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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene8:窓


「ミャーーーーーッ!!」
それは、警戒を促す薪の声。

「オオカミだ!」
「皆、城の中に入れ!」
猫達は、素早く城へと駆け込んでいく。

「薪さん!お早く!」
岡部が、薪が登っている木に向かい、叫ぶ。
しかし、薪は降りてこない。

「あれは・・!」
岡部も、青木も、薪が何を見たのか、察知した。
それは、風に乗って、オオカミの声と共に聞こえる・・・

「人間の悲鳴だ!」
青木が言い、薪が叫ぶ。
「岡部!武器を!」
「薪さん・・何を・・!」
「いいから!早く!」

岡部が、皮袋を薪に向かって投げる。
薪は、キャッチすると同時に、木から降りていく。
「青木!」
「はい!」

木に向けられた犬の背に向かい、薪は飛び降りる。
「行け!!」
薪の声と同時に、青木は走り出した。

「薪さん!危険です!青木、止まれーーっ!!」
岡部の叫び声が響く中、青木は、森の中へと突っ込んだ。
オオカミの吠え声、女の悲鳴、馬のいななき・・それらが、どんどん近付いてくる。

辿り着いたそこでは、馬が怯えて足を踏み鳴らし、その足元に、一人の娘が立ち、木の棒を構えている。
そしてその前には、唸り声を上げる、オオカミが二頭。

「ウウウッ・・!!」
一頭が走り出て、娘に飛び掛かる。

「キャアッ!!」
その瞬間、青木が、娘の前に走り出た。
その背に、薪は居ない。

娘と、オオカミと、青木がぶつかり合った。
ドサッ・・!
娘は地に倒れ、気を失った。

「ウォンッ!!」
その娘と、オオカミの間に、立ちはだかる青木。

「ウウウ・・ウォンッ!!」
「ウウウウ・・・」
「グルルルル・・・」

そして、オオカミが、今まさに青木に飛びかかろうとした、その時。
「青木!目をつぶれ!」
上空から声が放たれ、オオカミ達が上を向く・・・

「ギャッ!」
「キャウン!!」

二頭のオオカミが、鳴き声を上げ、のた打ち回った。
薪は青木の背から離れ、木に登り、そこからオオカミ達に、武器を投げ付けたのだ。

「クウウ・・キュンッ!」
青木も、むず痒さに声を上げる。
目はつぶっていたが、鼻にツン・・とした刺激が伝わってきた。

「青木!今のうちに!」
薪は木から飛び降りると、立ちすくんでいた馬の手綱を持ち、娘を乗せるよう導く。
馬が背を低くしたところで、青木は、娘を馬に乗せた。

「ヒヒン・・!」
馬は、小さくいななくと、森の中を、走り始めた。
手綱を持っていた薪は、そのまま引っ張られてゆく。
「薪さん!危ない!」
青木が叫ぶ。

薪は、手綱をよじ登り、ひらりと身をひるがえすと、馬の背にしがみついた。
「おい!どこへ行く!止まれ!」
薪が声を掛けるが、馬はまだ怯えているのか、聞く耳を持たず、走り続ける。
青木も、その後を追った。

森の外れ近くまで来ると、馬の足並みが緩んだ。
「薪さん、大丈夫ですか?」
馬に並んで歩く青木が、声を掛ける。

「僕は大丈夫だ」
薪は、気を失ったままの娘を見やる。

「オオカミは、追ってきませんでしたね。あの武器は、何だったんですか?」
青木の問いに、薪は答える。
「調味料を布に詰めた物だ。コショウと唐辛子の粉末が入っている」
「コショウ・・どうりで・・」

「父が亡くなって以来、城の周囲のオオカミ避けの罠は、取り外された。猫になってからは、剣や槍などの武器も使いこなすことが難しい。そこで、これを考案したんだ」
「考えましたね。凄い威力でした」

薪と青木が話していると、馬は、歩みを止めた。
その先には、小さな家。

「う・・ん・・」
娘が目を覚まし、身を起こした。
そして辺りを見回し・・

「気が付いたか」
目が合ったその猫を見て。

「・・きゃああああっ!!」
・・叫んだ。
その声の大きさに、薪は耳をふさぐ。

「服を着た猫なんて・・初めて見るわ。なんて可愛いんでしょう・・!」
娘は、薪に向かって手を伸ばした。
その手を、薪は身をかわして避けると、馬の背から飛び降りた。

「薪さん」
薪に歩み寄る青木を見て、娘は目を見張る。
「あの時の・・」
そして、娘も馬から降りると、青木の目の前にしゃがんだ。

「森で会ったワンちゃんね。あなたが、私をオオカミから助けてくれたのね」
娘は、青木に向かって笑いかける。
「あ・・いえ、最終的に助けたのはオレじゃなくて、薪さんが・・」
青木は言うが、それは、娘にとっては、キャンキャンと鳴いているようにしか聞こえない。

「・・どうもありがとう!!」
娘は、青木の首に両腕を回し、ギュッ・・と、抱き締めた。

「・・!」
青木は、目を丸くして、自分の首にしがみつく娘を見やる。
それから、クウン・・とひと声鳴いて、娘の頬をペロッと舐めた。

「・・・・・・」
薪は、その様子を見て、目を見開いた。
そしてそのまま、娘と青木の姿を、じっと見つめていた・・・・。

娘は、青木から身体を離すと、
「ここが、私の家よ。中に入って」
そう言いながら、傍らに居た薪に手を伸ばす。
「あなたも、こっちにいらっしゃい」

「!!・・」
薪は、今度は身をかわすタイミングを失い、気付いたら、娘の手の中に居た。
「気安く抱き上げるな・・!」
薪が、身をよじってその手から逃れようとするが、娘はしっかりと薪を腕に抱え、家のドアに向かって歩いていく。

後を付いて歩く青木が、薪に言う。
「薪さん。もしかしたら、この娘さんが、あなたの運命の女性かもしれませんよ」
「は?」
薪は身を乗り出し、耳を立てる。

「危ないところを助けた・・運命的な出会いじゃありませんか」
「・・この娘は、お前が助けたと思っているようだがな」

「ワンちゃんと猫ちゃん、仲がいいのね。さっきから交替で鳴いて・・まるでお話ししているみたい」
言いながら、娘は家の中に入った。
青木も中に入り、娘はドアを閉める。

「ちょっと待ってね」
娘は、薪をテーブルの上に降ろすと、台所に向かった。

「・・他には誰も居ないようですね。こんな寂しいところに、女一人で暮らしているんでしょうか」
青木が言った。
「いや、男も居るだろう。夫か父親か・・男の持ち物が、あちこちにある」
薪が言い、青木が改めて周囲を見渡すと、確かに、男の衣服や靴、髭剃りナイフなどが、そこかしこに置かれている。

それに、見たことも無い、得体の知れない機械のような物がいくつも・・・。

娘が、食器を手に戻ってきた。
青木と薪の前にそれぞれ、ミルクの入った深皿とパンを置き、
「はい。どう・・」
「どうぞ」と、娘が言い終わるか終わらないかのうちに、青木は、もうそれらを口に頬張っていた・・・。

「あら、お腹がすいていたのね」
娘は、ククッ・・と笑う。

薪は、青木の様子を見て、小さくため息を付くと、自分もパンを食べ始めた。
「まああ! 前足でパンをちぎって食べるなんて・・なんてお利口な猫ちゃん!」
娘は、驚いて目を見張る。
薪はチラリと娘を見上げると、黙ってパンを食べ続けた。

更に娘は、青木を見やる。
「あら。もう食べ終わっちゃったの」
クウン・・と鼻を鳴らす青木の前に、娘はしゃがみ、そして、首輪に気が付いた。

「これ・・・」
娘の手が首輪に触れ、青木はビクッと身体を震わせる。

「凄い・・素敵ね。あなたによく似合ってるわ」
そう言うと、娘は青木の頭をぐりぐりと撫で、ニッコリ笑って立ち上がった。

「・・・・・・」
その様子を見て、青木も、そしてテーブルの上の薪も、娘を見つめる。

やや茶色がかった黒髪を束ね、スラリとした身体を、質素な黒いドレスに包んでいる。
村娘にしては肌は白く、黒い大きな瞳が、生き生きと輝いている。

娘は、テーブルの脇に置かれた椅子に座ると、頬杖を付き、話し始めた。
「ここには、父と私の、二人で住んでいたの」
まるで、薪と青木に向かって、話しかけるように。

「父は発明家で・・村の人達に変わり者呼ばわりされて、結局、ここに家を建てて移り住んでしまった。先月父が亡くなって、今は、私一人になってしまったの」
娘の話に、薪は、娘の姿を改めて見やる。
黒いドレスを着ているのは、喪に服していたということか・・。

「・・変わり者扱いされていたのは、父だけじゃないの。ほら、見て」
娘が指差す方角を見ると、その先には、大量の本が積まれていた。

「子供の頃から、父が集めた本に囲まれて育ったから、私も本が大好きになって・・女の癖に本が好きな変わり者と言われて、友達もあまり出来なくて・・。もし、あなた達が、私のお友達になって・・一緒に暮らしてくれたら、嬉しいわ」

そう言って娘は笑顔を見せ、それから、ふと気付いたように立ち上がった。
「そう言えば、馬を小屋に入れるのを忘れてた」
娘は、外に出て行った。

「薪さん」
「うん?」
残された薪と青木は、言葉を交わす。

「これは本当に・・もしかして、もしかするかもしれませんよ」
青木は、薪に向かい、首を伸ばして、話す。

「とても優しい人のようですし、美人だし、本が大好きな女性です。優しく美しく賢い・・まさしく、薪さんにふさわしい女性じゃありませんか?」
「・・・・・・」
「父親を亡くして、一人ぼっちのようですし。お城に招いたら、きっと、薪さんがお持ちの蔵書の数々を見て、喜ぶでしょうね・・」

青木が楽しそうに話すのに対し、薪は、伏し目がちに、言う。
「お前は・・彼女の喜ぶ顔が、見たいのか?」
「え?」
青木は、目を丸くして聞き返す。

「彼女は・・お前のその首輪を見ても、宝石に興味を示すようなことはしなかった。お前に命を助けられ、お前自身に感謝していた。そして・・一緒に居てほしいと言った」
「それは・・」
「彼女こそ、僕ではなく、お前が探していた、飼い主なんじゃないのか?」

「オレの・・」
青木は、娘が出て行ったドアを見つめた。

「お前だって、彼女のことが気に入ったんだろう? だから・・」
そう話す薪の脳裏には、青木を抱き締める娘の頬を、青木が舐める姿が浮かんでいた。

ほんの一瞬のことだったのに。
繰り返し、薪の頭の中で、その光景が現れるのだった。

「僕は帰る。城の者達も、心配しているだろう」
「待って下さい。薪さんが帰るなら、オレも帰ります」
そんなやりとりをしているところに、娘が戻ってきた。

「お腹はいっぱいになった? 今、寝るところを作るわね」
娘の言葉に、窓から外を見れば、もう日が暮れかかっていた。

「薪さん、今夜は、ここに泊めてもらいましょう。そして、明日になったら城に帰りましょう・・一緒に」
薪が、コクンとうなずいたのを見て、青木は、キュン・・と鳴いた。

「ワンちゃんは、ここにどうぞ」
青木は、娘が用意したマットの上に寝そべると、大きくあくびをした。
疲れきり、腹が満たされた身体は、すぐに深い眠りへと、落ちていった。

「猫ちゃんは、こっちね」
布を入れたカゴが、部屋の隅に置かれた。
薪がそこに入ると、娘も灯りを消し、床に着いた。

・・・盛んに、鳥が鳴いている。
青木は、目を覚ました。
何か・・夢を見ていたような気がする。

目を見開くと、周囲は薄暗く、登りつつある朝日の光が、僅かに差し込んでいる。
青木は、周囲を見渡した。
「・・薪さん?」

部屋の中をうろつき、薪の姿を探す。
薪の匂いがするカゴを見つけたが、そこに、薪は居ない。

その瞬間。
青木の脳裏に、夢のような、心地良いその声が、よみがえった。
まどろんでいるその時に、声は、青木にささやいたのだ。

『お前は残れ。いい機会だ。いつまでも城に居る必要は無い。彼女と・・・幸せに』

「!!・・・薪さん!」
青木は、ちょうど猫一匹が通れる程に開いた窓を見つけ、そこに駆け寄った。





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