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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene4:みぞれ


青木が部屋を出ると、その後を追って、当然のように、小池と曽我も部屋を出ようとした。
だが。

「曽我!小池!」

城主が呼び止めるその声に、呼ばれた曽我と小池だけでなく、部屋の中に居た岡部と今井も、ピタリと動きを止めた。
宇野はと言えば、既に、その場から消え去っている。
曽我と小池が、恐る恐る顔を上げると、金茶色に光る瞳と、目が合った。

「客人と追いかけっことは。退屈しのぎにしては、随分面白い遊びを思いついたじゃないか」
薪は、静かにそう言った。

「そんなに城の中が退屈なら、外に出て、木登りでもしたらどうだ? 猫の身体には、平面を駆けるより、上下運動の方が適しているだろう。遠慮なく、なまった身体を動かしてきていいぞ」

ヒョオオオッ・・と吹き付ける風の音と共に、降り続く雪が、薪の背後の、小さな窓から、見えた。




「っの野郎!二度とここから出られないように、鎖で繋いでやるっ!」
いきり立つ白猫を前に、青木は、困った顔をした。

「それは構いませんけど。そうなると、用を足す時にこの周辺でするしか・・その時は、後始末をお願い出来ますか?」
「ぐっ・・!」
「まあまあ」
絶句する小池を、曽我がなだめる。

「ご迷惑をお掛けして、すみませんでした。もう二度と、あんなことはしませんから」
クウン・・と鳴いて、青木は首を垂れた。

「・・とにかく。城の人間が呼びでもしない限り、この部屋と外の間以外は、出歩くな。分かったな」
「はい」
小池の言葉に、青木はきちんとお座りした姿勢で、ワフッと鼻を鳴らした。

ダイニングルームでは、今井が、残った料理を下げていた。

「・・食が進みませんか?」
岡部が、薪に言う。
「最近、薪さんがあまり食べないようなので、宇野が気にしていました。薪さんの口に合わないのかと」

「・・雪の日は、少し食欲が無くなるだけだ。料理長のせいじゃない」
そう言うと、薪はヒラリと椅子から飛び降り、歩き始めた。

そのまま部屋を出る薪に、岡部が付き従う。
「先程は、すみませんでした。あんな騒ぎになるとは・・。オレが、きちんと監督していれば良かったんですが。犬は、大型な程、性質は大人しいもんなんですがね。あんな大胆な奴だったとは」

「・・・・・・」
薪は黙ったまま、前を向いて歩いている。
それは、怒っているとも、そうでないとも、受け取れたが・・。

そこに、宇野が現れた。
「薪さん。実は、ご相談したいことが・・・」

青木は、客間に大人しく座り、窓の外を見つめていた。
雪は、いつの間にか、みぞれに変わっていた。

『身体が回復し、吹雪が止んだら、出て行くんだな』
薪は、そう言っていた。
身体が完全に回復したことは、今や、城の皆が分かっているだろう。
これで、天気が良くなったら、自分は出て行くのだ。

そしてまた・・ある目的の為に、さすらうことになる。
でもその目的は、永遠に、果たせないような気がしていた。

青木は、この城の猫達のことに、思いを馳せる。
猫だというのに、人間と同様の服を着込み、前足で器用に物事をこなし、人間のような生活をしている、彼ら。

青木は首を回し、改めて周囲を見渡す。
この城だって、明らかに、人間が住む物だ。
だが・・住んでいるのは、猫達だけ。
彼らは、一体・・・・

『また、何が起こるか分からないから』『どんな呪いが降りかかるか』
彼らは、そんなことを言っていた。

「もしかして」という思いが、青木の脳裏に浮かぶ。
これは「呪い」なのか?
彼らは、本当は・・・・

そこで、青木は耳を立て、立ち上がった。
廊下の方が、何やら騒がしい。

ドアを開け、首を出してみると、小池と曽我が、宇野と話をしていた。
「・・って、どうすんだよ?」
「どうするも何も、無けりゃ、どうしようもないだろ?」
「とにかく、皆で何とかするしかない。対策を練る為に、岡部さんが召集をかけてる」

顔を寄せ合い、首をひねる彼らの背後で、声がした。
「何か、あったんですか?」




「焚き木が、足りないっていうのか?」
宇野の話に、薪は、眉をひそめた。

「ええ。調理用も、暖房用も。城の中のストックが、もう底を付いています」
宇野の報告に、岡部が、舌打ちをして、言う。
「城の裏手にある焚き木小屋にはあるんですが。この吹雪で、しばらく運べなかったんです。それでも、在庫チェックをして、数日、耐えられるだけの物は、あると思ったんですが。こんなに吹雪が続くとは思わなくて・・迂闊でした」

「・・それに加えて、客間の暖房や、あの大型犬の分の調理が加わったからだな」
薪が、考え込む仕草で言う。
「ったく。生肉でも食わせときゃ良かった・・」
岡部が頭を抱えてつぶやき、宇野がため息を付く。

「とにかく。何とかしますよ。宇野、皆を集めてくれ」
岡部の言葉に、家臣猫達が集まった。

皆、話を聞きつけ、不安げな様子だった。
焚き木がなければ、調理も出来ず、暖炉を使うことも出来ない。
厳しい寒さの中、それは深刻な問題だった。

「焚き木小屋に、取りに行くしかないだろう」
「誰が行くんだよ。この雨と雪の中で」
「中には、水に強い猫種の者も居た筈だ」
「手が足りない。無理だ」

「やはり、皆で力を合わせて運ぶしかない」
「オレ達は猫なんだぞ? 雨の中、外をちょっと通過するだけだって、やっとの思いなのに」
「食事を減らし、暖房も極力控えめにして、天気が良くなるのを待った方がいい」
「だが、いつこの雪や雨が止む保証がある?」

わいわいと騒ぐ猫達を、前に立つ岡部が制する。
「ちょっと待て。意見を少しまとめてから、発言しろ」

そこで、皆のやりとりを、奥に座って聞いていた薪が、立ち上がった。
進み出る薪の姿に、一同は、しんと静かになる。

「結論は一つだ。焚き木が無ければ、運ぶしかない。僕も加わろう」
薪の最後の一言に、その場がどよめいた。

「ま・・薪さんがそんなこと・・!」
「多少濡れても、焚き木があれば、暖炉で乾かすことも出来る」
驚く岡部に向かい、薪は言った。

「今は、少しでも多くの手が必要だ。僕とて、例外ではない」
薪がそう言った時、後ろのドアから、声が響いた。

「ウォウォンッ!」

「ミャッ!」
「ニャーッ!」
犬の鳴き声と、共に現れた大型犬の姿に、猫達は動揺の声を上げ、一斉に退いた。

自然に人垣・・猫垣が割れたその間を、宇野、曽我、小池、そして青木が通り抜け、前に進み出る。
「薪さん、曽我と小池が、提案があるとのことで」
宇野が、自分ではなく、曽我と小池の案として切り出したのは、先程の二人の失態を、埋めさせようという意図かもしれなかった。

「提案だと?」
薪が、首を傾け、聞き返すと、曽我が言った。
「この件に関して、青木の手を借りてはいかがかと」

「青木の?・・」
薪が見上げると、青木は、猫達の後ろに立ち、黙って薪を見ていた。

「はい。青木なら、雪や雨に臆することなく、大量の荷を運ぶことが出来ます」
小池が言い、薪は、しっぽを一振りして、青木を見つめた。

「確かに、いい案だ。だが、お前に依存は無いのか?」
薪の言葉に、青木は答える。
「はい。是非やらせて下さいと、オレから言いました。焚き木が減ったのは、たぶん・・オレのせいでもありますし。お世話になった皆さんの、お役に立ちたいんです」

青木が言い、薪はじっと、青木を見る。
「・・これは、城の皆の生存に関わる、大切な仕事だ。よそ者のお前に、任せて良いものか」

金茶色の瞳が、青木を射抜くように、見つめる。

「・・・・・・」
青木も、薪を見つめ返した。
昨日ここに訪れたばかりの自分が信用されないのは、当然だと思った。
それは、信じて下さいと口で言っても、仕方の無いことで・・・

薪は、前に進み出る。
そして・・青木の前に近付き、前足を伸ばして、ぽんぽんと、青木の首を叩いた。
そして言った。

「頼んだぞ」
「・・はい!」

傍らで見ていた岡部は、目を見張った。
薪が、こんなにも早く人を・・いや、人であれ犬であれ、よそ者を信用するとは、思いもよらぬことだった。

だが、青木に任せる薪の決断は正しい。
何であれ、今は、焚き木を確保するのが、先決だ。

「よし!じゃあ、焚き木を運ぶ準備を始めるぞ」
岡部は、皆に指示を出し始めた。





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