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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene10:薄日


青木は、薪に向かって微笑み・・次の瞬間。

「ウウウウッ・・ウォンッ!!」
オオカミ達に向かい、飛び出していった。

「ウォンッ、ウォンッ!!」
「グルルル・・ギュオンッ!!」
凄まじい吠え声が錯綜する中、薪は、木に登っていた。
木から木へと飛び移り、駆け抜けていく・・。

このままでは、二匹ともやられてしまう。
助けを連れて、戻らねば。

だが、城はまだ遠い。
その間に、青木は・・・・

『絶対に、振り返らないで』
青木の声が、木霊する。

後ろを見ずに、前へ前へと進む薪の眼前に、青木と過ごした日々が浮かぶ。
そして、子供の頃の思い出や・・・家臣達と過ごした日々も。

薪の目の前に、岡部達・・家臣が自分を心配し、探している画が見える。
今の薪には、それが、疑うことなく、確信出来た。

『城の皆が、あなたを待っています』
そう。
皆、待っている。

だが・・・・。

薪は、歩みを止めた。
「・・すまない」
そう声に出ると同時に、振り返る。
振り返る。

そして薪は、走り出した。
青木の元へ。

「ギャウンッ!!」
「グルル・・ギャワンッ!!」
「ウォンッウォンッ!!」

オオカミ達と青木が、入り乱れて戦っていた。
そこに・・

「ミャウッ、ミャーーーーッ!!」
頭上から響く猫の声に、青木は驚愕を覚え、目を上げる。
「薪さん・・!!」

同時に、金茶色の猫が、青木の目の前で、ボスオオカミの顔の上に、落下した。

「ギャウンッ!!」
ボスオオカミが、大きく叫ぶ。

薪は、落ちる勢いに任せ、10本の長い爪を、ボスオオカミの顔に、深く、深く突き刺した。
「ギャンッ・・ギャワンッ!!」
ボスオオカミは、薪を振り払おうと、顔を何度も左右に振るが、薪は離れまいと、益々爪を食い込ませる。

「グルルル・・」
「キュウンッ・・!」
リーダーの劣勢に、他のオオカミ達も、戸惑いを見せる。

「・・ギャウンッ!!」
「薪さんっ・・!!」

ボスオオカミが、渾身の力を振り絞って、薪を振り払い、薪は、宙に大きく弧を描き、地面に叩き付けられた。
「あ・・・」
青木が、呆然とした、その時。

突然、目映い閃光が、辺りを包む。
そして・・・

ドーーーーン・・・!!
地面を揺るがす雷鳴と共に、オオカミ達の背後の木を、雷が貫いた。

「キャウンッ!!」
衝撃に、身体が飛ぶオオカミ達。
同時に、その木から火の手が上がり、見る見るうちに、燃え広がる。

「キャンキャンッ!!」
「キューン・・!!」
炎に囲まれ、オオカミ達は逃げ惑う。
統率する筈のリーダーは、顔から血を流し、倒れている。
慌てふためくオオカミ達の数匹は、炎が身体に燃え移り、恐怖に鳴き騒いでいた。

その隙に、青木は、薪の傍に駆け寄っていた。
地面にうずくまる小さな猫を、口にくわえ、駆け出した。

煙を避けて姿勢を低くし、燃え盛る炎を抜けて。




青木は、森の中を駆けていく。
走って、走って、走り続けた。

雨はどんどん強くなり、ザアザアという音と共に、地面を、青木の身体を、激しく叩き付ける。

城が見えてきた。
青木は門をくぐり、中庭へと入っていった。
手入れされた薔薇園も、激しい雨に晒されている。

青木は、その先のテラスに向かった。
屋根の下に辿り着くと、床の上に、そっと・・薪を降ろす。

「薪さん・・」
青木は、その名を呼んだ。
鼻先で、薪の身体を揺らすが、その身体は冷たく、ピクリとも動かない。

「薪さん・・薪さん・・薪さん・・・・!!」

ウォーン、ウォーン、ウォーン・・・という、犬の遠吠えが響いていく。
「薪さん・・」
クウン・・と最後に小さく鳴いて、青木は、薪の身体を舐め始めた。
ペロペロ・・ペロペロと・・いつまでも。

すると・・・

青木の目の前で、薪の身体が、フワリと浮き上がった。
まさか、身体ごと、天に昇っていくのではないか・・青木は、とっさにそう思った。

「薪さんを、連れて行くな!!・・どうしても連れて行くなら、オレも連れて行け!!」
青木は、誰に言っているのか、自分でも分からずに、そう叫んでいた。

すると、その願いが、どこかに届いたのか。
青木の身体も、浮き上がった。
ああ、これで、自分は薪と共に逝けるのだ・・青木はそう思い、目の前に浮く、薪の姿を見つめた。
だが。

浮き上がった薪の身体を、風が包み込んだ。
それはつむじ風となり、薪の身体が、くるくると回る。
風の強さに、青木は、目が開けていられない。

やがて・・・・・・

さっきまで、一匹の猫が倒れていたその床に、金茶色の髪を持つ、人間の王子が、立っていた。
彼は、ゆっくり、自分の、両の手の平を見つめ、その手で、自分の顔に触れた。

「青木・・・」
彼は、薪は、その場に立ち尽くしたまま、背後に居る青木の気配に、呼び掛ける。
それは紛れも無く、人間の声だった。

「僕は・・人間に戻った。魔法が解けたんだ・・」
薪は、目を伏せる。
魔法が解け、人間に戻った嬉しさよりも、重苦しい悲しみが、胸を塞ぐ・・・

「青木・・僕は・・・」
その先は、もう、言葉にならず。
薪は、黙って振り返る。

しかし、そこに、大型犬の姿は無かった。
そこに立っていたのは、短い黒髪の、背の高い、一人の男・・・!

「な・・! 誰だ!」
薪は蒼ざめ、思わず身構える。
毛を逆立てて相手を威嚇し、肉球から爪を立てて・・・

だが、しっぽを太くして、毛を逆立て、相手を威嚇することも。
尖った爪を自在に飛び出させることも。
今の自分には、出来ないことに、気付いた・・・。

「うっ・・」
薪が戸惑っていると、目の前の男が、声を出した。

「あの・・待って下さい。オレです!・・・薪さん、青木です!!」

「・・・・・・え?」
薪は、目を上げる。
その首には、確かに、青木がしていた首輪が下がっている。
更に薪は、青木の顔を、じっと見つめた。

激しかった雨は、いつの間にか通り過ぎ、周囲は明るくなり始めていた。
切れた雲の間から差し込む、弱い光の助けを借りて、薪は、青木の瞳を覗き込んだ。

そこにあるのは、見覚えのある、穏やかな、黒い瞳・・・。

「青木・・?」
「薪さん・・!」
青木が笑みを見せた、その時。

「ちょっと待て。まだ確信が持てない」
「え・・」
冷静な顔で、指をアゴに当て、思案する様子を見せる薪に、青木は絶句する。

「・・人間だと、この距離じゃ分からないな」
そう言って、薪は、青木に近付いた。
「え、あの・・」

薪は、青木のごく近くまで歩み寄ると、その胸に触れそうなところまで、顔を寄せる。
・・そして、言った。

「青木。お前の匂いだ」

見上げる薪と、青木の目が合う。
「薪さん・・・」
青木は、そうつぶやいたと思うと・・

「ブエッックションッ・・!!」

ものすごく大きな、くしゃみをした。
薪は、腕を前にかざし、顔をしかめる。

そして、改めて、自分と青木を見比べた。

二人とも、雨に濡れ、全身ずぶ濡れだった。
そして自分は、猫だった時に着ていた服も、身に着けたまま、人間の大きさに戻ったのだが。

・・・青木は、首輪以外、何一つ身に着けていなかった。





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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったCさま

○2/23に鍵拍手コメント下さったCさま

コメントありがとうございます。
記事をUPして早々のコメントを拝見して、見守っていただいているのだと、ありがたく嬉しく思いました(;▽;)

青木、間抜けですよねえ(笑)
薪さんやお城の家臣達は服を着ていましたが、青木は着ていなかったので、人間に戻ったらこんな結果に・・(^^;)
笑っていただき嬉しいです!

ハッピーエンドの予感・・そうですね。
たぶん私は、ハッピーエンドしか書けないんだと思います。
それでいいのだろうかと思い悩む時もありますが、「良かった」とのお言葉に、心底安堵致しました・・。
どうもありがとうございました。

■ 鍵拍手コメ下さったSさま

○2/23に鍵拍手コメント下さったSさま

コメントありがとうございます。
お忙しい中、お読み下さいますこと、本当にありがたく嬉しいです!

信じていて下さったんですね。
でも青木の姿は予想外でしたか(^^;)
青木のことは、原作でも二次創作でも、精一杯応援しているのですが、何故かこういった哀れな展開に・・(笑)
大爆笑・・して下さいましたか。ありがとうございます。
書き手としては本望です☆(*^^*)

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