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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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メロディ2012年6月号「秘密-トップ・シークレット-2010 END GAME 最終回」

レビュー4:滝沢の未来



「自分の役目は 終わった」

滝沢は、そう思ったのだろうか。

滝沢の脳裏には、あの、貝沼のイメージがよみがえる。
滝沢自身、自分は貝沼の脳に影響を受けていると、そのせいで、薪さんに執着するのだと、思っていたようだ。

だが、本当は、違うんじゃないだろうか。

日本の地に渡った時。
修羅場を潜り抜けてきた滝沢にとって、日本の人間達は、さぞ、安穏としていると映ったに違いない。

その中でも。
凄惨な事件を扱う、第九という職場。
日本の警察官のエリート中のエリートが集うと聞かされたこの職場でさえ。

他の場所よりは緊張感に満ち、頭のいい者達が居るが。
それでも大したことは無いと、滝沢は思ったかもしれない。

だがその中に、一人。
飛び抜けた頭脳を持つ者が居た。

日本ではエリートではあっても、滝沢の目には「平凡」と映る捜査官達の中で。
その中に溶け込むように愛想を振り撒きながら、実は冴え渡る知性を持つ室長。
こいつだけは違う、室長として、厳しい重責の中で役目を果たしていると、滝沢は見ていた。

調べによれば、滝沢は、チメンザール軍に所属しながら、反政府民主化運動家とも接触があったと言う。
二重スパイとしての戦いは、さぞ孤独で、壮絶な物であっただろう。

そんな滝沢にとって。
突出した明晰さを持ち、一人、室長としての重責を担う薪さんは、どこか、同志のように思えたのかもしれない。
こいつも孤独な戦いをしている・・・と。

けれど、滝沢と違って。
薪さんには、鈴木さんが居た。

鈴木さんも、滝沢が認められるような天才であったなら、滝沢も納得出来たのかもしれないが。
滝沢にとっては「平凡」なその男が。
薪さんの支えになっていることが、滝沢には、気に入らなかった。

自分の方が、薪さんの気持ちが分かると思っていたかもしれないし。
同時に、鈴木さんのような支えがあることを、その関係を、羨ましく、妬ましく思っていたのかもしれない。

鈴木さんが亡くなり、滝沢自身も第九を去り。
日本へと再び戻った時。

唯一の支えであった鈴木さんが亡くなり、しかも、薪さん自らの手で失って。
薪さんが、どれ程、苦しみと孤独の中に居るだろうと、滝沢は思っていた。

「どんなにか 淋しく虚しい日々を送っているのか 楽しみにして帰って来たらどうだ」
「失望したよ」

滝沢のその言葉は、たぶん、本心だったのだろう。
まるで、薪さんをからかっているかのような言い方だが、そこに、本音があったのではないか。

誰からも理解されない。
いつ終わるともしれない。
孤独な戦いを続けていた、滝沢。

そんな自分と、同じ状況に置かれている筈だと。
薪さんが、自分と同様に孤独である筈だと。
滝沢は、今度こそ、薪さんが同志になったのだと、期待していたのかもしれない。

それは、どこまでも自分勝手で、一方的な、仲間意識、でしか無いが。

けれど、薪さんには。
再び、仲間が集っていた。

薪さんの心中は、孤独で辛いことには変わりは無かったが。
滝沢の目には、信頼し合える仲間が居る、守りたい者が居る、未来に希望が見える・・薪さんの姿が、そんな風に、映ったのかもしれない。

他の呑気な日本人達とは違う、明晰さを持ち、現実の残酷さや人間の醜さを誰よりも見続けながら、自分と同様、孤独な戦いを続けている薪さんが。
自分とは違い、周囲に、温かい眼差しを向けてくる仲間が居る。

滝沢が、薪さんに執着し、その薪さんの信頼を得ている鈴木さんや青木に嫉妬しているのだろうと。
そう私は思っていたが。

滝沢が、嫉妬していた相手は。
薪さんの信頼を得ていた第九メンバーではなく。

他ならぬ、薪さん自身、だったのではないだろうか。

どんなに、辛い境遇に置かれても。
仲間を引き付けずにはいられない、信頼する人間が集わずにはいられない。
そんな、薪さんが。

薪さんの中に、自分と似た物を見出した滝沢が。
それでも、薪さんと自分は、違うことを見せつけられる。
そして、それが、何故なのかと思った時。

そこには、薪さんの「人間性」があるのだと、認めずにはいられなかった。
どこまで追い詰められても、失われることの無い、薪さんの「優しさ」。

美しかった故郷の風景、愛する人々。
滝沢も、最初は、ただそれを守りたかった、失われた物を、取り戻したかった。
それだけだったのかもしれない。

それがいつしか、任務の為には「女でも子供でも平気で殺す」そんな人間になってしまった。

守りたかった物。
失ってしまった物。
もう二度と・・・取り返すことの出来ない物。

薪さんは、それを失っていない。
家族も無く、鈴木さんという支えさえ失っても・・・それでも。

薪さんは、人を信じる心を、失わなかった。
大切な人を守りたいという気持ちを、失わなかった。
だから、薪さんのことを信じ、薪さんを守りたいという人も、存在し続けたのだ。

そんな薪さんを「甘い」と言い。
その甘さが「身を滅ぼす」と、思いながらも。

決して失われない、薪さんのその「甘さ」に、滝沢は、憧れ続けていたのではないだろうか。

薪さんは、決して、自分と同じにはならない。
でも、そんな薪さんだからこそ・・・・・・

様々な物を失い。
壮絶な戦いをいくら続けたところで。

所詮、自分は世界の大きな動きの、ほんの一コマにしか過ぎないと。
滝沢は分かっていたのだろう。
役目を終えれば、簡単に消されてしまう、そんなコマの一つ。

そして。

どれだけ人を殺し。
人を裏切り続けても。
それが、いつまで続くのか。
故郷の美しい風景は、いつ、取り戻せるのか・・・。

滝沢は、疲れたのかもしれない。
疲れ切ってしまった。
果てしない戦いに。

滝沢はもう、役目を終えたかった。
けれど、自分が辞めたいからと言って、簡単にその世界から抜け出すことなど、到底出来ないところまで、踏み込んでしまっていた。

薪さんが、イリハムの映像を世界に流した時。
滝沢が、それを予測していたのかどうかは、分からない。

けれど、その結果に、滝沢は、どこか安堵する気持ちがあったかもしれない。
これで・・・役目を終えることが出来ると。

こんな失敗をしてしまえば。
ここから脱したとしても、多くの秘密を抱える自分は、遠からず抹殺される筈。

けれど、任務がある限り。
抹殺しようとする人間の手をかいくぐり、更に戦いを続けなければならない。

滝沢に、余程、強い使命感が無ければ、ここまで来ることは出来なかった筈。
自分が日本に送り込まれるまでに、多くの同胞が犠牲になった。
組織の中で、自分が勝手な主義主張で動くことは、許されない。

だから、滝沢は、わざと暗殺者に撃たれることは出来ない。
簡単に、自殺することも出来ない。

でも・・本当は、疲れてしまった。
今ここで、もう自分の役目は終わったのだと、そう・・結末を付けたかった。

だから、薪さんの手で、殺されたかった。
薪さんに、憎まれて憎まれて・・・命を、終えたかったのだ。

滝沢の望みは。
「今は 僕の部下だ 滝沢」
そう言う薪さんの手で、阻まれる。

最後の最後まで。
この土壇場に及んでも、その優しさを、「甘さ」を。
失わない薪さんに、滝沢は、「気をつけろ」という言葉を残す。

軽く口にした言葉のようで。
それは・・滝沢にとっての、薪さんへの最後の手向けであったかもしれない。

私は、滝沢のことを許せない。
どんな事情があろうと、薪さんを傷付ける言葉を放ったこと、それは、許すことが出来ない。

鈴木さんの件に関しては。
薪さんが言ったとおり、今となっては、滝沢が銃を改造したと言ったことが、本当かどうかは分からない。
でも、それがもし本当だとしたら、それも、永遠に許せないと思う。

でも今は。
滝沢の冥福を、祈りたい。

薪さんが、救おうとした命だから。
薪さんが、最後の望みを叶えた、相手だから。

「たのむ」
そう言って、滝沢は、息を引き取った。

貝沼の脳のせいなんかじゃない。
滝沢は、滝沢自身の心で、薪さんに救いを求めていたのだ。

壮絶な戦いを強いられながら、情を失わない薪さんに。
どこまで追い込まれても、信頼し合える仲間を失わない薪さんに。

滝沢は・・自分では叶えられない、未来を見たのだ。

そして、薪さんも。

チメンザールの、最重要機密を握っている、滝沢の脳。
第九室長の薪さんにとって、それを破壊することは、到底許されない筈だった。

けれど、薪さんは。
滝沢の願いを聞き入れた。
その手で、滝沢の脳に、弾を撃ち込んだ。

薪さんには、滝沢の最後の願いが。
それを懇願する気持ちが、痛い程に分かったのだろう。
誰よりも。

滝沢は、薪さんが自分の願いを叶えてくれるのかどうか、知らずにそのまま、逝ってしまった。
けれど、きっとそれを叶えてくれると、そう信じていただろう。
何故なら・・それが、薪さんだから。

そして。

滝沢は、分かっていただろう。
自分が、薪さんの目の前で息を引き取ることが。
自分の脳を、薪さんに撃たせることが。
また、どれ程の重圧を、薪さんにもたらすか。

けれど、滝沢は、信じていたのかもしれない。
それを、薪さんが乗り越えることを。

薪さん自身の「甘さ」。
そんな薪さんを必死で支えようとする、周囲の人々。

それらによって、薪さんが、自分とは違う未来を、結末を迎えるその光景が。
滝沢には。

見えたのかも・・・しれない。






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇5/8に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。

すごいでしょうか?
そ、そんな大層な物では・・・(><;)

でも、書き始めたら、予想以上に長い記事になって、滝沢についてこんなに書くことがあるとは、自分でも思いませんでした。

滝沢は、鈴木さん等ではなく、結局は、薪さん本人に嫉妬していたのでは・・というのが、私の予想の結論なのですが(^^;)

Aさんも「救いだった」とお思いになりましたか・・・。

これが、よくあるドラマや映画だったら、滝沢みたいな修羅場を経験した男が最期を迎える時は、信頼する仲間の腕の中で亡くなったりするものだと思うんですよ。
でも、滝沢は仲間どころか、思いっきり不信感を持たれていた相手である、薪さん一人に見守られて息を引き取った。
滝沢にとって、薪さんは、同じスパイでもない、信頼し合う仲間でもない、自分の身の上を何も知らない相手でしかなくて。
でも、ありがちなドラマや映画のような仲間の腕の中で惜しまれて亡くなるより、ずっとリアルで、そして、滝沢にとって意味のある最期だったような気がするんですね。

薪さんがカニバリズム事件の捜査で何を見たのか、誰に狙われているのか、滝沢は第九の中で自分だけが知っていただけに、薪さんを、他の人より自分は理解していると思っていたのかなと。
だからこそ、薪さんが人間性を失わず、そんな薪さんに皆が付いていく様子に、甘いなとせせら笑いながらも、自分には出来ない薪さんのその生き方を、支持していたような気がしました。

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