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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※清水先生の作品とは、関係ございません。




何故?
何故なんだ?

・・・・・・。
ああ、そうか。

お前は――――――





オリジナルストーリー

「敗北」






インターフォンを鳴らす。
相手が見ているであろうモニターに、自分の顔が映るよう、顔を上げる。

『・・・何しに、来た』
相手は、そう言った。

「会って、話したい」
『話す? 何を・・・?』

「今までのことを、謝罪したいんだ」

『・・・・・・』
相手は、しばらく沈黙し・・・

カチ。
ドアが開いた。
顔が覗く。
「入れ」

「薪」
「・・澤村」
互いに、相手の名をつぶやき。

澤村は、薪に促され、中に足を踏み入れた。




そう。
お前は、そういう男だった。
あの時も。

謝罪したいという僕の言葉をそのまま受け入れ。
ドアを開けた。




テーブルを挟んで、ソファーに座る。
「・・・・・・」
「・・・・・・」

しばらくの、沈黙。
キッチンから聞こえる物音は、薪の妻である琴海が立てているものだろう。

「子供は?」
澤村の言葉に、薪は、目を上げる
「ああ。もうベッドで眠っている」

「そうか・・・」
言いながら、澤村は部屋を見渡し、部屋の角の棚の上にある写真立てに目を留めた。

「・・・!」
澤村の表情を見て、薪もそちらに目をやった。
「ああ。息子の写真だ。剛だ。・・・可愛いだろう?」

薪は、無言で立ち上がる。
そして、棚に歩み寄り、その写真を手に取った。

「・・・・・・」
澤村は、じっと、手にした写真を見つめ、立ち尽くした。

琴海に子供が生まれたと聞いた時、薪は、自分の子ではないかと思った。
だが、薪も琴海も何も言わず、そのまま子供を育てていた。
しかも、薪が大変な子煩悩であるという噂を聞き、実は自分の子ではなかったのだと。
薪の子供であったのだと、澤村は、そう思うようになっていた。

あの日以来、今日まで。
一度も薪の家を訪ねたことは無かった。
だから、知らなかったのだ。

子供が。
薪剛という息子が。

自分と・・・生き写しであるということに・・・!

間違いない。
この子供は、正真正銘、あの時に出来た子供だ。
ならば。
ならば、何故・・・!?

「利発な子だ。そして、とても優しい・・・僕達の、自慢の息子だ」
背後に薪の声を聞き、澤村は振り返る。

そこにあったのは・・・

穏やかな笑顔。
混じり気のない、父親の顔が・・・そこにあった。

「“僕達”・・・お前達、の・・?」
「そうだ」
そう言って、薪も立ち上がる。

薪は、澤村に近付き、その手から写真を受け取った。
写真を見つめながら、薪は言う。

「僕と琴海の、大切な息子だ」

「・・・・・・」
澤村が、何も言えないでいるうちに、薪は、写真立てを元の場所に置いた。
そして、言った。

「澤村」
澤村は、蒼ざめていた。
そんな澤村の顔を、薪は、真っ直ぐに見つめている。

「僕は・・・お前を、赦そうと思う」

「・・・赦す?」
その言葉を、まるで生まれて初めて聞いたかのように、澤村は呆然と繰り返した。

「お前が・・琴海を傷付けたことは赦せない。永遠に。そう思っていた。琴海は、お腹の子供と共に死のうとさえしたんだ。それ程に彼女を傷付けたお前を、僕は、ずっと赦せなかった。だが・・・」
薪は、傍らの写真に目をやる。

「僕は、剛という素晴らしい息子を持つことが出来た。何にも替え難い宝だ。この8年間、剛と琴海と共に、素晴らしい日々を過ごした。そして、これからも・・・。だから」

目を見開いている澤村に、薪は言った。
静かに。

「全てを、水に流したい。お前を赦す。あんな事は、初めから無かったんだ。何故なら・・・剛は、あの子は、琴海と・・・僕の息子なのだから」

「薪・・・」
澤村がつぶやいたその時、二人が気配に気付いて振り返ると、そこに、琴海が立っていた。

「それでいいのか? それで・・・本当に?」
澤村が、薪から琴海にと視線を走らせると、琴海も、無言でうなずいた。

薪は、琴海の肩にそっと手を置き、琴海が薪を見上げる。
二人とも、微笑んでいた。

澤村は、信じられなかった。
赦す・・?
あんな事があったのに・・・無かったことにだと?

薪を、琴海を、そして写真に写る剛を見つめ、立ち尽くす澤村に、薪が声を掛ける。
「澤村・・こっちに座って、コーヒーを飲めよ」
琴海が、手にした盆に乗ったカップを、一つずつ、テーブルに置く。

薪はソファーに座り直し、もう一度言った。
「澤村?」

その時。
澤村の胸の中に、何かが渦巻いた。




迷っていた。
その瞬間まで。

薪の新都市計画を阻止するという計画を。

あんな事があったにも関わらず。
薪は、僕の言葉を信じ、ドアを開け、招き入れた。
そして・・・

何かが。

あの時、何かが爆発したのだ。
自分の中で。

子供の写真を。
薪の、琴海の笑顔を見た時に。

そして、薪の言葉に・・・!

何故だ?
何故なんだ?

僕は、お前の恋人を強引に組み敷いた男だ。
そして、生まれた子供は、その憎い男の血を受け継いだ子供なのだ。
なのに。

僕達の息子だと?
宝だと?

何故言える?

お前は、いつだってそうだった。
どんなに裏切られても。
傷付いても。

僕は、ずっと人を憎みながら生きてきたのに。
父を殺した奴らを憎み。
父をそんな目に合わせた、世の中を憎み。

僕の実力を認めない人間を憎み。
常に僕の前を歩く、お前を憎み。
そして、僕自身のこの顔を・・・!

なのにお前は。
裏切っても。
傷付けても。

それでも、この僕を・・・

お前はいつだって。
僕が持っていない物、その全てを――――――




・・・そして奪った。
私は、薪の全てを消し去り。
剛は、私の物になった。

今度こそ。

薪、お前はもう、何も持っていない。
お前が大切にしていた息子は、私の手の中にある。

なのに、どうして。
誰より美しく、誰より賢い私の息子が。
また、別の人間に、その道を阻止されるのか。

更に息子は。
その邪魔な人間に引き寄せられ、私の手から離れようとする。

私の物なのに。
剛は、私の息子なのに・・・!

奴を消し去れば、全てがまた、元に戻ると思った。
だが、もう戻れない。

剛は、知ってしまった。
もう・・・私の手の中には戻らないだろう。




「・・・澤村さん! 澤村さん!」

澤村の耳に、声が届いた。
それは、よく聞き覚えた、大切な・・・

「澤村さん! 今救急車が来ます! だから、しっかり・・!」
「つよ・・・し・・」
「澤村さん・・!」

「つよ・・っ」
ゲボッという呻きと共に、澤村の口から、血が溢れた。

「澤村さん!」
警察の人間が、周囲を取り囲む。
そして、首を横に振る。

「澤村さん。あなたは・・・お父さんなんでしょう!?」
朦朧とする澤村の瞳の向こうに、涙を浮かべた顔が見えた。

「あなたは・・本当は、僕の・・!」

何故?
何故なんだ?

私が、あの家に火を放ち、幸せの全てを奪ったのだと。
自分はずっと、裏切られていたのだと。
そう知った筈なのに。

その裏切り者を前にして。
何故、目の前にいるお前は、涙を流す?

・・・・・・。
ああ、そうか。

お前は、お前は・・・・・・

「つよ・・し・・・。違う・・」
「え? 今なんて!?」
必死に、顔を近付け、耳をそばだてているお前。

お前は・・・

「わたしは・・父親なんかじゃない。おまえは・・・薪俊の、息子だ・・・・・・」

言い終えたその瞬間、大量の血が、口から溢れた。

「さわ・・・!」

抱き付こうとする彼を、警官達が背後から取り押さえる。
「離れなさい!」
「彼は、もう・・!」

「澤村さん! さわ・・・!!」

手も顔も、澤村の血にまみれ、泣き叫ぶ彼を。
警官達の手から引き受け、抱き締める腕があった。

目の前に横たわる、澤村の身体。
「報告致します。被疑者死亡。死因は・・」
「君達は向こうで事情聴取を!」

パトカーのサイレン。
無線の音。
警官達の声。

その中を。

彼は、自分を抱き寄せる腕にすがり。
その頬に、とめどなく、涙を伝わらせていた。





敗北 終






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇3/8に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。
お返事が遅くなりまして、すみませんでした。

そうですよね。
その後、交流が途絶えていたそうですから、行かなければ確信は持てなかったと思います。

そうですね…色々と考えてしまいますね。
8年間という短い期間とは言え、薪さんがあの両親に育てられて本当に良かったと思います。

薪さんは、澤村に対して複雑な思いがあったと思います。
この部分をレビューなり、また創作風なりの形にしたいと思っているのですが。

こんなラストシーンだったらとのお言葉が嬉しかったです。
まだまだどうなるか分かりませんが…

ありがとうございました。

■ 鍵拍手コメ下さったYさま

〇3/8に鍵拍手コメント下さったYさま

ご無沙汰しております。
そんな中、ご訪問&コメントありがとうございます!
お返事が遅くなりまして、すみませんでした。

きゃーーー
ありがとうございますっ!
このようなお言葉をいただいて、私の方こそ泣いてしまいます…(;;)

思い知らされる…
そうなんでしょうね…

澤村の行動が、次号でくつがえされることなく、本当にこれまでに描かれたとおりだったとしたら、決して許すことは出来ませんし、同情することも出来ません。
でも…それでも、薪さんと血の繋がった人間であるとしたら、薪さんに真の愛情を抱く瞬間が生まれて欲しいと願ってしまいます。

最近の動向をご存知なようで、もしかしてツイッターをご覧下さっているのでしょうか。
はい、お陰さまで元気に過ごしております。
どうもありがとうございました(^^)

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