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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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中編



「オレ、薪さんに惚れました・・!」

小池のその言葉に、薪は目を見開いていた。
「なっ・・!」

互いに相手を見つめ・・やがて、小池はハッとしたように、薪の腕を掴む自分の手に気付き、その手を離す。
「あ・・すみません」
うつむく小池の顔は、いつの間にか、真っ赤になっていた。

「・・・・・・」
見上げる薪に向かい、小池は言う。
「オレがこんなことを言っても、薪さんは、キツイ冗談か、それとも皮肉かと思うかもしれません。でも、オレは、本気なんです!」

改めて、小池は薪の前に立ち、真剣な顔で話す。
そこには、人を揶揄するような様子は、微塵も感じられない。

「オレが薪さんのことを噂するのは、それだけ、薪さんを尊敬しているから、そして、そんな薪さんをもっと、警察関係者の皆に認めてもらいたいからです。第九の立場の低さ、薪さんの能力を正当に評価しない連中の存在・・それが、オレは悔しいんです。薪さんは・・素晴らしい人間だから」
最後の言葉を言う時、小池は少し、口ごもった。

「・・苦手なんだよな。こーいうこと、面と向かって言うの」
一度顔をそらし、小池は続ける。

「自分でも、そんな、薪さんに対する想いがそこにあることに、気付いていませんでした。上司としての信頼と尊敬が・・実は、一人の人としての薪さんに惚れていたのだと・・気付いてからはもう、そのことが頭を離れなくなって」
小池は、首を横に振る。

「もう駄目だ・・このままじゃ何も手に付かない。ハッキリさせよう。今日はそう、決心していました。そして今、改めて気付いたんです。薪さんも、オレを・・信頼してくれてるって」
小池は、薪に視線を向けた。

「そうなんでしょう? 薪さんは、オレに仕事を任せても不安は無いと言ってくれました。普段、オレを掴まえて苛めるのも、それだけのことをしても信頼関係は揺るがないって、信じてくれてるっつーことですよね」

「・・・・・・」
薪は、小池を見つめていた。
鋭角的な顔立ち、細身の身体。
一見華奢なようで、軽快な身のこなしは、鍛練を続けている筋肉質の身体を思わせる。

「オレ・・今のままで構わないっす。上司と部下のままで充分なんで。ただ、伝えたかっただけですから」
そこまで言うと、小池は、急に落ち着かない様子になり。

「あ・・オレ、やっぱりトイレ行ってきます!」
そう言うと、脇目も振らず、足早にその場を出て行った。






薪が第九に戻り、室長室で出掛ける支度をしていると、ノックの音がした。
「宇野です」

顔を出した宇野は、一度、じっと薪を見つめると、口を開いた。
「薪さん、ちょっといらしていただいても、よろしいですか?」
薪は時計を見る。
総監との約束には、まだ少し時間があった。

薪は無言でうなずき、宇野の後に続いた。
二人が向かったのは、特別捜査室。

宇野は、その小さな個室に薪を招き入れると、画面を立ち上げた。
薪はシステムの前に座り、宇野はその背後から手を伸ばし、システムを操作する。

「これです」
宇野の言葉に、薪は、画面を覗き込む。
システムの画面の向こうには、更にもう一つ、パソコンの画面・・・

「何だか分かりますか?」
宇野の問いに、薪は答える。
「交流サイトの画面だな。そして、彼が見ているメッセージは・・」
「そうです。松田は、この連続殺人の実行犯には違いありませんでした。けれど、それを指示する人間が居たんです」

「・・・・・・」
薪は、軽く握った手を唇にあてがい、画面に見入っていた。
連続殺人で死刑の判決が下り、刑が執行された囚人の脳。
そこには、それまでの捜査では明らかにされなかった、共犯者の存在が映し出されていた。

「宇野。このメッセージの発信元を、特定出来るか?」
「はい。既に解析を始めています」
薪はうなずき、画面から顔を離して、椅子の背にもたれた。

「薪さん、気付いていらしたんですか?」
宇野が、すぐ傍らで声を掛ける。

「もしかして・・彼には共犯者が居ると、ご存じだったんですか」
薪は、宇野にちらりと目配せをすると、話し出した。

「この事件は、第九の管轄ではなかった。状況証拠と物的証拠、目撃証言と犯人の供述、全てが一致し、不審な点も無いとされ、判決が下った。だが僕は・・今回、特捜をするに当たり手渡された資料を見て、松田が逮捕される直前にパソコンに銃を打ち込んだこと、そこに何かあるのではないかと思っていた」

「犯人は、逮捕の前後、錯乱状態だったとされ、この件は重要視されなかった。・・けれど薪さんは、脳を見るまでもなく、そのことに気付いたんですね」
宇野の言葉に、薪は顔を上げる。
「だから今回は、お前に特捜を任せた。宇野」

「え・・」
宇野も、薪の顔を見返す。

「それでなくとも、特捜はキツイ仕事だ。そしてお前には、いつも特殊な任務をあてがい、負担を与えていると思っている。だが、お前なら、この件に一早く辿り着き、更には解析まで進むだろうと、そう判断した」

「薪さん・・・」
宇野はつぶやき、視線を落とす。
そして言う。

「薪さん。・・嬉しいです。薪さんに任務を与えられることが。オレは、あなたのもとに居る限り、自分の価値を信じられる」
それから顔を上げ、宇野は、薪を見つめ、静かに言った。

「オレは・・薪さん、あなたのことが、好きです」

MRIの画面を前に、薪と宇野は、ごく近くで互いを見つめ合っていた。
「薪さん・・・」
いつしか、椅子の肘掛けに乗せられた薪の手の甲に、宇野の手が重なっていた。
普段、何事にも、自分から積極的なアクションを起こさない宇野のその行動は、薪に、強いインパクトを与える。

宇野は、それ以上、何も言わない。
ただ、薪の手に自分の手を置き、薪の瞳を見つめていた。

すぐ目の前にある、宇野の顔。
一見、目立たない容貌ながら、よく見ると、眼鏡の奥のその瞳には、男っぽい凛々しさすら漂う。

じっと薪を貫くその視線が、濃密な空気を、作り出していた・・・。






薪は、警視総監の前に居た。
いつものように、デスクの上で手を組み、薪を見上げているその姿。

「今日は、個人的な話があって、君を呼んだ」
「第九の全国展開に向けて、ご意見があるとのことでしたが・・?」
薪は眉を寄せ、言葉を返す。

「君の場合、退庁後に食事に誘っても、全て断られるからな」
「勤務時間外に、飲みながら、仕事の根回しをする、そんなやり方は非効率だと思いますので」
薪は、デスクを挟んだ向こう側に立ったまま、平静な顔で言う。

「今回は、仕事の話ではないのだ」
組んだ手にあごを乗せるようにして、総監は言った。

「未だ不安定な第九の立場において、君は、目覚ましい成果を上げている。第九はこれから、しっかりとした基盤を持った組織となり、また・・君自身も、もっと評価を受けてしかるべきだと思う」

「・・・・・・?」
薪は、いぶかしげな顔をする。
仕事の話ではないと言いながら、その実、第九や自分の評価の話を持ち出す総監は、一体何が言いたいのだろう。

「薪警視正・・いや、薪君」
総監は、組んだ指をほどき、今度は腕を組むと、言った。

「率直に言おう。私は、君のことを、手に入れたいと思っている」

「・・・・・・」
薪は束の間、黙り込んだ。
やがて、口を開く。

「申し訳ありません。おっしゃる意味が・・・」
「言葉どおりの意味だよ。私は、君のことを、自分の物にしたい。総監と警視正という立場ではなく、君という人間をだ」

「・・・・・・!」
やっとその意味を呑み込むと、薪は、大きく目を見張った。

「薪君。君という人間は、実に魅力的だ。これまで私は、警視総監という立場から、君を援助してきた。これからは、もっと近い立場で、君を支援していきたいと思う」
そこまで言うと、総監は腕をほどき、背もたれにもたれて、くつろいだ姿勢になる。

「程なく、私は警視総監という立場を、退くことになるだろう。だが、これ程長くこの地位に着いていたその力は、相当な物だ。君がその気になりさえすれば、私は君と、君が大切にしている物を、守り、発展させることが出来る」

「・・・・・・」
「そんな怖い顔をするな。・・まあ、その顔も私は気に入っているが。地位と権力、そんな物を交換条件に出す私は、卑怯な人間に思えるだろう。だが、魅力に溢れた君に対して、私には、それしか無いのだ。君を手に入れる為には、その地位と権力にすがるしか無い、哀れな老人に過ぎない」

総監は、自嘲気味に笑う。
それから、顔を上げ、改めて薪に告げる。

「君の明晰な頭脳と、私の地位と権力。これらが一つになれば、何物にも代え難い、大きな力を得るだろう」






部下の運転する車内の後部座席で、薪は、ケータイを手にしていた。
「はい。・・いえ、これまでとの変更点はありません。大した話ではありませんでしたので、報告すべきことは何も・・」

電話の相手は、田城だった。
第九の全国展開について、総監の意見を薪が聞きに行くと伝え聞いた田城は、その内容が何なのか、説明を求めたのだ。

「そうか・・」
薪の報告を聞いた田城は、わずかに間を置き、それから言った。

「もしかしたら・・総監の話というのは、薪君、君とのことについての、ごく個人的なことだったんじゃないのかな?」
「え・・」
薪は、言葉を失う。
田城は、何を知っているのだろう。

「うん。そうじゃないかと思ったんだ。こういうことはね、分かるんだよ。何しろ、君のことを、私はずっと、見守ってきたんだからね」
「田城さん、この件については、これ以上は・・」
薪が言い掛けると、田城が言う。

「分かっている。総監のことについては、私が口を挟むべきことじゃない。だが、気を付けた方がいい。どこで誰が、どんな情報を握るか分からないからね。この電話は知ってのとおり、セキュリティが掛かっていて傍受される恐れも無いが・・くれぐれも、言動は慎重にした方がいいと思うよ」
「はい」
薪は、静かに返事をする。

「君のことは、本当に心配なんだ。君は昔から、働き過ぎる位、よく働く人間だった。幾度も厳しい境遇にさらされながら、それでも耐えてここまで歩んできた。私はそれを見てきて、何も力になれない自分を、はがゆく思ってきた・・」
「そんなことはありません」
薪の脳裏に、田城の、穏やかな笑顔が、浮かぶ・・・。

「分かるかな? 私にとって、君は、息子みたいなものなんだよ。優秀で、それでいて危なっかしくて、目が離せない可愛い息子だ。いや・・それ以上だ」
「田城さん・・」
田城の思いやり深い言葉に、薪は耳を傾ける。

「薪君・・。この際だから、はっきり言おう。私は、君のことを、愛しているんだよ」

薪は、ケータイを耳に付けたまま、目を上げる。
「・・・・・・」
「君の方はどう思っているか知れないが。ずっと君のことを見守り、大切に思ってきた。そのことを、覚えていてほしい」

田城の言葉が、優しく、薪の耳に響いた。






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったCさま

○12/20に鍵拍手コメント下さったCさま

コメントありがとうございます♪

本当に「どうしたんだ?」ですよね(笑)

夢オチは私自身も苦手なのですが・・似たようなオチと言えなくもないこの結末。
きゃ~っ!
ガッカリなさっていらしたとしたらすみません(>_<)

パソコンは、結局買い替えの運びとなりました。
使い慣れたパソが使えなくなるのは寂しかったですが、8年前に比べて今のパソは遥かに使い勝手が良くお値段も4分の1・・・すっかりご機嫌でパソに向かっている自分がおります(^_^;)

お待ちいただいていたようで、もったいなく嬉しく思いました。
ありがとうございました。

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