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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene3:街路



夜。

薪は、ソファベッドで眠っていた。
青木も、一人掛けのソファに座ったまま、眠り込んでいる。

薄暗がりの中、岡部は一人、ドアに向かっていた。
ピーッ・・という小さな音と共に、電子キーが解除される。

岡部は、子供の頃、空き巣の常習犯だった・・・わけでは無い。
まだ下積みの頃、錠前屋で働いていたことがあったのだ。

ふう・・と、小さくため息を付き、岡部はそっと、ドアの外に足を踏み出した。

ふと、その足を止め、中を振り返る。
布団から覗く薪の寝顔が、窓から差し込む月明かりに、照らし出されている。

寝る前に、青木は言った。
「薪さんは、上の部屋でお休みになって下さい。オレが岡部さんを見張っていますから」
「お前が? 信用出来るとでも?」

「ぐ・・」
薪の返答に、青木は言葉に詰まっていた。

かくして、岡部が閉じ込められたその部屋で、薪はソファベッドに、岡部は床に、布団を敷いて休むことになったのだ。

岡部の脳裏に、薪の立ち姿と、その言葉が、浮かんだ。
『僕は、お前の曲を、ずっと聴いてきた・・・』

岡部は、一度部屋の中に戻り。
サイドテーブルにあったメモ用紙とペンを借りて、そこに何かを書きつけた。
それを薪の枕元に置くと、改めて、外に出て行った。

・・誰かに呼ばれたような気がして、青木は、ぼんやりと目を開ける。
顔を上げると、そこには、月明かりを背にした、美しい顔・・・

パンッ・・!!

青木は、頬を叩かれた。
パパパパパンッ!
更に何度も何度も叩かれ、青木は、完全に目を覚ました。

「な・・何するんですかっ! 薪さん!」
青木は、頬を押さえて叫ぶ。

薪は腕を組み、冷静な顔で言う。
「こういう時は、お前が先に気付くべきだろう」
「・・・・・・?」
青木は、ことの次第が呑み込めない。

「車を出せ」
薪は言い、青木にキーを放ってよこした。

「え?・・え?」
青木は慌てて立ち上がり、ドアに向かう薪を追う。

薪は、歩きながら、手にした紙片を青木に渡し、言った。

「岡部が、逃げた」




岡部は、夜の街を、走り続けていた。
立ち止まって息を付き、辺りを見渡す。

いくら真夜中だからと言って、一人の通行人にも出会わないとは。
ここは一体、どれ程の田舎なのか。
せめて、電話か何か、通信手段があればいいのだが・・・。

思案しながら歩いていると、ドアが開いている家を見付けた。
そっと・・そのドアの中に顔を入れる。

「あのー・・・」
言いながら、岡部はキョロキョロと中を見回し、もう一度声を上げた。
「すみません!・・誰か居ませんか!」

中はシンとして、何の物音も無い。
人の気配が・・全く無い。
それどころか、全てがピカピカに磨き上げられ、人の住んでいる家とは、とても思えない。

考えてみれば。
自分は、月明かりを頼りに走ってきたが、明かりの付いている家は、一軒も無かった。
こんなことが、有り得るのだろうか・・・。

岡部は、汗をかきながら、そっと・・足を踏み入れた。
その途端。
パアッ・・・と部屋のライトが付き、眩しさに、岡部は手をかざした。

突然明るくなったその部屋に、どこからかアナウンスが鳴り響く。
『いらっしゃいませ。カフェ・マーメイドにようこそ!』

「え?」
岡部が戸惑っているうちに、奥の扉が開き、沢山の海の生き物達が出てきた。
・・正確には、海の生き物の姿をした、人形達が現れた。

『お客様は、何名様ですか』
海老の姿をした、コンピューター仕掛けの人形が、岡部に近寄る。

「なっ・・!!」
岡部は、再び外へと飛び出した。

今や、そこかしこの街灯が付き、岡部を迎え入れている。
その灯りに導かれるように、岡部は、先へと駆けて行った。

その先に見えたのは・・・

そうだ。
何故、気付かなかった。
この街は、ここはまるで・・・・

辿り着いたそこには。
大きな湖が広がっていた。

湖を囲む、イタリア風の建物。
向こうにそびえる山。
辺りを包む音楽・・・・。

岡部が呆然と佇んでいると、電気自動車が音も無く近付き、岡部の傍らに停止した。

岡部が気付いて振り返る。
窓が開き、その助手席には、薪が座っていた。

「岡部」
薪は窓に肘を突き出し、その腕にアゴを乗せて、岡部に話し掛ける。

「よく出来ているだろう? 地球のアミューズメント・パークをモデルに作らせた。幽霊屋敷を想定したフリーホールもあるぞ。今から乗ってみるか?」

「・・・・・・」
岡部は、しばらく言葉が出なかった。

それから、尋ねたかったことを、やっと、口にした。
「一体・・これは、どこまで続くんですか?」

薪は言った。
「どこまでもだ」

「どこまでも・・」
岡部は、つぶやいた。

薪は、話を続ける。
「この惑星全土が、僕の物だ。僕が10歳の時に父が購入し、僕と青木の二人で住んでいる。あとは全てコンピューター任せだ。電話通信やメールは、パスワードを入力せねば使うことは出来ない。エアポートもバリヤが張ってある」

「・・・・・・」
岡部は、状況が、やっと納得出来るような、だが一方で、まだ信じられないような気持ちで、薪の言葉を聞いていた。

「理解出来たか?」
薪は、岡部を見上げて言った。
それから、手を伸ばし、持っていた紙片を、岡部の手の平に乗せた。

岡部は、その紙片に目をやる。
そのメモ用紙には、
『今度は、是非コンサートでお会いしましょう』
そう、書かれていた。

黙って紙片を見つめる岡部に、薪は言う。

「お前のことも、僕が買った。だから岡部。お前はもう、この星から逃げ出せない。そういうことだ」





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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

○9/4に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。
元ネタ、お気付きになったのですね。
コミックを手元に置き、ページをめくりながら書いております(^^)

あはは☆
イメージが結び付きませんでしたか(笑)

そうそう、私も、なんてキャラだと思い、でもふと、これが薪さんだったら許せるかも・・というところから、今回のお話が生まれました(^^;)

原作のパロディの部分、気付いていただき、嬉しく思います。
あのシーン、天地のことは切ないですが、薪さんの一見乱暴な態度に青木への想いが見えて、好きなシーンの一つです。

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