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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene5:相違


泊り込みの捜査が、続いていた。
メンバー達は、交替で休憩を取り、仮眠室で仮眠を取り、また、自宅に帰ってシャワーと着替えを済ませて仕事に戻るといったことを、繰り返していた。

「僕は僕で、合間を見て帰る。お前も、自分の仕事の区切りのいい時に帰れ」
薪はそう言い、青木と共に部屋に戻ることは無かった。

以前にも、こういうことがあった。
あれは、イタリア人捜査官のファビオが研修に来ていた時だ。
その前に、薪と小さな諍いがあった青木は、薪が自分を避けていると、思い悩んだ。

だが薪は、多忙を極めた仕事に気を取られていただけであり、青木を避けていたわけではなかった。
そして、共に帰らなかった理由は・・・

そのことを思い出すと、青木は、口の端が緩む。
自分ばかりが、見当違いに思い込み、無駄に思い煩っていた。
薪の想いは、確かに、そこにあったのに・・・。

今回の様相も、あの時に似ている。
薪は、仕事にまい進しているのだ。
そう、青木は自分に言い聞かせる。

なのに、どこか釈然としないのは、何故なのだろう・・・・。

「薪さん、青木です」
室長室の前でそう言い、ドアをノックしても、返事が聞こえない。

「・・失礼します!」
大きな声でそう言って、返事を待たずにドアを開けると、薪はデスクを前に、椅子に座っていた。
デスクに肘を付き、その手のひらで、目から額を覆うようにして。

青木が、その姿を目に留めると同時に、薪はハッとした様子で顔を上げ、向こうを向いた。

「・・薪さん?」
青木は、大股で歩み寄る。

「薪さん。どうしました?」
青木が傍らに立ち、薪に声を掛ける頃には、薪は顔を正面に戻し、端末のキーを叩き始めていた。
その顔は、ごく平静だった。

「薪さん・・大丈夫ですか? 少し休んだ方がいいんじゃないですか?」
「平気だ」
薪は短くそう答え、キーを叩き続ける。

「薪さん・・」
薪は、また無理をしている。
そう思い、青木は胸がいっぱいになる。
二人きりという気安さから、思わずその肩に手が伸びた。

カタン・・!
青木が触れるその前に、薪は立ち上がり。
部屋の隅まで数歩歩き、そこにあった資料を手に取る。

「用件は何だ」
資料をめくりながら、薪は言う。

「あの・・報告書です。先程薪さんに指示された部分を修正しましたので、見ていただけますか?」
「分かった。そこに置いていけ」
「・・・・・・」

薪は、手元の資料に目を落としたまま、そこを動こうとしない。
「分かりました。では・・失礼します」

青木はデスクに書類を置くと、部屋を後にした。

パタン・・。
ドアが閉まる音と共に、薪は目を伏せた。
そしてそこに立ったまま、片手で、再び顔を覆った・・・・・。

室長室のドアを背に、青木は、そのままそこに立ち尽くした。
やはり、あの時と似ている。

あの時も、青木が、疲れた様子の薪に手を触れようとしたら、薪にその手を、払われたのだ。
「同じだ。あの時と・・・」
そう、声に出す。

あの時と同じ。
薪は、緊張を緩めたくないのだ。
声に出すことで、青木は、自分にそう信じさせようとする。

なのに、何かが違う。
あの時とは、何かが・・・

「・・・!!」

青木は、そこでハッとした。
先日から、薪に漂う違和感。
あの時とは、何が違うのか・・・・

「目を・・・」
薪が・・・・自分と、目を合わせないのだ。

ファビオの一件の時と、状況は似ているが、あの時は、薪はいつも、こちらをしっかりと見ていた。
けれど、今回は。
薪は、自分を見ようとしない・・・。

そう、もう何日も。

「薪さん・・!」
振り返り、再びそのドアを開けようとしたその時。

「青木、何してる?」
岡部が、声を掛けてきた。
「あ・・・」
言葉を失う青木に、肩をすくめ、岡部は書類を手に、ドアをノックした。

「薪さん!岡部です!」
「入れ」
薪の声と共に、岡部がドアを開け、中に入っていく。
「薪さん、やはり被害者は見ていました。ここなんですが・・・」

「青木! 手は空いたか? 買出しを頼みたいんだが、行けるか?」
「あ、はい!」
先輩に呼ばれ、青木はその場を離れた。

その日の夜。
正確には、明け方近くになって。

第九が抱えていた、複数の事件、全てに区切りが付いた。
「ご苦労だった。正式な報告会議は、明日の朝になる。今日は全員帰宅して、休んでおけ」
薪はそう言い、それから、岡部に声を掛ける。

「僕はこの後、各部署への報告に行ってくる。岡部、この資料を所轄と警視庁にまとめて送信しておいてくれるか?」
「分かりました。必要なのは・・・」

話の続く薪と岡部を残し、他の者は、帰り支度を始めた。

「何してんだ? 青木」
「さっさと帰るぞ。明日は、早朝出勤だ」
先輩達に声を掛けられ、薪の姿を見ていた青木も、周囲を片付け始める。
出来れば、薪の仕事が終わるまで、ここで待っていたい・・・・。

そう思いながら、青木は、切っておいたケータイの電源を入れる。
「あ・・」

そこには、舟木からの、メッセージが入っていた。





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