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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene19:芝生



青木は、眩しさに目を開ける。
そしてまた、すぐに目を閉じた。

まぶたが・・重い。

もう一度、目を開ける。
大分、日が高いようだ。

記憶を辿ってみると。
薪と幾度も愛し合い、最後には、夜明けになっていた。
一夜のうちに、こんなにも営みを繰り返すとは・・自分でも信じられない。

それと言うのも・・・

青木は、自分のすぐ横にある、薪の寝顔を見つめる。
腕を顔の前に畳んで横向きになり、脚は斜めに伸ばし、青木の身体に乗せて。
薪は・・眠っている。

こんなにも、情の激しい人だったとは。
普段の禁欲的な姿からは、想像も付かなかった。

あんなにも乱れておきながら。
寝息を立てるその顔は、純粋で清らかだ。

薪の情の激しさに、青木は驚かされるばかりだったが。
その激しさは、薪の美しさを、少しも損なってはいない。
それどころか・・・

青木は、昨夜の薪の姿を思い出し、またも、目がくらむ感覚を覚えた。

薪は、身体の隅々まで、美しかった。
その行為の数々も。
全てが・・魅惑的だった。

青木は薪の頭に顔を寄せ、すっと息を吸う。
いつもの薪の匂いよりも、強さを増した匂い。
汗を含んだその匂いが・・青木には、心地良い。

「ん・・」
その気配を感じたのか、薪も、頭を動かし・・パチリと、目を開けた。

「おはようございます。薪さん」
青木は片肘を付いて、薪の顔を見下ろし、微笑んで言った。
「・・・・・・」
こぼれ落ちそうに大きな瞳が、青木を見上げ、見つめている。

青木は、薪のアゴに手を沿え、その唇に、キスをした。
「うん・・」
軽いキスのつもりが、深い口付けになり、互いの舌が絡み合う。

「・・ん。まだ、するつもりか?」
薪は、青木の胸に手を突っ張り、青木を押し退けた。

「まだ・・って。夕べあんなにせがんだのは、薪さんの方じゃないですか」
「っ・・!」
青木の言葉に、薪は一気に眉尻が上がる。

「でも・・そんな薪さんは、最高でした」
「・・・・・・!」
薪が睨み付けるにも関わらず、ニッコリとしてそう言う青木に、薪は、怒るタイミングを失った。
青木をちらりと見上げ、プイと向こうを向いて横になる。

後ろを向いた薪の、耳や、白い肩が、青木の目に映る。
目に飛び込む、薪の何もかもが、青木の胸を締め付ける。

「薪さん・・」
青木は、薪の背後から、話し掛ける。

「薪さんは、いつからオレを、その・・こんな風に、想ってくれるようになったんですか?」
青木は、いつ、何がきっかけで、こんなことになったのか。
薪のような人間が、どうして自分を・・それが不思議でならなかった。

薪は、肩越しに青木を振り返る。
「お前は、どうなんだ?」

聞き返されて、青木は考える。
いつから、薪を想っていたのか。
それは・・・・

「オレは・・薪さんを、初めて見た時からです」

そう。
きっと、そうなのだ。
スクリーンで、初めて薪を見た、あの時から。

自分は薪を、追い続けていたのだ。
薪に惹かれ、焦がれ、薪を求めていた。
それが一体、どう言い表すべき想いなのか、自分でも、気付かぬままに・・・。

「・・僕もだ」
薪は言った。

「え?」
青木は、驚いて聞き返す。
自分がスクリーンで薪を初めて見た時、薪はまだ、自分を知らなかった筈だ。

「お前を、楽屋の前で初めて見た時から、僕は・・お前から、目が離せなくなった」
「あ・・」
青木は、薪が言う『初めて見た時』が、直接会った時であることを、理解した。

そして。
薪が、初めて会ったあの日から、自分を想ってくれていたと。
その言葉に、青木は、胸が熱くなった。

「だから・・怖かった。お前が近付いてくることが。お前が、ここに留まると言った時、僕は、帰れと言うべきだと思った。自分から引き離すべきだと・・でも、言えなかった」

「薪さん・・」
青木は、薪の肩を抱き寄せた。
そして言う。

「たとえ・・あの時、薪さんが帰れと言ったとしても、オレは、引き下がらなかったと思います」
「青木・・」

薪は青木を見上げ、クスッと、笑う。
「どうしようもない奴だな」
「そうですね」

そこまで話すと・・青木は、真剣な面持ちになった。
「・・青木?」
薪が、青木を見上げる。

「薪さん。実は・・ずっと、隠していたことがあるんです」
只ならぬ青木の様子に、薪は、身じろぎをして、青木の腕から離れた。
「・・何だ?」

薪の眼差しを受けて、青木は、ぐっ・・と、ツバを呑み込む。
そして、言った。

「オレ・・本当は、この時代の人間じゃないんです」
「・・・・?」
「オレは、1981年、昭和56年の世界から、時を越えて、やって来たんです・・!」

「・・・・・・」
青木の決死の告白に、薪は、無言になった。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人とも、ベッドの上に起き上がり、互いに、相手を見つめる。

「青木、そんな作り話をして、一体何の益がある?」
「!・・本当なんです! オレは、今から4年後に生まれるんです!」
「作り話じゃないと言うなら、益々問題だぞ。青木、大丈夫か?」
「頭がおかしいわけでもありませんって!」

青木は、ため息を付いた。
決心して告白したのに、どうやら、真に受けてはもらえないらしい。

「・・そもそも薪さん、あなたの愛読書にあった、ドクター・R・マシスンの『時空と概念』を読んで、過去を訪れることが出来たんです」
「そんな本、見たことも無い」
「まだ、出版されてませんから」
「・・・・・・」

「そうだ。こうしましょう。オレが生まれたら、オレに会いに行きましょう。福岡県の○○市××町。子供の頃は、いつも川沿いの土手で遊んでましたから。間違いなく会えますよ」
「・・・・・・」
「薪さん、信じて下さい・・・」

青木は、すっかりしょげ返っていた。
ふう・・と、薪も、ため息を付いた。

「分かった。信じよう」

「薪さん・・!」
青木の顔が、パッと輝く。
それを見て、薪は微笑む。

「信じよう。お前の言うことを。これからも、ずっと」
「薪さん・・」
青木は、薪を胸に抱き締めた。

「いずれにしても、いつか、オレの故郷に、一緒に行きましょう。オレが生まれ育った町は、いいところです」
「・・そうだな」

薪への愛しさで、胸はいっぱいになり、もう二度と、この人を離さない、この人から離れない、そう、青木は心に誓った。

「僕から・・離れるな」
青木の心を見透かしたかのように、薪が言う。

「お前となら・・どこまでも歩いて行ける。二度と・・失いたくない」

薪は、腕の中に居る人を、その顔を、じっと見つめた。
もう離れない。
離れられるわけが無い。

「・・誓います。絶対に。オレは・・あなたの傍に居ます。ずっと・・・」




青木は、ベッドから起き出した。

「腹、減りましたね」
そう言いながら、部屋を出て、自分の着替えを探る。

「家には何も無いぞ」
薪は、ベッドの上でうつ伏せになり、顔だけ上げて頬杖を付き、青木が歩き回る様子を見ていた。

「何か、買って来ましょうか」
「金はあるのか?」
「・・貸していただけますか?」

薪は、肩をすくめる。
「貸した金は、全て返せよ」
「もちろんです! 肉体労働だって何だってやって、必ずお返しします。オレは、クラス中が風邪で休んでも、一人元気だった程、身体は丈夫ですから」

「利子も忘れるな」
「え!? 利子があるんですか?」
「当然だ。利率は高いぞ。・・全て返し終わるまで、お前を離さないからな」

最後の言葉を口にしながら、薪は、笑った。
笑っていた・・・・・・・。

青木は、この時、最初にこの世界に来た時のスラックスを、久しぶりに履いた。
そろそろシーズンも終わるから、クリーニングに出さないと・・そんなことを思いながら。

思いながら、その後ろポケットを探った時。
青木は、一番奥に、何かが引っかかっていることに気が付いた。

気が付いた。

青木は、指先に触れたそれを、引っ張り出した。
それは、小さく丸まった、紙片だった。
「・・・?」
何だろうと不思議に思いながら、青木は、その紙片を広げる。

広げて・・・

「・・・っ!!」

その瞬間。
青木の周囲が、急に、真っ黒な渦に覆われた。

「青木っ!!」
薪の声が、聞える。

青木は、その紙片に書かれていた文字を、見てしまった。
紙一枚でさえ、今居る時代よりも未来を思い起こさせる物があると、その時空に留まることを妨げる・・そう、本には書いてあった。

「あおき、あおきーっ!!」
薪の叫び声が、どんどん小さくなる。

青木は、渦の中に飲み込まれ、息が出来ない。
胸が苦しい。
そして・・足元が、奈落の底に落ちていく。

「あ・・き・・・」

微かな声が聞こえる。
そこに手を伸ばす。
薪の姿が、見える。

あれは・・・・・?

ああ、懐かしい。
これは、子供の頃に、よく遊んでいた場所だ。
オレは、芝生の上で、ボールを蹴っている。

その先に飛んだボールを、誰かが、取ってくれた。

『ありがとう』
そう言って見上げると、そこに、見たことの無い男の人が立っていた。

『青木・・一行くん?』
『はい!』
何故だか・・その人は、オレの名前を知っていた。

それから、オレの目の前にしゃがんで、言った。
『大きくなったら、僕に、会いにおいで』
そして、オレの頭に手を乗せた。

『待ってるから』

優しい瞳で、その人は、そう言ったんだ。
この人は誰だろう・・?
そう思ったら、オレの心が分かったかのように、その人は、言った。

『僕は、薪剛。薪だ。・・青木』

ああ・・そうだ。
オレは、ずっと、ずっと昔に、薪さんに会っていたんだ。

『本当にここは・・いいところだな』
薪が振り返ると、その先に、もう一つの陰が見える。
あれは、誰なのだろう・・?

青木は、手を伸ばす。
だが、その手はそこに届かず、薪の姿は、どんどん小さくなり・・・

青木は、目を開けた。

そこが、どこだか気付いた時。
青木の瞳から、涙が溢れていた。

そこは。
1981年の、青木のマンションの、一室だった。





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