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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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※清水先生の作品とは、関係ございません。

前中後編の、全3話です。


オリジナルストーリー

「デートに行こう!」


前編



やっと仕事の区切りが付いた、その日。

薪に振って沸いた、泊りがけの出張。
連日、第九に泊り込みだった薪は、青木と共に一度帰宅すると、すぐにシャワーを浴び、身支度を整えた。

最後に、黒いコートを羽織りながら、薪は言う。
「土曜の午後に、帰る」

「・・・・・・」
青木は、無言で薪を見守る。
いつものことだが、捜査が立て込んでいる時は、薪に、しばらく触れられない。
そしてそのまま、二人で共に過ごすことなく、慌ただしく出て行く、薪・・・。

玄関で靴を履く薪を、青木は、廊下に佇み、見つめている。
そんな青木を振り返り、
「・・・・・・」
薪も束の間、無言になる。

薪の様子に、青木は、自分がいつの間にやら、情けない顔をしていたことを知る。
そしてそんな自分に、更に情けなさが増す。

薪の瞳が、青木を見上げ、それから、その唇が、ゆっくりと開いた。

「・・僕が帰ったら、デートでも、するか?」

「え・・?」
青木の目が見開き、口までポカンと開いた。

「行ってくる」
言うと同時に、背を向け外へ踏み出す薪を、
「あ・・い、行ってらっしゃい!」
青木は何度も瞬きをしながら、慌ててそう言い、見送った。

薪の出張は、2泊3日。
金曜は、薪が不在のまま、第九での仕事が進められた。
勤務時間中は、仕事に没頭していたが、第九を出ると、途端に、青木の心は、薪へと飛んだ。

『デートでも、するか?』
薪の声が、頭の中で、ぐるぐると巡る。

もちろん、休日は、薪と共に出掛けることもある。
一緒に住んでいれば、日用品や、食材の買出しがある。
遊びに出たり、ついでに外食することも。

だが、「デート」と銘打って出掛けたことが、今までに、あっただろうか。
薪の珍しい一言で、「共に出掛ける」という珍しくも無い行動が、青木にとって、心弾む物に変わった。

前夜から青木は落ち着かず、薪が帰ったらどこへ行こうかと、考え始めたら、眠れなくなった。
ベッドから抜け出し、最新のデートスポットについて、ネットで調べ始めたら、瞬く間に時間が過ぎた。

そして、金曜のこの日、仕事を終え、庁舎を出て歩き出した青木は、ふと、ウィンドーに映る自分の姿に目を留めた。

そして、ケータイを取り出すと、馴染みの理髪店に電話をした。
幸いすぐに予約が取れ、「じゃあ、1時間後に伺います」そう言って、電話を切った。
髪が、大分伸びてしまっていたことに、気が付いたのだ。

予約時間まで、まだ間がある。
青木の足は、自然に、行き付けのメンズショップへと向かった。

青木は元々、さほど服装を気にするタイプではない。
基本的に、男は中身で勝負する物だと思っているし。
服などは、その場にふさわしく、清潔で動き易ければ、それで充分だった。
だが。

「世界一の美人と並んで歩くんだったら、話は別だ」

内心の言葉が、いつの間にか、そう声に出ていたことに気付き、青木は、誰かに聞かれなかったかと、辺りを見回し、一人赤くなった。
薪と付き合うようになってからは、身に着ける物にも、多少は気を遣うようになったのだ。

しかも、今回は・・・

「デートですか?」
真剣に服を選ぶ青木に向かい、店員は、気安くそんなことを言ってくる。

青木の体格では、普通の店では、なかなか合う服が揃っていない。
スーツはオーダー出来るところもあるが、カジュアルな服となると、余計に、扱う店は限られてくる。
そんな理由で、青木が服を見繕うのは、いくつかの限られた店になり、スタッフも、すっかり顔馴染みになっているのだった。

「あ・・いえ」
言葉を濁して笑う青木に、店員も笑顔を見せる。

「何をお探しですか? シャツ? ジャケット? それとも・・」
「そうですね。何がいいかな・・」
青木自身、何を買うか、目的を定めて来たわけではない。
ただ、薪と並んで歩くにふさわしい物を求めて、入ってみただけだ。

季節のバーゲンセールで、服は買い足したばかりだ。
それらを、適当に組み合わせて着たっていい。
だが、せっかく来たのだから、手持ちの服と合わせられるよう、何か1着買っていっても・・・

「お気に召しましたか?」
青木が目を留めたディスプレイに、店員は手を伸ばした。

「こちらのジャケットでしたら、何にでも合わせ易いですよ。例えばこのコーディネートでしたら、ちょっと改まったレストラン等にも入れますし」
「・・そうですね」
「中のシャツを変えれば、もっとカジュアルにも・・」
「いえ」

青木は、続いて出た自分の言葉に、自分でも驚いた。
「このコーディネート、全部、試着してみてもいいですか?」

その夜、帰宅した青木は、袋をいくつも抱えていた。
結局、そこに飾られていた服を、一式購入してしまっていた。
そして靴も。

「また靴が増えたかって言われるかな・・」
つぶやきながら、青木は、散髪してスッキリとした襟足を、手でさすった。

薪と出掛けるなんて、いつもしていることだ。
記念日でも無い。
なのに、自分は一体、何をしているのだろう。

青木は、その夜も再び、ネットへと向かった。

翌朝。
前夜も遅く寝たにも関わらず、青木は、早く目が覚めた。
部屋の掃除をし、風呂に入る。

そうだ、昨日から、ニュースの類を見ていない。
薪から話を振られた時、世の中で何が起こっているか知らなかったら、呆れられるかもしれない。

青木は風呂から上がると、テレビを付け、新聞を広げた。
ネットのニュースも眺めて、最新のニュースの項目をチェックした。

そして青木は、身支度を念入りに整えると、部屋を出た。
薪のことは、空港から電車を一本乗った駅まで、迎えに行く約束をしていた。

そこから、薪と共に、デートに向かうのだ。
青木は、いくつか、薪の興味を引きそうなデートスポットを検索しておいた。
更に、どこで食事をするかも、ネットで調べて、見当を付けておいた。

せっかくのデートなのだからと、ちょっと良い店を、いくつか選んだ。
何が食べたいか、薪の希望を聞いてから、それが食せる店に、予約を入れればいい。
二人位なら、当日予約でも入れるだろう。
店の情報は、ケータイにブックマークしてあるから、すぐに電話出来る。

明日は日曜だし、食事の後、もう一軒、酒の飲める店に移動してもいい。
奥まったフロアで、生演奏を聞かせる店。
あるいは、ビルの最上階にある、夜景が見渡せるカウンターバー。
いずれも、少し値は張るが。

ピアノの調べに、耳を澄ませる薪の姿。
夜景を瞳に映し出し、グラスを傾ける薪の横顔。

そういった物を思い浮かべるだけで、青木は、他のことは、どうでもよくなる気がした。

駅に向かう途中、青木のケータイにメールが入った。
「飛行機が遅れている。何時になるか分からない」
との、薪からのメッセージだった。

そう言えば、薪の出張先では、今日は天気が荒れ模様だとニュースが流れていた。
こちらも曇り空ではあるが、崩れそうな感じでは無い。

青木は、空港まで迎えに行くことにした。





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