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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


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Scene12:昔々の・・


薪と青木は食事を終え、その場から立ち上がった。

「・・・・・・」
黙って彼らの話を聞いていた岡部は、そこで、薪に声を掛ける。

「あの・・薪さん」
「うん?」
「その、魔法が解けた時なんですが、この・・青木以外に、周囲に誰か居たんですか?」
「・・・・?」

薪は、何故そんなことを聞くのかといった様子で、答える。
「いや。青木だけだ」
「じゃあ・・つまり・・・」

岡部は、青木をじっと見た。
まるで睨まれているようで、青木は、戸惑った表情になる。
「・・何だ?」
岡部に尋ねたのは、薪だった。

「・・いえ、いいです。よく分かりました」
岡部は片手を挙げて、そう言った。

その場から、連れ立って去っていく、薪と青木の後ろ姿を見ながら、岡部はつぶやいた。
「何故、あいつなんだろう・・・」

「え?何ですか、岡部さん」
食器を片付けていた今井が、問う。
「いや・・何でもない」

唯一、薪が魔法にかけられた理由を、そして、その魔法を解く術を知っていた岡部は、遠ざかる薪と青木の背を、じっと見つめていた。

「何故、お前なんだろう」
薪は、そう言った。

そこは、薪の寝室。
天蓋付きのベッドの上。

青木は、食事の後、今夜はどこで寝ることになるのかと考えていた。
客用寝室にでも案内されるのだろうか。
それとも、使用人部屋が、あてがわれるのだろうか・・・。

けれど薪は、当然のように、青木と共に自分の寝室に入った。
青木は、用意された夜着に着替える。
これも、大きさが合うことから、薪の父親が使っていたものと思われた。

着替えを済ませると、青木は、さてどうしたものかと考えた。
部屋にあるベッドは一つ。
人間に戻った今、ベッド下の床に寝るのは厳しい気もする。
だが、もしかしたら薪は、今後も自分を番犬として、床に寝せるつもりなのかもしれない・・・。

とりあえず、犬だった時に寝ていた定位置に座る。
すると、ベッドの上から、声が聞こえた。

「何をしている。そんなに、床の寝心地が好きなのか?」
「え・・?」
青木は、天蓋から下がる白いレースをめくり、薪の姿を見やる。

薪も夜着に着替え、ベッドの上で、伸ばした足を布団の中に入れて、座っていた。
「・・失礼します」
青木は、そっとベッドの端に上がり、自分も足を布団の中に入れる。

広いベッドの上で、間隔を開け、並んで座ったこの状態で。
薪は、目を伏せたまま「何故、お前なんだろう」そう言ったのだ。

「優しく美しく賢い、運命の女性が、現れる筈じゃなかったのか?」
「・・・・・・」
青木は、何と答えたものか、分からない。
自分だって、こんなことになるとは、思いもかけなかったのだ。

「あの・・薪さん」
青木が話しかけ、薪は、目を上げる。

「オレは、ここで、皆さんの役に立つことが出来て嬉しかったと・・そう言いましたが」
青木も、薪を見る。
壁に灯るローソクの灯りがチラチラとゆらめいて、薪の顔に出来た影を、揺らす・・・。

「何よりも嬉しかったのは・・ここで、この部屋で、薪さんの傍で、眠れることでした」
青木は、ゆっくりと話す。
一つ一つ、言葉を選ぶように。

「薪さんが悪夢に苦しんで、うなされて・・そのことは、オレも辛かったけれど。でも、オレが薪さんの身体を舐めると、薪さんの呼吸は安らかになって。そんな、薪さんの心を慰める手助けが出来ることが・・本当に、嬉しかったんです」

「・・青木」
青木は、ハッとする。
薪の手が伸ばされて、自分の手を掴んだことに。

「青木・・お前は、やはり番犬だ」
「え?・・」
「これからも、お前は僕を、悪夢から守らねばならない。だからお前は、一生僕の傍に居て、僕を守る番犬になると言った、その誓いを守れ。」

「・・薪さん」
繋いだ柔らかな手の感触。
自分を見上げる、こぼれ落ちそうな、大きな瞳。

「あ・・」
青木は、何とも言えない疼きで、胸がいっぱいになる。
そして、薪に顔を近づけ・・・

「んっ・・!?」
薪は、怪訝な顔をする。
青木が、薪の耳の後ろを、ペロッと舐めたのだ。
そしてすぐに、青木は顔を離してしまった。

「青木・・?」
「あの・・・」
青木は、真っ赤になっていた。

「・・しばらく、犬として生きていたもので・・その、人間に戻ったら、こんな時、どうしたらいいか・・・」
「は・・?」
赤くなりうつむく青木を見て、薪は、口をポカンと開ける。
だが、やがてその瞳は、優しい微笑みをたたえて、青木を見つめた。

「青木」
「はい」
「もう・・二度と、僕以外の者に、こんなことは、するな」
「え?」

薪が何故、そんなことを言ってくるのか。
青木は、考えを巡らす暇も無かった。

もう既に、薪の手が青木の頭を捉え、唇が重ねられていたから・・・・・

一度顔を離し、二人は、互いに見つめ合う。
次の瞬間、青木はその腕に、薪の身体を、しっかりと抱き締めた。

・・・白いレースの向こう側で。

猫のように敏捷で、しなやかな身体と。
犬のように力強く、熱い身体が。

重なり合い、揺れていた。

薪も、青木も。
もう迷わない。

それが確かな物であることを、分かっているから。
相手の想いも、そして、自分の想いも。

どんな言葉よりも。
今、人間の姿となって、身体を重ねているのが・・・何よりの証。

昔々の・・その昔。
魔女は王子に魔法をかけた。

『あなたが、真の愛に巡り合い、愛し愛されたその時、人間に戻ることが出来るでしょう』




昔々の・・ 終





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コメント

■ おつかれさまでした。

外見(性別)や身分(立場)に惑わされることなく、さまざまな困難を乗り越え結ばれたふたり。
幸せな結末に心が温かくなりました。ありがとうございます。

せっかく魔法が解け人間に戻った二人を祝福しないわけではないのですが、
にゃんこ薪さんとわんこ青木に未練タラタラです(笑)
「ニャー」とか「クウン」とか、ときおり入る獣語が好きでした。
ベッドの上でうなされるにゃんこ薪さんをわんこ青木が舐めてあげたり、
倒れたにゃんこ薪さんを青木がくわえて運んだり(お姫様だっこ?)
いくつもの場面で萌え萌えしてました。
薪さんのうっすらピンクな肉球をもう一度!

(コメ欄でのコメントをあまり見かけないので書きづらい、と思ったのですが、
拍手コメは投稿後に編集できないので、誤字、勘違い、早とちりが多い私はこちらに書かせていただきました(^_^;)

■ ステキなエンドでした♪

かのんさん、お疲れさまでした!

ベースになっているお話から察して、(副題は『美猫と野犬』ですね(笑))
人間の姿でのハッピーエンドを固く信じておりましたから。 オオカミとの格闘シーンも、あわや天に召されるかものシーンも、安心してハラハラドキドキできました。
一番焦ったのは、娘さんが出てきたところかな・・・・・・おーい、ちょっと待てー。その女は違うぞー、あんたの(青木さんの)運命のひとじゃないぞー。
でも「克洋くん」。(爆笑)
まさか、かのんさんがああいうシャレをかますとは! (あれ、ギリギリですからね? あおまきすととして(笑))


でも、青木さんは行きずりの人にも優しくするだろうから、魔女の怒りをかうことは考えにくいかも、と思い、もしかしたら犬のままで、人間の薪さんと愛犬の話になっちゃうのかな、とも想像していました。
ところがどっこい、魔女の早トチリだったんですね(^^
笑いました~~。
てか、実はこの魔女、かのんさんご自身で、薪さんのお相手はあなたしかいないのよっ!てなカンジでむりくり魔法かけたんでしょう(笑) 


そして、この最終章での薪さんのセリフ。

>「これからも、お前は僕を、悪夢から守らねばならない。だからお前は、一生僕の傍に居て、僕を守る番犬になると言った、その誓いを守れ。」

脳内変換
 ↓
「これからも、お前は僕を、悪夢から守らねばならない。だからお前は、夏の廃病院で必ず自分が後ろについて僕を支えると言った、その誓いを守れ。」

・・・・・・・・・・・・・。(←自分で勝手に変換して、ぐうの音も出ない)

お邪魔しました。
(フォローは・・・・?)

■ こゆうさま

○こゆうさま

コメントありがとうございます!

> 外見(性別)や身分(立場)に惑わされることなく、さまざまな困難を乗り越え結ばれたふたり。
> 幸せな結末に心が温かくなりました。ありがとうございます。

じーん・・・・・。
こちらこそ、ありがたいお言葉に、胸がいっぱいになりました(;;)
どうもありがとうございました。

> せっかく魔法が解け人間に戻った二人を祝福しないわけではないのですが、
> にゃんこ薪さんとわんこ青木に未練タラタラです(笑)

アハハ☆
さすがこゆうさん!
未練タラタラって・・ちょっと意外で、そして、とっても嬉しい感想をいただきました!(≧▽≦)
そんなに「にゃんこ薪さん」と「わんこ青木」を気に入って下さって、感激です。

> 「ニャー」とか「クウン」とか、ときおり入る獣語が好きでした。

以前そちらで、飼い猫と私の会話(?)をお話しした時も、鳴き声のバリエーションがあるということに着目して下さいましたものね。
そんなこゆうさんに、獣語を気に入っていただけて嬉しいです♪

> ベッドの上でうなされるにゃんこ薪さんをわんこ青木が舐めてあげたり、
> 倒れたにゃんこ薪さんを青木がくわえて運んだり(お姫様だっこ?)
> いくつもの場面で萌え萌えしてました。

きゃ~~!萌え萌えですか?して下さいましたか?
書いたかいがございました~(≧▽≦)♪

おお・・そうですね!
おっしゃるとおり、これは犬猫間の「お姫様だっこ」ですね☆

> 薪さんのうっすらピンクな肉球をもう一度!

「うっすらピンク」な肉球(笑・笑)
ええ、薪さんの肉球は、とても綺麗なうっすらピンクだと思います。
(そして、そこをフニフニ揉んであげると、目を細めてゴロゴロのどを鳴らすんですね、きっと)

読んで下さいまして、そして、楽しく嬉しいコメントを、どうもありがとうございました(*^^*)

■ しづさま

○しづさま

コメントありがとうございます!

> かのんさん、お疲れさまでした!

ありがとうございます!(*^^*)
お陰さまで、最後まで楽しく書くことが出来ました。

> ベースになっているお話から察して、(副題は『美猫と野犬』ですね(笑))

えへへ♪そうですね。
最初は、お話をそんなタイトルにしようかとも思いましたが、色々と脚色もしていることと、どちらが「美女」役でどちらが「野獣」役と言えるのかが微妙でしたので、2話のサブタイトルに留めました(^^;)

> 人間の姿でのハッピーエンドを固く信じておりましたから。 オオカミとの格闘シーンも、あわや天に召されるかものシーンも、安心してハラハラドキドキできました。

あ、とても嬉しい感想をいただきました!
「安心して」「ハラハラドキドキ」矛盾しているようですが、そんな風に楽しんでいただければ、本望ですので。
どうもありがとうございます(*^^*)

> 一番焦ったのは、娘さんが出てきたところかな・・・・・・おーい、ちょっと待てー。その女は違うぞー、あんたの(青木さんの)運命のひとじゃないぞー。

薪さんも青木も、彼女のことを、薪さんは青木の、青木は薪さんの、運命の人なんじゃないかと思うんですけどね。
結局は、どちらでもなかったという・・(笑)

> でも「克洋くん」。(爆笑)
> まさか、かのんさんがああいうシャレをかますとは! (あれ、ギリギリですからね? あおまきすととして(笑))

え?「ギリギリ」って・・・?
な・・何か危険なことをしでかしましたでしょうか?(オロオロ)

そうですね、あれは、「克洋くん」であることで、娘さんの出番の最後の最後で、娘さんのモデルは、もしかしたら?・・と暗示する意味と。

この世界では、「克洋くん」は健在であり、薪さんが手にかけて負い目を感じる運命も無く、彼も、どこかで平穏に暮らしてほしい、という願いを込めたのと。

あとは・・
「君は、一人で健気に頑張ってる女性を放っておけない気質で、真に大切な人の存在に気付いても悩み、『止めないで下さい』なんて言ってるけど、『克洋くん』(彼女にとって、本気で愛せる男性の象徴)が出てきたら、君なんて、アッサリ眼中から消え去ってしまう程度の存在なのよ、彼女にとって」
と、青木に諭したいのかもしれません・・・。

> でも、青木さんは行きずりの人にも優しくするだろうから、魔女の怒りをかうことは考えにくいかも、と思い、もしかしたら犬のままで、人間の薪さんと愛犬の話になっちゃうのかな、とも想像していました。
> ところがどっこい、魔女の早トチリだったんですね(^^
> 笑いました~~。

ものすごく理不尽ですよね・・すみません。
でも、笑っていただけるのであれば、何よりです。

> てか、実はこの魔女、かのんさんご自身で、薪さんのお相手はあなたしかいないのよっ!てなカンジでむりくり魔法かけたんでしょう(笑) 

ああ!そうかもしれません!(目からウロコ)
きっとそうですね(笑)

> そして、この最終章での薪さんのセリフ。
> >「これからも、お前は僕を、悪夢から守らねばならない。だからお前は、一生僕の傍に居て、僕を守る番犬になると言った、その誓いを守れ。」
> 脳内変換
>  ↓
> 「これからも、お前は僕を、悪夢から守らねばならない。だからお前は、夏の廃病院で必ず自分が後ろについて僕を支えると言った、その誓いを守れ。」
> ・・・・・・・・・・・・・。(←自分で勝手に変換して、ぐうの音も出ない)

う~ん・・・・・・・・・・・。(笑)

お忙しい中、最後までお付き合い下さいまして、どうもありがとうございました!m(_ _)m

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