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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene7:制御



屋敷に戻った岡部は、すぐにニュースをチェックした。
そこには、相変わらず、眠り続ける自分の姿があった。

『なお、依然岡部氏は昏睡状態で、このままでは植物人間となる可能性が強いとのこと・・・』

そして、事務所の人間が、2年先まで入っているコンサートの予定をこなす為に、代わりの人間をバンドに入れることも検討していると表明していた。

『ブルース・キングの代役が務まる人間など、早々居ないんじゃないですか?』
『それは承知の上です。しかし、このままコンサート活動を全て中止して、関係各所にご迷惑を掛け続けるのも・・』

「・・・・・・」
確かに、この状態では、もう自分を当てにせず、代役を検討するのも無理からぬことだ。
岡部は、ため息を付く。

記者会見の会場に、ローザの姿は無い。
心労で体調を崩しているのではないか・・岡部は、胸が痛んだ。

ローザ・・
早く地球に帰って、あなたに会いたい。
あなたを抱き締め、もう大丈夫ですよと・・そう、声を掛けたい。

傍らに立つ青木を、岡部は見上げる。
青木も、複雑な表情で、画面を見ていた。

「・・・この」
岡部が、話し掛ける。

「このクローンってやつは、本当によく出来てるな。見てると、いつか動き出しそうだ」
「ああ・・」
青木は、岡部を見て言う。

「そうですね。外見は完璧なクローンです。でも、あれはただの身代わりですから。岡部さんが戻る日まで、ああやって寝てるだけですね。記憶も注入していませんし」
「戻る日・・か」
岡部がつぶやくと、青木はいたたまれない様子で、その場を離れようとする。

「どこに行くんだ?」
「すいません。点検の時間なんです」
青木は、部屋を出て行った。

残された岡部は、椅子に座り、画面を見つめながら、手を組んで考え込む。

・・自分は、一刻も早く帰らねばならない。
だが、どうやって?
あの坊ちゃんが許可する日を待つのか?
下手したら、一年もこのまま置かれるかもしれないのにか。

青木の『秘密』は握ったものの。
主人を裏切らせるには、小さ過ぎる弱みだ。
薪に『秘密』をバラすと言っても、決定打にはならない。

エアポートのバリヤ・・バリヤさえ解かれれば・・・

ガタッ。
岡部は、そこでふと気が付き、椅子から立ち上がった。

今、青木は点検すると言った。
何を・・?
それは、電気制御されたこの星の機能をということではないだろうか。
ということは、青木の行く手に、バリヤのスイッチがあるかもしれない。

岡部は、部屋を飛び出した。
廊下をあちこち見て回り、更に窓から外を覗く。

居た・・・!

いくつもの棟を繋いだ渡り廊下の一つを、青木は歩いていた。
そこに降りる階段を探し、岡部は、青木の後を追った。

青木は、ある棟に入る。
岡部は、そっと後を付けていた。
青木が、一つのドアの前に立ち、ロックを解除している。
そして、ドアが開いた瞬間・・・

「っ・・!!」
岡部は、息を呑んだ。
まるで一時代昔の城のような建物、そのアンティークなドアの向こうに。
先ほど見たスタジオ以上の、最新鋭と思われるシステムが見えたからだ。

「・・・?」
青木は一度そこに立ち止まり、後ろを振り返った。
岡部は、慌てて身を隠す。

「・・・・・・」
少しの間、青木は岡部の隠れている柱を見つめていたが・・やがて、中に入って行った。

ドアが閉まったその後に、岡部はドアに手を掛けてみた。
当然のことながら、ドアは開かなかった。
鍵の部分を見ても、これまでに目にしたことの無い仕様で、解除するには手間が掛かりそうだった。

岡部は、ひとまず諦めて、その場を立ち去った。

与えられた自分の部屋で、岡部はベッドに腰を掛け、考えていた。

自分が大人しくしているからか。
それとも、バリヤによって、外には絶対に逃げられないという状況であるからか。
今の自分には、特に監視は付いていなかった。

屋敷の周辺のどこで何をしようが、自由だった。
もっとも・・ここで特に何かをする気も起きないのだが。

夜、皆が寝静まってから、制御室と思われるあの部屋の鍵の解除を試みてみよう。
だが・・そんなに簡単に行くものだろうか。
解除が出来ないどころか、不審な行動を見咎められるだけかもしれない・・・。
もしそうなったら、余計に面倒になるだろう。

・・・解除ではなく、いっそのこと、燃やしてしまったらどうだろう。
自分は、ライターを持っている。
こんな危険物を持っているというのに、彼らは全く気に留めず、取り上げようともしない。

制御室は防火扉かもしれないが、少なくとも、周囲の建具は木製だ。
あの棟に火を付け、ぼや騒ぎを起こし、混乱に乗じてシステムを乗っ取る・・・。

・・いや、駄目だ、危険過ぎる。
あの棟は、この屋敷とも繋がっている。
ぼやで済まず、薪や青木を火事に巻き込むことになったら・・。
やはり放火なんて、真っ平ごめんだ。

・・システムではなく、人質を取ったらどうだろう?
あの青木という奴は、曲がりなりにもボディガードなのだから、下手に手は出せないが。
薪だったら、護身術を体得しているとは言っても、ふいを付けば、腕力はこちらの方が勝っているだろう。

岡部の手の平に、自分が掴んだ、薪の細い肩の感触が、よみがえった。

薪は、自分が暴力に訴えることなど無いと、信じている。
薪を人質に取り、青木に、バリヤを解除しろと脅す。
船に乗り込んだら、薪を解放すればいい。
薪がエアポートから完全に離れるまでは、再びバリヤを張ることも無いだろう。

・・・・・・。

そこまで考えが進んだところで。
岡部は、自分が全く気乗りしないことに、気が付いた。
薪にナイフでも突き付け、引きずっていくところを想像しただけで、げんなりする。

これまでの人生。
少々荒っぽい場面に出くわしたこともある。

しかも、今回の相手は、自分を客人のように扱っているとは言え、結局は、誘拐監禁の犯罪者だ。
何を、遠慮することがある・・?

そうは思っても。
どうも、自分が暴力に訴え出る光景を。
肯定することが出来なかった・・・。

あれこれと考えを巡らせたものの。
どれもこれも、非現実的なことのように思えた。

岡部は、頭を抱えていた。
すると、ドアがノックされた。

「岡部さん、食事の用意が出来ましたので、下へどうぞ」
青木が先を歩き、ダイニングへと案内される。
岡部はその背を見ながら、自分の中に浮かんだ数々の光景を思い出し、何ともイヤな気分になっていた。

「・・・・・・」
口数少なく、下を向いて歩く岡部を、青木は、ちらりと見やる。
そして、歩きながら、言った。

「岡部さん。今日、オレが点検していた制御室ですが」
青木の言葉に、岡部はギョッとした。
見上げると、青木は岡部に背を向け、前を向いたまま、ゆっくりと歩いている。

「あのドアロックは特注品で、指紋認証といくつものパスワードを組み合わせねば、開くことは出来ません。燃やしたり壊したりしようとしても、部屋全体が強化壁に守られていて、やはり、浸入することは不可能です」
「あ・・」
岡部は足を止め、言葉を失っている。

「それから、もし・・・」
青木も、足を止めた。

「もし、万が一にも、薪さんを傷付けるようなことがあれば・・・」
青木は振り返り、岡部を見据えた。

「!!・・・」
岡部は、ゾッとした。
青木が、これ程までに鋭い目をするとは、知らなかったからだ。

「もちろん」
次の瞬間、青木は、笑顔を見せる。

「もちろん、岡部さんがそんなことをなさるとは、思っていませんけどね。岡部さんに対して、大変心苦しい状況ではありますが、薪さんだって、分かっていると思います。だからどうか・・もう少しの間、辛抱なさって下さい」
青木は岡部に丁寧に一礼し、それから前を向いて、再び歩き出した。

岡部も足を踏み出し、ハーッ・・と、ため息を付いた。




食事を終えると、そこに薪が顔を出した。

「せっかく来たんだ。屋敷にばかり居ないで、外に出たらどうだ」
「せっかく・・って・・・」

岡部は、呆れた顔で薪を見やる。
青木は、薪が『状況を分かっている』筈だと言ったが。
この坊ちゃんは、本当に、全ての原因が自分にあり、それがどんな状況を生み出しているか、分かっているのだろうか・・・。

「来い!」
薪の言葉に、岡部はため息を付きながらも、立ち上がる。
断われないのは、先程、この青年にナイフを突き付けるところなどを想像した、負い目からだろうか・・。

「青木。パークまで運転しろ」

そして岡部は。
最初の夜に行き着いた湖のほとりに、再び立つことになった。





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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

○9/7に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。

そうですね、オリジナルな部分になりますね。
でも、たとえ普段は暴力とは無縁な一般人でも、不当に誘拐監禁されたら、(実行するかどうかは別として)脱出や反逆の手段を考えると思ったんですよね。
マーティだって、描かれていないところで、色々と考えたのではないかと・・。
でも、そうなんです・・たとえ別世界の岡部さんであっても、岡部さんが薪さんを傷付けるなんて有り得ませんよね(笑)
青木にもお褒めの言葉をありがとうございます。
基本は、元ネタをそのままなぞっているんですが、やはり、キャラが違うと性格も違うので、微妙に異なる展開になる部分も出てきてしまいますが、ワクワクするとお言葉をいただき、ホッとしました(^^;)
ありがとうございました。

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