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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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Scene2:職務




薪は、上司を前に、立っていた。

ここは警視庁の庁舎内。
目の前のデスクに座っているのは、警視総監だ。

「・・・つまり、今抱えている事件を後回しにしても、早急にこの事件を捜査するようにとのご指示ですか?」
口調は丁寧だが、その声色には、やや険が有った。

「そうは言っていない。進行中の捜査の合間に、手の空いた者にやらせればいい。これは、単なる交通事故だ。被疑者の供述や物的証拠、目撃証言も一致している」
「お言葉ですが、第九の捜査員達は、今、全力で連続殺人の捜査に当たっています。片手間に他の捜査が出来る程、無責任な態度で職務に臨んでいるわけではありません。それに、単なる交通事故とおっしゃるなら、尚更、MRIにかける必要性は感じられませんが?」

部下の仕事ぶりに対する総監の発言が気に障ったのか、薪の声音は、益々鋭い物となった。

「もちろん、君の部下が、真摯に職務に励んでいる事は知っている。それだけの成果も挙げていることだしな。だからこそ、この件は、第九に回すのが適切だと判断したのだよ」
薪の態度にも慣れている様子で、相手は、全く動じずに話し続ける。

「被害者の木更津悠太は、現職の、とある大臣の親族だ」
「・・・・・・」
薪は、一度目を上げただけで、何も言わなかった。

「死因はハッキリしている。だが、そこに至るまでに、いくつか不審な点がある。それを、君のもとで解明してもらいたい」




「はあ?」
第九の室長室で、鈴木は、声を上げた。

連続殺人の捜査中、新たな発見が有ったので、警視庁から薪が戻って室内に入ると同時に、鈴木は報告に訪れたところだった。
そこで、上着を脱いでハンガーに掛け、デスク脇に座った薪から、鈴木は、事の次第を告げられたのだった。

「これが、その資料だ」
薪から文書を手渡され、鈴木は、立ったままそれに見入る。

「木更津悠太。19歳。都内の私立大学に通う学生・・・」
「路地裏から飛び出したところを、車にはねられたんだ」
「頭部骨折に内蔵破裂か・・・ほぼ即死だな」

「車を運転していたのは、52歳の会社員だ。飲酒はしていない。スピードも、法定速度を超えてはいたが、超過速度は10キロ程だと推定される。周囲が明るければ、事故は起きなかったかもしれない。だが、街灯の間の死角で、飛び出してきた人影に気付くのが遅れ、ブレーキを掛けた時は、もう遅かった・・・」

薪が、僅かに目を伏せる。
それは、ほんの一瞬の事。
他の人間なら、気付かなかったかもしれない。
だが鈴木には、薪が、その一瞬の間に、被害者や加害者に思いを馳せているのだと見て取れた。

「問題は、その前だ」
次の瞬間には、もう薪は目を見開き、事件に挑む顔になっている。

「事故が起こったのは、午前1時過ぎ。何故、彼は深夜にその場所に居たのか」
「・・・学生だからな。飲みに行ったとか、友達んとこに行った帰りとか、コンビニに買い物に行くってこともあるだろ」
「彼が一人暮らしをしているアパート周辺には、コンビニやスーパーが有る。こんな距離の有るところまで行く必要性が無い。携帯電話の記録を見ても、友人と連絡を取り合ったような痕跡は無い」

「ふうん」
鈴木は、肩をすくめながら、手にしていた文書を、デスクに置いた。

「それに、何故、彼は突然飛び出したのか。検死の結果では、彼は、右手首を強く掴まれた上に、腕を捻られた痕跡が有るそうだ」
「え? それじゃあ・・・」
「交通事故によるものではなく、それ以前に人為的に付けられた傷である可能性が高い。そして、近くの防犯カメラには、この辺りでたむろしている少年達の映像が残されていた」

「つまりは、木更津悠太は、深夜の路地を歩いていて、不良少年達に絡まれ、慌てて逃げた挙句、事故に繋がったと・・・」
「状況証拠でしか無い。この時間帯では、目撃証言を得る事も難しい。彼らが直接手を出して死亡させたわけではないとしても、これらの捜査状況を知り得た被害者の両親が、真実を知りたいと要求してきたんだ。・・・親族のつてを辿って」

「成る程。お偉いさん同士の事情で、引き受けざるを得なかったわけか。そして、こういう場合、一般の捜査より、第九でMRIに掛けた方が、手っ取り早い」

鈴木の言葉に、薪が、ふう・・と、小さく、ため息を付いた。
本来なら、第九で手掛けるような類の事件ではない。
しかも、それでなくても、今は、連続殺人の捜査を抱えていて、皆、手一杯なのだ。

「・・・オレが見てやるよ」
鈴木は、言った。

薪は、目を見開いて鈴木を見上げる。
そして、すぐさま、言った。
「いや。僕が見る。お前は、進行中の捜査を続けてくれ」

「室長殿には、皆を指揮し、捜査をまとめ、事件を解決に導く役割が有るだろ。幸い、オレが担当した分は全部見終えて区切りが付いたから、他の奴らのサポートに回ろうとしてたところだ。木更津悠太の件は、どうせすぐに解決するだろうから、さっさと終わりにして、すぐに戻るさ」

「・・・・・・」
束の間、薪は鈴木を見ていたが。
「では。お前にこの案件を任せる」
薪は、デスクに置かれた木更津悠太に関する文書を、改めて鈴木に差し出した。

鈴木はそれを受け取り、それから、やや顔を薪に寄せるように腰を屈めて、言う。
「・・・お前がこれを引き受けてきたのは、警視総監直々の指示だから、それだけじゃないだろ?」
「うん?」
どういう事かというように、薪は、鈴木を見上げたまま、瞬きをする。

「厄介な事件を抱えている今、それでもお前がこれを引き受けてきたのは・・・被害者の無念が、真実を知りたいと言う親の想いが分かるから。お前だって、解明してやりたいと思ったんだろ? ・・真実を」
「・・・・・・」
すぐ傍に、鈴木の微笑む顔があり、薪は大きな瞳で、鈴木のその顔をしばし無言で見つめた。
それから、薪の瞳が、睨むような視線に変わる。

「・・事件に優劣は無い。一度第九で捜査を引き受けたからには、恐喝事件や交通事故も、連続殺人も、同等の姿勢で捜査に取り組み、早急に解決に導かねばならない。やるからには気を抜くな!」
薪は、鈴木の問いには答えず、代わりに、鈴木に激を飛ばした。

「はい!」
鈴木は姿勢を正し、室長の激に応えた。

そう、事件に優劣は無い。
『すぐに解決するだろうから』その自分の言葉を、後に鈴木は、甘かったと思い直すことになる。






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇9/6に鍵拍手コメ下さったAさま

コメントありがとうございます。

嬉しいとのお言葉、私も嬉しいです☆
でも、「ジェネシス」の鈴木さんより、これまでに私が書いてきたSSの鈴木さんの方に近いかもしれません(^^;)

本当は、8月中に書き上げたかったんですけどね…
ここまで延びてしまいました。
頑張ります。

■ 鍵拍手コメ下さったRさま

〇9/7に鍵拍手コメント下さったRさま

コメントありがとうございます。
お読みいただき、嬉しいです(^^)

その記事、私も拝見しました。
一番乗りで拍手コメントも残して参りました(^^;)

青薪SSについては、私はエピローグのあのラストが最高の結末だったと思っているので、その後の様子は、「おやすみ」という短編を一作書きましたが、それ以外に、もう書くことは無いかなあと思います。
書くとしたら、原作のエピローグのその後と言うより、パラレル的な物になると思います(^^)

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