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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※これは、前作「敗北」の続きという設定になっております。ですが、こちらを単体でお読みいただいても話は通じると思います。
※清水先生の作品とは、関係ございません。

オリジナルストーリー

「起源」





「君達は、もう帰っていい」
「だが、すぐ連絡が取れるところに居るように。・・・君は、澤村と二人暮らしだったんだね。親戚の家にでも身を寄せた方がいいんじゃないか? どこか・・」

「ありません」
警官達の言葉に対して、薪は言った。

「これまで、薪家の親戚とは、全く交流がありませんでした。だから、澤村さんが僕の後見人になっていたんです。彼が亡くなった今、僕が身を寄せるような場所は、ありません」

鈴木が、自分の家に来たらどうかと言ったが、薪は頑なに、自分の家に帰ると言った。
鈴木は薪を送り、そのまま、その夜は薪の家で過ごすことにした。

鈴木は、腹が減っていることに気付き、何か買いに出ようかとも思ったが。
薪の様子に、とても一人にしておけないと思い、家のキッチンを漁り、食べられる物を探した。
慣れない他人の家ではあったが、整頓されたキッチンは使い易く、鈴木は湯を沸かし、温かい飲み物と共に、見つけた食べ物を薪の部屋へと運んだ。

ドアを開けると、部屋は薄暗く、鈴木は、運んだものをひとまずテーブルに置くと、電気のスイッチを探した。
その最中、声が聞こえた。

「何故、ここに居る?」

声のした方を見てみれば、外から入る薄明りの中、薪は、窓の方角に顔を向け、ベッドに腰を掛けていた。
「何故っ・・・て・・・」
鈴木が口を開くと、薪は、重ねて言う。
「何故、お前はここに居る? 僕のせいで、お前はあと一歩で死ぬところだったんだ。つい半月前までは知り合いですらなかったのに・・」

薪は、静かに話し続ける。
部屋は薄暗く、鈴木の目からは、その表情はあまり変わらないように見える。

「澤村が、両親の死に関わっているであろうことは、薄々勘付いていた。それでも僕は、その犯罪者の傍に居続けたんだ。・・何故だか、分かるか?」
「・・・・・・」
鈴木の沈黙に、薪は、先を続ける。

「最初は、子供の身で他に頼る者も無く、この状況に身をゆだねるしかなかった。・・だが、いつしか、それ以上に僕は、澤村の傍に居ることで、両親の死の真相を知ることが出来るかもしれないと、その機会を伺うようになっていた。澤村自身、介護が必要な身で、僕の手助けが必要だったということも、僕にとって、傍に居る口実になった」

くくっ・・・と、微かに笑い声が聞こえたような気がして、鈴木は、身体を屈めて薪の顔を見る。
「皮肉なものだろう? 僕を育てた両親・・父と信じていた人は、僕の生物学上の父親に殺された。そして僕は、そんな愛してくれた父を殺した人間と、ずっと、共に暮らして・・・」

「薪・・」
「しかも、その殺人者の実の息子なんだ。僕は・・・!」
「薪!」
鈴木は、薪の前に座り、その顔を覗き込む。

「薪、お前、もしかして・・・」
一度、言葉を途切らせ、それから、薪の瞳を見つめ、鈴木は言った。

「もしかしたら、お前が俊さんと琴海さんの死の真相を追っていたのは、本当は、澤村が犯人ではないという、その証拠が欲しかったからなのか・・・?」
「何を・・?」
薪は、顔を上げ、目を見開く。

「何を言っている?」
「10年もの間、本当に、彼を犯人だと思い、その確証を得る為に彼と共に過ごしていたのか? そうなのか? 本当は、勘付いていたからこそ。それを否定する物を求めて・・・ずっと・・・あんなに夢中になって、真実を追い駆けていたんじゃないのか?」
「・・・・・・」
薪は、無言で鈴木を見つめ、しばらくして、口を開いた。

「・・僕が父と認めるのは、薪俊一人だ。澤村は、人間の屑だ」
「そんな・・」
「だが・・その屑の実の息子なんだ、僕は。僕は、あんな善良な人達を殺害した男の、息子なんだ・・!」
「薪・・!」

「僕は、母の体内に宿った時から、母と、母の愛する人間を傷付ける存在だったんだ・・!」
薪の声は、震えていた。

「そう・・何もかも。僕のせいなんだ! 僕が居なければ、父も母も、澤村に殺されることはなかったんだ。僕が生まれてさえいなければ・・・! 僕のせいで・・僕が・・・・っ!!」
薪は、頭を抱えている。

「お前だって・・死ぬところだった。僕のせいで! 僕が・・・この家に引き込んだせいで・・・僕は、疫病神だ・・・!」

「薪!・・聞くんだ、薪!」
鈴木は、薪の両肩に手を乗せ、薪の顔を見つめた。

「確かに、お前があの時オレを訪ねてこなければ、オレは、今ここに居なかっただろう。お前を、京大出で首席入学の有名人だと、遠くから見ているだけだったかもしれない」
「・・っ!」
鈴木の言葉に、薪は、悲痛な顔をする。

その顔を見つめたまま、鈴木は続ける。
「だが、たとえきっかけはお前が作ったとしても、その後、お前に近付き、お前のことを調べ、プレミアムに入会することを決めたのは、オレの意思だ。今回の事件に巻き込まれたのも、オレ自身の責任だ。決して、お前のせいじゃない」

「・・・・・・」
鈴木の言葉に、薪は、目を上げる。
薪と、鈴木の目が合う。

「俊さんと琴海さんだって、そうだ。お前が生まれていなくたって、澤村は、新都市計画の妨害行為に出ただろう。お前のせいで死ぬ運命が決まったわけじゃない!」
力強い、鈴木の言葉。
薪の瞳から・・・涙が溢れている。

「・・・たとえそうだとしても。あの二人には、違う道もあった筈だ。澤村の仕打ちで、僕は生まれた。そんな僕が居なければ、二人には、正真正銘二人のDNAを受け継いだ子供が生まれ、幸せを築いたかもしれないんだ。お前を事件に引き込んだ・・澤村を犯罪に駆り立てた・・あの父と母を死に至らしめた・・・」

「僕は・・・生まれてこなければ良かったんだ・・・!」

「・・違う!!」
鈴木は首を横に振り、思わず、薪の肩を抱き寄せる。

「違う! 澤村の・・彼のしたことと、お前の存在は関係ない。俊さんと琴海さんだって、そう、きっとそう思って・・」
「何故そんなことが言える!? 僕の両親のことなど、お前は、何も知らない癖に・・!」

「何故なら!」
鈴木は、思わず声を上げ・・そして、息を付き、言った。

「何故なら・・お前が今、こうして、ここに居るからだ・・・」
「何を・・」
言いかける薪に、鈴木は続ける。

「薪。お前の言うとおり、オレは、お前の両親のことは知らない。だが、お前の存在こそが、俊さんと琴海さんの気持ちそのものなんだ。二人は、確かに傷付いたかもしれない。だが、お前を生み、育てることを選んだ。そして今・・お前はここに居る。それこそが、何より、二人の想いを表しているとは思わないか?」
「僕の・・存在が・・?」
薪は、呆然と、つぶやく。

「そうだ。生むことを選択し、8年間、共に過ごした。・・それは、まやかしだったのか? 違うだろう?」
「・・・・・・」

「俊さんと琴海さんは、お前がこの世に生まれ、お前に出会って、幸せだったんだ」
薪は、沈黙したまま。
そんな薪に、鈴木は、言った。

「オレだって・・・お前に出会えて、良かったと思ってる・・」
「・・僕に?」
「そうだ」
「同情からそんな嘘を付く必要は無い。僕は、勝手に乗り込んで他人の時間をぶち壊す、最低限の礼儀もマナーも知らない人間だぞ」

鈴木は、薪を抱き寄せたまま、その顔を見ずに、話し続ける。
「そうだ。お前は、いきなり乗り込んできて人を驚かせ、礼儀知らずで、突拍子も無くて・・・」
そして、今、こうして葛藤し、涙を流している、そんなお前に・・・

「会えて良かった。薪」

薪は何も言わず、ただ、涙を流していた。
鈴木は、言う。
「・・薪。お前は、澤村の血を受け継ぎ、そして俊さんの、息子だ。お前にとって、こんなに辛いことは無いだろう。だが・・・それがお前なんだ。それを認めて、受け入れて、生きていくしかないんだ・・・」

薪の脳裏に、遠い日の記憶が、よみがえる。

『お前に付けた、剛という名。これは、物事に屈しない強さを表すんだ。この先、お前が、もし・・・』
『・・お父さん?』
父が、物思いにふけったようで、薪は首をかしげ、呼び掛けた。

『・・いや。そう、もしお前が、辛い出来事や困難にぶつかっても、強く生きて行けるようにと、願いを込めた。お前は強い子になる。何があっても、お前は、生きて行ける』

お父さん。
お父さん・・・・・・・・・

無言のまま涙を流す薪を、鈴木も何も言わず、ただ、腕に抱いていた。
その時、薪が何を考えていたのか、鈴木には分からなかった。

ただ、後に鈴木は振り返って、この日を思い返すことになる。

この出来事が。
薪と自分、二人の歩みの「始まり」だったのだと。





起源 終






コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇3/12に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。
お返事がすっかり遅くなってしまって、申し訳ありませんでしたm(_ _)m

8歳の薪さんにとって単純に支えだった…そうかもしれませんね(;;)
コミック3巻での、犯人のところに行くしかなかった佳人少年を思い出します…。

薪さんはどこまで知っていたのか。
そもそも、今回示された鈴木さんの推理は全て正しいのか。
まだ不確かな点も多いですが。

薪さんのトラウマは、本当に辛いです。
そのうち後書き記事を設けて、もう少し詳しくこのことについて書けたらと思っております。

ありがとうございました。

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