染め・・いや、眉毛と睫毛も同じ色だから、地毛だろうか。
肌の色は白くも黒くもなく、くっきりとした二重でありながら、切れ長でもあるその目は、エキゾチックな様相を呈している。

瞬時に相手の顔の特徴を捉えながら、「どこの国との混血か・・」そんなことを、薪は思う。

「あの・・君・・」
「そこの交差点を右折して下さい。西口までは、500メートル程です」
薪の滑らかなテノールを聞き、相手は少し、驚いた様子を見せたが。

「そう・・ですか。どうもありがとうございます」
男は、ニッコリと笑う。

用は済んだ筈なのに、男は、そこから動こうとしない。
最初から、道を聞くことが目的ではないと、薪は、これまでの経験から悟っていた。
だが、道を尋ねられればとっさに説明してしまうのは、職業上のサガだろうか。

男は、言う。
「一人ですか? それとも、誰かと待ち合わせ?」

予想どおりの展開に、薪は横を向き、立ち上がる。
「ちょっと待って!」
男は、薪の肩に手を乗せようとし、薪はスッとそれをよけた。

「あ・・」
その軽やかな身のこなしと、続いて男を貫く薪の冷たい視線に、男は手を引き、戸惑った様子を見せる。

そこへ・・

「薪さん!」
声と共に、走り近付く足音。

「すみません。遅くなって・・・」
薪に駆け寄った青木は、ハアハアと息を付き、それから、薪の傍らに立つ男を見た。
そして、薪に尋ねる。

「こちらは?」
「道に迷った男だ」
「え?」
薪の返答に、青木は目を見開き、それから、男の顔を改めて見る。

「あ、あの」
戸惑いを見せていた男は、青木を見て、ニッコリと笑顔を作り、話す。
「君達、時間ある? オレはケント。皆には、ケンて呼ばれてる」

「何故、名乗る必要が?」
薪の言葉に、男は答える。
「人を誘う時は、まず名乗るのが礼儀だろ? これから、友達の店に行くところなんだけど。良かったら、一緒に行かない?」

「え?」
突然の誘いに、青木は目を瞬かせていたが、薪は男に背を向け、青木に声を掛けた。
「青木、行こう」

そして、薪が立ち去ろうとした、その時。

「・・ちょっと待ってよ!」
男は再び、薪の肩に、手を伸ばした。
その手が、薪に触れるその前に、薪の身体は、スイッ・・と、何かに動かされ・・・

「オレの薪さんに、触るな」

男は、目をパチクリさせた。
薪の肩を、青木の長い腕が抱きかかえ、自分の身に引き寄せていた。
そして青木は、目を細め、鋭い視線で男を射抜いている。

「あ・・」
目の前の光景に、男が唖然としていると、薪は青木の腕から離れ、歩き出した。
その後を追うように、青木も歩き、薪に並ぶ。

遠ざかる二人の後ろ姿を見ながら、男は、ヒュッ・・と、小さく口笛を吹いた。
そして、肩をすくめると、ポケットに手を突っ込み、男もその場から去って行った。

薪と青木は、歩きながら話す。
「薪さん、すみませんでした。思った以上に、買い物に時間がかかっちゃって・・」
「それで? 目当ての物は買えたのか?」
「ええ」
青木は、手にした紙バッグを、抱え上げて見せる。

「とりあえず、1足買ったんですけど。色違いの方が気になって・・でもそれは、サイズが無かったんですよ。取り寄せてもらうことになったものですから、それで手間取って」
「また2足増えるのか。その分、処分もしろよ」
「え?」

「お前の靴は、場所を取る。傷んで履かない物は処分しろ。フィレンツェで買った靴とか。大分履き込んでいるだろう」
「・・・だったら、履きます」
「あんなに傷んでるのに?」
「まだ履けます。・・履かない物は捨てろと言うなら、履きます」

そう言う青木を見上げ、薪は、そっと微笑む。

「? 薪さん?」
覗き込む青木に対し、薪は、前を向いたまま、言う。

「僕はいつから、お前の所有物になったんだ?」
「え?・・・・」

青木は瞬きをして、薪を見つめる。
薪の表情は静かで、何を思っているのか、分からない。
けれど青木には、それが、自分を咎める言葉に聞こえて。

「・・すみませんでした。あんなこと言ってしまって・・」
「あいつは、僕の顔を知らないようだったからいいが。公の場で、あんな発言を、不用意にするものじゃない」
「・・はい」

青木は、力なく返事をした。
見知らぬ男が、気安く薪に触れようとしたのを見て、とっさに、あんな言葉が出てしまったのだ。

『オレの薪さん』つい、そう言ってしまった。
薪の言うとおり、公衆の面前で、ああいった言動は、薪の立場を悪くするだろう。

それに、『いつから、お前の所有物になった?』そのとおりだ。
恋人同士だからと言って、安易に薪を「自分の物」だと主張するのは、控えるべきかもしれない。

あれ?でも、以前「お前の、僕だ」と言ってくれたこともあったような気がするが・・・

青木が、頭を掻きながら、ぐるぐると考えをめぐらせていた時。
交差点の赤信号で、二人は立ち止まった。

青木が気付くと、薪が、青木を見上げていた。
そして・・・・

「え!?」

青木は、目を大きく見開いた。
信号が変わり、人波と共に、薪は歩き出す。

「薪さん・・今、何て・・!」
一人立ち尽くしていた青木は、慌てて薪の後を追う。

その声は、耳に届かなかったが。
薪の艶やかな唇は、確かに、その言葉を、形作ったように見えた。

「ぼくの、あおき」と。




交差点 終




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コメント

■ 

「ぼくの、あおき」
‥‥‥‥ぼくの‥‥‥
くうぅぅぅぅぅ‥なんて‥なんて心をわし掴みにするお言葉でしょうか‥。

失礼しました、またまたおじゃましてすみません‥おまけに今頃‥。

確かに所有物ではないけれどお互いの心はお互いのもの‥
お互いで占められているのですね。
深くて強いお二人の絆がダイレクトに伝わってまいります。

そして交差点の雑踏‥
そこに存在するお二人がはっきり浮かび上がってまいりました。
少しだけ傾いた陽に浮かび上がる二人がはっきりと。
なんて目立つ二人なのでしょうね、
私だったら‥きっと後をついて行ってしまうでしょう(笑)

その光景が浮かんでくる描写力もすごいのですが
‥かのんさんのお話は、いつ読ませていただいても
心に一陣の爽やかな風が吹き抜ける様な清涼感があります。
深呼吸したくなるような‥。


今頃申し訳ありません、
レスなどお構い下さいませんよう。
失礼いたします。

■ ruruさま

○ruruさま

コメントありがとうございます!(^^)

> 「ぼくの、あおき」
> ‥‥‥‥ぼくの‥‥‥
> くうぅぅぅぅぅ‥なんて‥なんて心をわし掴みにするお言葉でしょうか‥。

きゃあああああっ☆☆☆
いえ、ruruさんのこのお言葉に、心をわし掴みにされました。
なんてなんて、ありがたいお言葉なのでしょう・・(;;)

> 失礼しました、またまたおじゃましてすみません‥おまけに今頃‥。

とんでもございません!
お越し下さり、とても嬉しいです!!

> 確かに所有物ではないけれどお互いの心はお互いのもの‥
> お互いで占められているのですね。
> 深くて強いお二人の絆がダイレクトに伝わってまいります。

こんな、ほんのワンシーンのお話で。
そのような感想をいただいて・・何と申し上げたらよろしいか・・とにかく、感激で胸がいっぱいです。

> そして交差点の雑踏‥
> そこに存在するお二人がはっきり浮かび上がってまいりました。
> 少しだけ傾いた陽に浮かび上がる二人がはっきりと。

ありがとうございます。
はっきり浮かび上がるのは・・原作の薪さんや青木の存在感と、ruruさんの想像力の豊かさによるものだとは思いますが、それでも、とても嬉しく思います。

> なんて目立つ二人なのでしょうね、
> 私だったら‥きっと後をついて行ってしまうでしょう(笑)

プハッ☆
ちょっと想像して、ウケてしまいました(≧m≦)

> その光景が浮かんでくる描写力もすごいのですが

びょびょ・・びょうしゃりょくだなんて・・・穴があったら入りたい思いです(><;)

> ‥かのんさんのお話は、いつ読ませていただいても
> 心に一陣の爽やかな風が吹き抜ける様な清涼感があります。
> 深呼吸したくなるような‥。

ぶわっ・・・と、このコメを拝見した時、涙が滲んで参りました。
こんな素晴らしい感想をいただけるなんて・・もったいなくありがたく・・
言葉になりません。

本当に・・ありがとうございました・・!

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