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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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これは、オリキャラメインで、「秘密」メンバーはほとんど出てこない・・という代物です。
また、新たにいくつかのオリジナルな名前が出て参りますが、あえてその国に多い名前リストから拾って組み合わせており、実在の人物とは一切関係ございません。
清水先生の作品とは、関係ございません。

ご了承下さいませ。



オリジナルストーリー

「早春の風」




時計はちょうど、夜の8時を指すところだった。

FBIの化学分析部で、エマ・ジョーンは、端末を前に座り、データを解析していた。
やがて彼女は、画面に現れた表示を確認すると、くるりと後ろを振り返った。

「どう?」
「素晴らしい」
背後に立っていた男性は、エマと共に画面を覗き込み、満足そうにうなずいた。

「よし。これで、MRI画像に映っていた薬品の特定が出来た。予想どおりだ。明日には報告会議に掛けられる。感謝するよ、ジョーン博士」
「どういたしまして。フォスター所長」
ダークブラウンの髪を後ろで一つに束ね、白衣を着たエマは、傍らに立つ長身の男性に、微笑んで見せた。

「無理を言って急がせて済まなかった。そのうち礼をさせてもらう」
「お礼なら、今すぐでも構わないけれど。ちょうど、お腹もすいたし」
デスクに肩肘を付き、相手を見上げ、エマは、くすっと笑う。

「・・そうだな」
フォスターは、思案する様子を、ほんの数秒見せてから、エマに向かって、そう言った。
「私は、この件をロビンスに引き継いでから出る。下のロビーで落ち合おう。20分後で構わないか?」

部屋を出て行くフォスターを、エマは座ったまま、ゆっくりと見送り。
その姿がドアの向こうに消えた途端、急いで立ち上がった。

20分。
つい先程まで、なりふり構わず仕事に打ち込んでいた女性が、男性とのディナーにふさわしい状態になるには、その時間は、長いようで短い。

ロッカールームで白衣を脱ぎ、化粧室に移動して、身なりを整える。
大きな鏡の前で、化粧を直し、まとめていた髪をほどいて、手櫛ですいた。
エレベーターを降りる時には、白衣の代わりに、オフホワイトのジャケットを羽織っていた。
今夜、こんなことがあるとは予想もしていなかったが、新調した上着を着てきて良かったと思う。

きっかり20分後、エマがロビーに降りると。
フォスターは既に到着していて、立ったまま、ロビーに常備されている夕刊を広げていた。
エマが近付く様子にすぐに気付き、目を上げ、新聞を畳んで元に戻す。

「お待たせしたかしら」
エマの言葉に。

「いや、私も、今来たところだ」
そう言って、フォスターは、ニッコリと笑って見せた。





「・・・お礼にご馳走してくれるには、随分立派な店ね」
席に着くなり、エマは言った。

「上着も着ていないから、まさかとは思ったけど」
「また、すぐに仕事に戻るんでね」
シャツにネクタイ姿の軽装で、エマと、窓際の小さなテーブルを挟んで座り、フォスターは言った。

「この後、電話が入ることになっている。その前に腹ごしらえしておくには、この店がちょうどいい」
くつろいだ様子でフォスターは言い、店内を見渡す。
そこは、職場に程近い、FBIの人間もよく立ち寄る、ダイナーと呼ばれる軽食屋だった。

「電話・・ね。先約があったってわけ?」
エマが言うと、フォスターが微笑んで言う。
「仕事の電話だ」
そしてフォスターは、店の者に向かって手を挙げた。
近付いて来た店員に向かい、二人は注文を済ませる。

「どうした?」
あまり機嫌がいいとは言えない表情で、正面から自分の顔を見つめるエマに、フォスターは尋ねた。

エマは言った。
「まさか、ここに連れて来られるとはね」

「もっと雰囲気のいい店に君を誘いでもしたら、君の魅力に目が離せなくなって、引き留めたくなる自分を抑えられなくなるからな。自分がとっくにフラれた哀れな男だということを、すっかり忘れて。ここなら、いい働きをしてくれた同僚におごるという一線を越えず、君に、しつこい男だと嫌われなくて済む」

フォスターは、テーブルに頬杖を付き、エマの顔を見返して、言った。
「もちろん、場所がどこであれ、君が魅力的なことに変わりはないが」

「・・・・・・」
こちらを見つめ、ニッコリと笑うフォスターに、エマは、何とも言えない表情になる。

「相変わらずね」
エマが、言いながら腕を組む。
「ずるいんだから。そんな顔で言われたら、何も言い返せないわ」
そしてエマは、窓の外に目をやった。

夜の街路を、車の明かりが行き交っている。

「本当のことだ。私は、人を見る目はあるつもりだ。私が関わってきた女性は皆、素晴らしく魅力的だったし、別れてからも、その魅力は衰えない・・」
「・・・・・・」

「益々美しく、いい仕事ぶりを見せ、輝いているその姿に、一時でも自分が共に過ごせたことを、誇りに思えるよ・・エマ」
エマは、窓を見つめたまま、やや目を伏せる。

フォスターのその言葉は、本心なのだろう。
少なくとも、本人にとっては。
付き合っていた当時の愛の言葉も、何もかも。
フォスター自身にとっては、それは、嘘ではなかったのだ。

「最近、ジェラルドと親しくしていると聞いたが・・」
フォスターのその言葉に、エマは振り返る。

「誘われて、幾度か食事をしただけ。それだけよ」
自分の言葉が、何か言い訳じみて聞こえて。
「・・そうね。少なくとも、あなたよりは、素敵な店に連れて行ってくれるわね」
口元に笑みを浮かべ、冗談めいた口調で、そう付け足した。

フォスターは笑い。
それから、エマの顔を見て、言った。

「君が誰と付き合おうと、もはや、私に口を挟む権利は無いことは分かっている。だが、余りにも目に余るような酷い男だったら、やはり、一言忠告しておきたいからな」
「・・それは、昔の男として? それとも、今、同じFBIで働く仲間として?」
「両方だと思ってくれて構わない」

エマは肩をすくめ、それから、改めて尋ねる。
「それで・・ジェラルド・ハーディは、あなたが忠告したくなるような、そんな酷い男なの?」
「ああ。あいつは同期で、現場で働いていた頃から、よく知っている。君と、少し年は離れているが、子供のように素直な一面がある。人に対する思いやりが深く、仕事が出来、見た目どおりの、真っ直ぐな男だ」

「それで? そんな彼の、どこが酷い男なの?」
エマの問いに、フォスターは答える。

「このまま君と付き合っていたら、あいつはきっと、君の気持ちを掴むだろう。こんなにも魅力的な君を、他の男達の前から奪っていくんだ。相当、酷い男だとは思わないか?」

「・・・・・・」
エマは、瞬きをして、フォスターの顔を見た。
やがて、徐々に口元が緩み・・・プッと吹き出した。

二人は、声を挙げて笑う。
そこに、クラブハウスサンド、ハッシュドポテト、ベイクドビーンズ等が運ばれてきた。
エマはもう、化粧が崩れることも気にせず、大口を開けて、サンドイッチを頬張った。

「楽しい夕食だったわ。ありがとう」
外に出ると、エマは言った。

「じゃ」
軽い挨拶と共に、その場を去ろうとしたエマに、フォスターが声を掛ける。

「エマ」
エマが立ち止まり、振り返る。
もう笑ってはいない、フォスターの顔が、そこにあった。

「さっきも言ったが・・私は、君の人生に何も口を出せる立場には無い。だが、友人として、何かあれば、いつでも力になるつもりだ。それを、覚えていてほしい」

「・・・・・・」
エマは目を見開き、それから、フッと微笑んで、言った。
「ありがとう」

それからフォスターに背を向け、歩き始める。
少し進んでから、そっと振り返ってみた。

フォスターは、もうとうに、職場に戻る道を歩いている。
どこまで見送っても、彼は、一度もこちらを振り返らない・・・。

エマは、見えなくなるまでフォスターの背を見送ると、帰り道を歩き出した。
柔らかな夜風が、髪を乱す。

『とっくにフラれた哀れな男』
確かに、別れを切り出したのは自分だった。
・・だが、本心から引き留められたという、覚えも無かった。

それもその筈。
フォスターは、その頃にはもう、自分への興味は失せていたのだから。

いや・・もしかしたら、最初から、自分は本当に愛されていたのではなかったのかもしれない。
愛し合う時、彼はいつも情熱的だった。
けれど、その情熱の中に、どこか冷めた部分が存在することに、いつしか、気付いてしまった。

この男は、自分に本気になることは無い。
それでも、良かった筈だった。
分かっていながら、自分だけが・・・

そして、彼は、一たび興味が失せたら、もう二度と、こちらを振り返ることは無いこと。
惰性で付き合っていたら、益々彼が、自分への興味を失い、やがて彼に拒否される日が来ること。
それが、分かってしまった。

だから、自分から別れを告げた。
そうすれば、彼自身が、恋人への興味が失せたことを自覚する前に。
まだ、彼の前で「いい女」であるうちに、彼を失望させないうちに・・・彼から、離れることが出来る。

自分から別れを告げることが、ギリギリのプライドを保つ手段だった。
そして、自分は今も・・・・・・

「くっ・・」
エマの胸の中を、込み上げてくる物があった。

別れてからも、友人として同僚として、変わらぬ態度を向けるフォスターに。
エマも、同様に、いい友人としての顔を見せてきた。
別れた後、どれ程に苦しんだか、そんな姿は一切見せず。
やつれた顔など見せたくないと、必死に外見を整え、仕事に励んだ。

自分と別れてからしばらくの間。
フォスターの周辺から、ふっつりと、女性の陰が途絶えていた。
女性関係が途絶えたことが、あまりに不自然だったのか、今度は、日本から赴任してきた男性の同僚との、まことしやかな噂が立ち昇った。

だが、実際には、ほぼ同じ時期に、一人の女性と付き合い始めていたのだ。
そして・・その女性が、彼の妻となった。

結局は、その女性が、フォスターにとっての、運命の女性だったのだろう。
そして、結婚してからの彼は、相変わらず、女性に対して幾多の言葉を掛けるものの、その先には、決して進まない。

分かっていた。
分かっていても・・・

『何かあれば、いつでも力になる』

それも、彼にしてみれば、本心なのだろう。
だが、彼にとって一番大切なのは、最愛の妻であり、仕事である筈だ。

自分を力付けようとしてくれた筈の、その言葉が。
エマには、かえって、苦しい物となって、その胸を締め付ける。

だがエマは、くっと顔を上げ。
しっかりとした足取りで、夜道を歩いて行った。





「連絡はあったか?」
「いいえ、まだ」

ロビンスの返答に、フォスターは時計を見上げる。
今、日本時刻は午前10時過ぎ。
岡部の話だと、そろそろ電話が入ってもいい頃だが。

「これから、緊急会議が開かれるところで・・・会議が終了したら、直接電話を掛けるそうです」
岡部がそう言ってきたのは、数時間前のこと。

日本の第九の者達は、徹夜で捜査に当たっているところだった。
その過程で、新たなデータが必要になり、その為に、上役達が招集されたのだ。

「・・・・・・」
フォスターは、ある人物に思いを馳せる。
捜査となると、ろくに食事も睡眠も取らず、部下達にゲキを飛ばし、職務に没頭する。
そのまま、会議に出席し、堅物達を相手に説得を試みる・・・

その姿が、目に見えるようだった。

「!」
電話の音に、フォスターは我に返る。
ロビンスが出て、すぐに替わった。

「私だ。フォスターだ。・・薪」

続いて耳に響いてきたのは、聞き覚えのある、滑らかなテノール。
「待たせてすまない。決定が下った。日本政府は、アメリカ政府に対して、エド・ハウアーに関する全ての情報提供を要請する」

無駄な前置きの一切無い、薪の話し方は、相変わらずだった。

「君が、今手掛けている、連続殺人の被害者の全データと引き換えということだな」
「そうだ。今朝までに、遺族関係者の同意書も揃えた」

フォスターは、フッ・・と小さく息を付く。
会議で決定が下されるまでは、許可が下りるかどうかも分からない一件で、既に全ての被害者遺族のところを回っているとは。
それだけ、データの入手に緊急性を要しているということだろう。

今、日本で起こっている連続殺人は、アメリカで起こった連続殺人に酷似していた。
殺人鬼エド・ハウアーは自殺し、アメリカでの事件は終息を迎えたが、日本ではまだ、殺人が続いていた。
ニュースで報道されただけではない、エド本人しか知り得ない手口までも似通っていることから、生前のエドと、日本の殺人鬼が接触していた可能性が浮上した。

日本では、早急に、エドのMRIデータを入手する必要があった。
それさえあれば、次の殺人が阻止出来る筈だと、薪は考えたのだ。

だが、被害者や加害者のMRI画像、そのデータは、国家間の様々な事情が絡み、原則として、国外へは持ち出し禁止となっている。
アメリカ側は、研究の為に日本側のデータも提供することを引き換えに、エドのデータを提供すると申し出ていた。

「これから、正式な通達が交わされるまで、数日を要するだろう・・」
薪のその先の言葉を待たずに、フォスターは言った。

「分かった。すぐにデータを送る。データが他に流出することの無いよう、専用のオンラインを使用する。データがかなり重くはなるが、その方が確実だ。データの送信準備は既に出来ている。そちらの時刻で今日の午後・・夕方までには、全データを送信出来るだろう」

「・・・・・・」
薪は、束の間、無言になった。

正式な文書が交わされないうちに、現場で先に動くことには、リスクが伴う。
だが、通達がやりとりされるまで待っていたら、その間に、また、次の殺人が起こるかもしれない・・・

「・・すまない。お願いします」
最後の言葉は、第九の室長として、アメリカのMRI研究所の所長に対しての言葉だった。

「薪」
フォスターは、言った。

「薪。何かあれば、いつでも力になる・・・共に、MRI捜査に携わる人間として」

「・・・・・・」
数秒の間を置いて、薪の声が、聞こえた。

「分かっている」

その一言を最後に、通信が切れた。

「向こうで夕方までにって・・こっちは夜を徹しての作業ですよ。本気ですか? こちらの事件がまとめに入ったからいいようなものの・・」

事前にフォスターに事情を聞かされていたロビンスは、ぶつぶつと言いながらも、直ちに、データ送信システムを担当している捜査官と、打合せを始める。
自分の上司が、やると言ったことは、必ずやることは、これまでの付き合いで分かっていた。

対して、フォスターは少しの間。
そこから、動けずにいた。

「所長?」
ロビンスの声に、フォスターは顔を上げる。

「上への説明に行ってくる。そちらはお前に任せる」
フォスターの言葉に、ロビンスは、システムに顔を向けたまま、フォスターに手を挙げて見せた。

『分かっている』

その場を立ち去るフォスターの胸を、薪の言葉が、風のように駆け抜けていった。





早春の風 終






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

○3/23に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。

オリキャラを覚えていて下さって、ありがとうございます。
アメリカのドラマを見てるようですか?
Aさんの豊かな想像力に助けられておりますが、お言葉、嬉しく思います。

そう、「同じ言葉に対する受け取り方の違い」。
ポイントとなる部分に注目していただき、嬉しいです。

「分かっている」という言葉は、私が考えて出てきた言葉ではなく、脳内に勝手に流れた映像の中で、薪さんが口にされてた言葉なのですが、お褒めの言葉をありがたく受け止めたいと思います(*^^*)

第九に居る薪さん・・そうですよね・・・(ああ、原作を思うとチクチクと・・)

ありがとうございました。

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