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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene2:昏睡



「ローザ!」
事務所のスタッフの声に、ローザは振り返る。

「岡部さんが・・岡部さんの乗った船が・・!!」

ローザが駆け付けたそこには、目をつぶり、ベッドで眠る、岡部が居た。
「そんな・・」
つぶやくローザに、傍らに立つ医師が言う。
「手は尽くしましたが・・ずっと昏睡状態で・・」

帰ったらすぐ
結婚しましょう・・・・。

岡部は、そう言ったのに。

「靖文さん・・靖文さん・・!!」
ローザは、眠り続ける岡部にすがり、涙を流した。




「ブルース・キングの愛称で知られる、岡部靖文、以前昏睡状態が続く。病室は、彼を見舞うファンからの大量の花束で埋め尽くされ・・」

「青木。ネット配信のニュースを、いちいち読み上げるな」
「薪さんが興味がおありかと・・」
「僕は、お前が画像を呼び出して2秒後には読み終えている。余計なことをする必要は無い」
「う・・」

そんな会話を、岡部は、夢うつつの中で聞いた。
「う・・ん」
そして、うなりながら、寝返りを打つ。

「あ、動いたぞ」
「そんな・・まるで動物が起き出したかのように・・」

岡部は目を開け、起き上がる。
そこは、ソファベッドの上だった。
「・・どうも」
まだどこかもうろうとする頭を、岡部は、目の前に立つ二人に向かって下げた。

周囲を見渡すと、そこは、高級そうなアンティークの家具で埋め尽くされた部屋。
まるで、一時代昔の城だ。
そして・・目の前に立つのは、一人の青年。

外に出たことがあるのかと思う程の、白く透き通った肌。
その小さな頭を覆う、首筋までの、栗色の髪。
小さく整った鼻筋から、綺麗な弧を描く眉が伸び。
その下では、大きく見開かれた淡い茶色の瞳が、生き生きと揺れている。

その瞳の上下を縁取る、長い睫毛や。
アゴから首、肩に掛けての華奢な線は、まるで少女のようだ。

そして青年は、その細身の身体を。
プリーツの入った立ち襟の白いフォーマルシャツ、唐草模様のブルーグレーのベスト、それに、ベルベットと思われる黒い長ズボンに包んでいた。

まるで、ヨーロッパの王子の衣装を現代風にアレンジしたような衣服を身に着けた彼は、この城のような一室に、溶け込んでいた。

自分は一体、どこの世界に迷い込んだのだろう・・岡部は、首をぶんぶんと振った。

もう一度見上げてみれば、青年の一歩後ろに、背の高い男が控えている。
その男の、ごく一般的な、ハイネックのインナーに、黒いスーツの姿を見て、岡部は、ここが間違いなく現代であるという、安堵感を覚えた。

それから岡部は、改めて、脳内に残る、最後の記憶を辿る。
確か自分は、ギガロシュのコンサート会場に向かう途中で、船を乗り換えた筈だ。
そこからの記憶は・・・

「・・コンサートは、もう終わったのか?」
岡部は、言った。

「コンサートだ。オレが出る筈だった・・」
「コンサートは中止です」
長身の男が、言った。

「ギガロシュのコンサートは中止になりました。バンドのメンバーやスタッフは、皆、地球に戻っています。あなたのマネージャーは、あなたの看病の為に、中央病院に居ますよ」

「・・? どういうことだ?」
岡部は、腑に落ちない様子で、聞き返す。

「つまりだ」
それまで、黙って様子を見ていた青年が、口を開いた。
岡部の目の前で、艶を帯びた、ふっくらとした桜色の唇が、言葉を形作る。

「岡部。僕の名は、薪という。こちらの男は、青木だ」
「まき・・さん?」
「僕は、お前の曲を、ずっと聴いてきた。デビューシングルから最新のアルバムまで、全部持っている。初回特典付きのDVDは、一万枚予約した。・・何か言うことは、あるか?」
「・・・・・・」

背筋を伸ばし、真っ直ぐにこちらを見つめる薪の言葉に、岡部は、あんぐりと口を開け・・それから、言った。
「あ・・それはどうも・・ありがとうございます」

岡部は、相手の言葉を、頭の中で整理するのに、数秒の時間を要した。
それから、改めて尋ねる。
「・・・いや、薪さん。オレが聞きたいのは、そういうことではなくてですね、どうして・・・」

「だから、お前には、ここに居てもらうことにした」
「は!?」
岡部は、益々、相手が言うことの意味が、分からなくなった。

「・・・・・・」
無言のまま岡部はソファから立ち上がり、歩き出す。

「どこに行く!」
薪が叫ぶ。

「何が何だか分からん! オレは、帰らせてもらいます」
岡部は肩をいからせ、ドアに向かって歩いていく。

「岡部さん」
青木が、声を掛ける。

「岡部さん。昨日、あなたはコンサートの為に、ギガロシュに行く途中で事故に合って、今現在も、昏睡状態なんです」
「・・・・・・?」
岡部は足を止め、振り返る。

「こちらを、ご覧になってみて下さい」
青木が指し示したその先のモニターに、録画されたニュースが映る。

『地球時間、14日の午後2時過ぎ、ブルースギタリスト兼ヴォーカルの岡部靖文さんが、アクシデントに合い重症を負いました。岡部さんは、一人遅れて船を乗り換え、その船は、ギガロシュの大気圏突入に失敗し・・・』

「・・どういうことだ!?」
岡部は、モニターを前に、驚愕の声を上げる。
その画面には、ベッドで眠り続ける自分の姿が映し出されていた・・・。

「あそこに寝ているのは、あなたのクローン体です」
傍らで、青木が説明する。

「我々が、船長と医師を買収して、あなたとクローンをすり替えたんです」
「クローン・・? すり替えた・・・?」
岡部は、思い掛けない言葉に、何度も瞬きをする。

「そうです。あなたのその腕毛一本で、何体ものクローンが出来ます。ですが、一体作るのに莫大な費用が掛かるので、今回は一体のみでしたが」
「・・・・・・!」
青木の話を、岡部はただただ、呆然として聞いていることしか、出来ない。

「他にも、壊した船の代金や、病院長と船長に渡した金を合計すれば、500億以上になります。・・簡単に帰られてしまっては、困るんです」
青木は、本当に困った表情で、言った。

「困るって・・お前・・」
岡部は口を開けて、青木を見つめた。
それから、ふと思い付いたように、言った。

「・・一体、誰に頼まれた?」
「え?」
目を見開く青木に、岡部は詰め寄る。

「オレ達を煙たがっているライバルは、いくらでも居る。・・ブルースマンがこんな卑怯な真似をするとは、認めたくないが」
「ちょちょっ・・待って下さい!」
岡部の迫力に、青木は青ざめ、両手を挙げて後ずさった。

そんな青木に、岡部は更ににじり寄る。
「言え! 一体どいつが!」

「命じたのは、僕だ」
背後の声に、岡部は振り返った。
そこに薪が、立っていた。

「僕が青木に命じて、お前をここに連れてきた。他の人間は関係ない」
「・・・あんたが?」
岡部は、改めて、薪を見つめる。

そして言った。
「何故・・?」

「僕は、お前の曲をずっと聴いてきたと、だからここに居てもらうと、そう言った筈だ。一度言っただけでは、理解出来ないのか?」
「・・・・・・」

もちろん、岡部は。
そんな説明では、何一つ、理解出来なかった。





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