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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※これは、現在の「秘密」の状況から勝手に作り出した物であり、清水先生の描く世界とは関係ございません。


オリジナルストーリー

「摩天楼」




第九メンバー達は、それぞれの管区への配属が決まった。

青木は、第八管区だ。
母と姪は、既に九州の家に移り住んでいる。

第九での捜査の整理と、新しい職場の準備とで、第九と九州を往復する日々の青木にとって。
福岡の親族達が、何かと母や姪の面倒を見てくれることは、何より心強く、ありがたいことだった。

全ての準備が整い。
室長として赴任する直前。
青木は、第九での最後の休暇を取った。

一番年若い室長として、青木には、並々ならぬプレッシャーがあった。
着任したら、早々休みを取ることは叶わないだろう。
だから、今のうちに。

捜査の為に、休むことが出来ず、延々溜まっていた有給休暇。
だが、今回取れるのは、そのうちの3日間のみ。

たった3日。
その時間を、青木は、家で休息する為に使う気は無かった。

室長になる直前のこの休暇を、青木は、ある目的に使うと決めていた。





「仕事だ」
と、青木は聞いていた。

だが、電話の向こうの薪の案内で辿り着いたのは、何故か、マンハッタンから離れた小島の公園・・・

タクシーを降りた青木を出迎えたのは。
仕事用のワイシャツのボタンを上から2つ程外し、袖をまくった腕を組んで立つ薪の姿。

「薪さん・・・!」
青木は、胸がいっぱいになる。

「薪さん・・オレ・・・」
緑の芝生の上で。
向かい合わせに立つ、薪と青木。

何を言ったらいいのか、上手い言葉が見つからず。
「あの・・仕事だって聞いてましたけど」
出てきたのは、そんな言葉。

「僕もだ」
「え?」

そこに。

『ツヨシ!みんな待ってるわよ!・・・あら?』
英語で叫びながら、こちらに近付いて来た、50絡みの、大柄の白人の女性。

『すみません。こちらが、先程話した日本の第九捜査官。僕の部下だった、青木一行です』
薪に紹介され、青木はつい、日本の習慣で、頭を下げる。
『青木です・・』

『そして青木、こちらは、僕が世話になっているドクターで・・』
『イザベラよ』
そう言って、彼女は青木に右手を差し出した。
青木も、右手を出して握手を交わす。

すると・・・

「えっ!?」
青木は、目を見開いた。

イザベラが、青木の首に両腕を回し、軽くハグすると同時に、頬にキスをしたのだ。
突然のことで、青木は、避ける間も無かった。

『ツヨシといい、この部下といい、日本の捜査官はみんな可愛いわねえ』
「・・・・・・」
手を離し、笑顔で青木を見上げる相手を、青木は、無言で見つめる。

『じゃ。待ってるわね!』
明るい声でそう言うと、イザベラは軽く手を挙げ、その場を去って行った。

「気にするな」
呆然とする青木に向かい、薪は言った。
「彼女は、誰に対してもあんな調子なんだ」

「そうですか。ドクターって言ってましたけど、何の・・」
「彼女は、監察医だ」
「・・・・・・」
監察医という職業の女性には、国を問わず、豪快なタイプが多いのだろうか・・なんてことは、薪も青木も、口には出さなかった。

「今日は、本来休日だったが、仕事だと言って呼び出された。だがその中身は、関係者の親睦を深めるバーベキューパーティーだった」
「バーベキュー・・・」
「これまでも、幾度か誘われたことがあるが、僕はそういう場は断ってきた。仕事だとでも言わなければ僕は出てこないからと・・言わば、同僚達に騙されたんだ」

「それで・・・」
青木は、仕事着を腕まくりした薪の格好に、納得が行った。

「プッ・・」
青木は、思わず吹き出しそうになるのを、必死にこらえる。
「何だ?」
薪が、眉根を寄せる。

「薪さん・・騙されたと知って、怒って帰ったりはしなかったんですか」
「来てしまえば、用事があるとも言えないからな。それに・・・」
薪は、ふっ・・と、視線をそらした。

「少し歩こう」

二人は、公園の外側の、川沿いの遊歩道を歩く。
「荷物はどうした?」
「ホテルに置いてきました。どうせ1泊してすぐ発つので、大してありませんが」

二人は並んで、ゆっくりと歩いている。
傍らを、犬の散歩をする人や、ランニングをする人等が、通り過ぎていく。

「何だか、楽しそうな職場ですね」
青木は、言った。
「え?」
薪は、顔を上げる。

「騙してまで、薪さんをアウトドアに連れ出すなんて・・・そんな人達が居る職場だと分かって、安心しました。薪さんが、どんな人に囲まれて、どんな環境で居るのか、気掛かりでしたから・・・」
「・・・・・・」
薪は、黙っていた。

やがて、ふと立ち止まる。
「見ろ」

薪に言われ、青木も立ち止まり、そちらを見やる。
「うわあ・・・」

きらめく水面の向こう。
川を挟んで、夕日に染まる、マンハッタンが見えた。

薪と青木は、しばし、それを見つめていた。
「綺麗ですね・・」
青木が言うと。
「お前が来ると言うから。どうせなら、この景色を見せたいと思った」

「薪さん・・・」
青木は、薪を見つめる。

薪の白い横顔にも、夕日があたり。
風にそよぐ髪は、金色に輝いて見えた。

『可愛いわねえ・・』
青木の脳裏に、先程の、イザベラの声がよみがえった。

「そう言えば」
青木が口を開き、薪が見上げる。

「彼女・・イザベラさんですが、誰に対してもあんな調子だって言ってましたけど」
「うん?」
「薪さんも・・・ハグされたりとか、キス・・・されたりとか、するんですか?」

何故そんなことを言い出すのか・・・青木は、自分でも、よく分からない。

「ああ」
薪の答えに、青木は、何故か、居心地の悪い気持ちになる。

「だが、彼女にあれをやられたのは、初対面の時だけだ。それに、こちらの人間にとって、あれは単なる挨拶代わりだ。大した意味は無い」
「・・そうですよね」

そう言いながら、青木は、手すりに両腕をもたれさせ、目を伏せる。

単なる挨拶代わり・・ということは、別に何も気にする必要は無い。
だが、それは言い換えれば、つまりは、彼女以外にも、挨拶代わりに、薪を抱き締めたり、薪にキスをしたりするような人間が居るのだろうか・・・。
日本では、第九では、誰も、薪にそんなことをするなんて・・・考えられなかったのに。

そう思いながら、青木は、自分の記憶にある、薪を腕に抱いた光景がよみがえる。
スッポリと、自分の腕の中に納まった、薪の身体。

あれは、二度とも、緊急事態だっただけのこと。
そう・・・何もあれは、自分だけの特権ではないのだ。

挨拶代わりどころではない。
そう・・薪には、恋人が居たっておかしくは無い。

部下の自分に、愛する家族や子供を持つことを、願った薪。
そんな薪こそ、それを持つべきなのだ。

未だに自分は、薪のプライベートを、何も知らない。
あの事件から2年・・・薪だって、もう一人で孤独に戦うだけでは、なくなっているかもしれない・・・。

「・・青木?」
薪が、声を掛ける。

「・・・・・・」
青木は、顔を上げられない。
薪が自らを犠牲にするのは、もう止めてほしいと、そう願いながら。
何故自分は、こんな風に思い煩うのか。

自分は、なんて・・・・・・

「青木」
薪が、もう一度呼ぶ。
青木の顔を覗き込む。

そして・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・え?」

青木は、顔を上げる。
そこには、微笑みを湛えた、美しい顔。

今、青木の頬に。
いや、唇の端に触れたのは・・・

「ま・・」
言い掛ける青木から離れ。
薪は背を向け、歩いて行く。

今のは、どういう意味だろう。
挨拶代わりと言っていたが、薪も、アメリカナイズされたということだろうか・・?

いや、まさかそんな。
じゃあ、何故・・・!?

青木の脳裏には、様々な思いが巡り。
青木は立ち尽くしたまま、幾度も瞬きを繰り返す。

それから、やっと思い付いたように、声を出す。
「ま・・薪さん!待って下さい!」

青木も、薪に向かって足を踏み出す。

薪は、歩を緩めずに、先へと歩いていく。
思わず青木も、足を速める。

今や青木は、全速力で薪を追う。
もう少しで、薪に追い付く。

薪は振り返り、真剣に追い駆ける青木に、驚いた表情を見せる。
そんな薪に、青木は、手を伸ばす。



薪さんが振り返る。
振り返る。

そしてオレは、薪さんを掴まえる。
・・・掴まえる。

もう少しで、手が届く。
オレは、薪さんを掴まえるだろう。

そして薪さんは、オレに、微笑んでくれるだろう。





摩天楼 終






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったTさま

〇5/24に鍵拍手コメント下さったTさま

コメントありがとうございました。
レスが遅くなりまして、すみませんでした。

お読みいただき、素敵なコメントをいただいて、とても嬉しいです(;;)
拙い創作ではありますが、それで少しでも心が浮上するお手伝いが出来たのでしたら、私の方こそ幸せです。
ありがとうございました。

■ 鍵拍手コメ下さったLさま

〇5/27に鍵拍手コメント下さったLさま

コメントありがとうございました。
レスが遅くなりまして、すみませんでしたm(_ _)m

もったいないお言葉・・こちらこそ、ありがとうございました!

本音を申せば、出来ることなら、これ以上の確たる進展が見られるエピローグであってほしいのですが・・。
でもきっとそれは無理があるでしょうから・・自分の中で、せめてここまでは見せてほしいという、切なる願いがこもっております。

「二人一緒にいる光景を見つめていきたい」とのお言葉に、胸がいっぱいになりました。

温かいコメントをありがとうございました。

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