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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※少年達による後味の悪い犯罪行為が出て参ります。閲覧にご注意下さいませ。

Scene5:悪行





二人は、一つの端末の画面を前に、座っていた。

薪は、画面のすぐ前の椅子に座り、両手を組んでいる。
鈴木は、その背後に重なるように椅子を引いて座り、長い腕を伸ばしてシステムを操作していた。

二人で手分けして脳データを追うと、それらしき画は、すぐに見つかった。
見つけた鈴木は薪を呼び、そして今、問題の画像を、二人で見ている。

日暮れの道を、桐生逸人が歩いている。
それを取り囲む、四人の少年。
全員、同じ制服姿だ。

彼らは逸人を、人けの無い公園の奥へと引きずり込む。
逸人の事を、まるでボールをパスし合うかのように互いに突き飛ばし、最後には地面に押し倒す。
逸人は抵抗を見せるが、体格の面でも人数からも、敵う筈が無かった。

『押さえてろ』
一人が言い、残りの者が、逸人の手足を掴む。
命令した少年は、逸人の上に、馬乗りになり・・・

殴られる。
逸人はそう思ったのか、顔を引きつらせ、横を向く。
だが。

上に乗った少年は、逸人の服を脱がせ始めた。
逸人が叫ぶ。
手を押さえていた一人が、その口を塞ぐ。

少年は、逸人の上着とシャツをはだけさせ、上半身を露わにする。
更に、逸人のベルトに手を掛け、下半身も露出させていく・・・

「!!・・・」
画面を見つめる薪の顔が、ゆがんだ。

四人の少年が、桐生逸人一人に、暴虐を振るっている。
身体的暴力ではなく、このような卑劣な行為に及んだのは、逸人の繊細な容姿が、思春期の少年達の劣情を煽ったからかもしれなかった。

四人のうち、一人の少年は、多機能携帯電話を取り出し、むき出しにされた逸人を撮影し始めた。
加害者の少年達は皆、笑っている。
興奮と、遊び半分の気持ちとが混ざり合い、行為がエスカレートしていく。

やがて・・・

先程撮影をしていた少年の手元が、視覚者の視界に入る。
撮影された逸人の姿は、動画投稿サイトに映し出されていた。

彼らは笑い合い、半裸の逸人をそこに残し、公園を出て行った。

「・・・・・・」
鈴木は画像を停止した。
薪も鈴木も、声も出ずに、一部始終を眺めていた。

「何てことだ・・・」
鈴木がつぶやく。
薪は、組んでいた手を、その額に当てていた。

「これはもう、犯罪じゃないか。・・・彼や、その家族は、警察には届け出なかったのか?」
鈴木の言葉に、薪が答える。
「少なくとも、桐生逸人に関する、警察での記録は無い」
鈴木は、薪を振り返る。
薪は既に、桐生逸人について、警察機関の記録は調査済みだったのだ。

「何故・・・彼らはこんな事をしたんだ? そして、桐生逸人が休学をしたのは、本当に持病の療養の為だったのか? 本当は、これが原因なのか?」
「木更津悠太が、彼の幻覚を見たのは、かつての犯行現場を思わせる公園に呼び出され、その犯行について言及されたからだ。だが・・・」

「一体、誰がやった? 桐生逸人は、亡くなってるんだろう? この件を知る人間・・・彼の遺族か?」
「あるいは、木更津悠太と共に犯行に及んだ、三人の少年のうちの誰かということも考えられる」

「なる程。悠太を呼び出したのは、復讐の為とも考えられるが、この一件を知る誰かが、悠太を脅した可能性も有るな」
「・・・・・・」
「・・・どうした?」
ふと押し黙った薪に、鈴木は声を掛ける。

薪は、肘掛けについた腕の、その指先をこめかみに当て、考え込んでいる。
何か・・・そう、何かを、見落としている気がする。

「いずれにせよ。10月のこの事件が関係するとなると、犯人は、他の三人にも接触するかもしれない」
「いや。もしかしたら、既に・・・」
薪が言い掛けた時、第九の執務室の入り口付近で、人の声がした。
薪も鈴木も、そちらを振り返る。

「お疲れ様です」
「やっぱ、まだ居たんすね」
「室長も、ご一緒ですか」
口々に言いながら、彼らは、中に入る。

「どうした? お前達、打ち上げは?」
鈴木が腰を浮かせて言うと、彼らは答える。

「とっくに終わりましたよ」
「何だか、飲む気がしなくてですね」
「食べるもんは食べてきましたけど。もったいないんで」
一人が、腹をさすりながら言った。

「それ。先日鈴木さんが見てた脳データですか?」
停止したままの画面を見て、一人が言う。

「あ、ああ。だがこれは、公式な捜査じゃないんだ。オレが時間外に勝手にやってる物だ。気にするな」
鈴木が、片手を挙げて言う。

「鈴木さんが勝手にやっていいなら、オレ達も、時間外なら、やっていいっすよね」
「本来なら、今日は捜査終了。帰宅時間ですからね」
「ちなみに、オレ達二人は飲酒はしてませんから。こいつだけ、少しクダ巻いてましたけど」
「クダって何すか。オレだって一口ですよ。それに、もう冷めました」

「で? 何をやります?」
当然のように、それぞれに端末の前に座り、見上げる部下を、薪も鈴木も、黙って見つめた。
そして顔を見合わせ、薪がうなずき、鈴木が肩をすくめ、話し始めた。

木更津悠太が遭遇した事故について。
昨年の犯行の事。
事故前に彼と接触した人物は、幻覚によって桐生逸人と重なり、本人の顔は見えていない事、それらを手短かに説明した。

「つまり、その顔無しの人物を特定するわけですね?」
部下の質問に、薪はうなずく。

「豊村、お前は、悠太と共に昨年10月の犯行に加わった少年達について調べろ。名は・・・」
薪は、先程見た卒業アルバムの個人写真の頁と、木更津悠太の画に映っていた三人の顔を、脳内で照合し、名を読み上げた。
「え! えーっと・・・」
豊村は、慌ててメモを取り始める。

「上野は、桐生逸人の遺族について。木更津悠太が事故に合ったその時刻に、どこに居たかも合わせてだ」
「はい!」

「そしてお前は、鈴木と共に、木更津悠太の脳データを解析しろ」
「はい!」

「・・・お前はどうするんだ?」
既に動き出した部下達の中で、鈴木が薪に声を掛ける。
「僕は、調べたい事が有る」
薪は、何かが気になっていた。
だが、その何かが何なのか、まだ分からない。

「そうだ」
去り際、薪は足を止め、鈴木を振り返る。
「もう一人。調べて欲しい人物が居る」
「うん?」

顔を上げた鈴木に向かい、薪は言った。
「立川蓮。彼らと同じ学年に居た少年だ」

何故、その名が出てきたのか。
薪は説明もせずに、その場を後にした。




男の子が二人。
机を挟んで、前と後ろで、話をしている。

『お前さ、将来の夢、何て書いた?』
『オレはサッカー選手。逸人は?』
『僕は医者。整形外科医』

『へえ・・・意外だな。医者は分かるけど、ここは普通、自分と同じ病気の子を治したいとか、そうなるもんかと思ってた』
『うん。それもいいんだけど。でも、蓮は、ずっとサッカー続けるんだろ? だったら、怪我した時は、僕が治してやるよ』
『逸人・・・』

『僕は、たとえ病気が治ったとしても、スポーツ選手になるのは無理だ。でも、蓮なら出来る。蓮は、スポーツ万能だもんな。僕が出来ない事でも、蓮なら出来る。蓮なら、僕が出来ない事を、叶えてくれるんだよ・・・』

青年は、横になり天井を見上げ、その時の事を、思い起こしていた。
あの時は、ああ言っていたのに。

どうして・・・こんな事になってしまったんだろう・・・。

天井に浮かぶ、かつての二人の少年の姿は。
目を閉じても、消える事は、無かった。






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇9/10に鍵拍手コメント下さったAさま

コメントありがとうございます。

薪さんこそ、そうですね…(><;)
護身術は必須ですよね。

ホッとしたとのこと、お言葉ありがとうございます。
ジェネシスのラストで、後輩が鈴木さんにあんな事を言っていた様子からすると、薪さん自身はともかく、部下達は案外本音で接してたんじゃないかなと思ったりします(^^)

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