カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
Scene6:確証




やめろ、やめろ、やめろ──────

「っ!!」
飛び起きた。

鼓動が激しく波打つ。
周囲を見渡すと、眠る前に見ていた物と同じ天井が目に入る。

「ふっ・・・」
安堵して、息を付く。
そして、頭を抱えた。

何度、この悪夢を繰り返し見たことだろう。
あの時の事は、決して、忘れられない。

何故、自分は。
防ぐ事が出来なかったのか。

服を剥ぎ、撮影し、笑っていたあいつらを。
決して・・・許さない。




当時、投稿された動画は。
投稿サイトの管理者によって、即座に削除された。
だが、その時は既に、多数の目に触れてしまっていた。

投稿した少年も、桐生逸人の顔までは晒していなかった。
逸人の顔を見せる事で、人物が特定され、自分達の犯行も露見する事を、懸念したのだろう。
しかし、首から下だけの映像だったにも関わらず、ブレザーの校章の刺繍から、学校名が特定されてしまった。

この事件は、学校側も知るところとなり、至急調査がなされ、関係者が集められた。
だが・・・

鈴木は、部下と共に、木更津悠太の脳を見ていた。

個室に集う、教師達、被害者と加害者、その親達。
『もし本当にうちの息子がやったとしても、友達同士、ふざけてズボンを脱がせるとか、この年頃には、よくやる事じゃないですか?』
『しかしですね・・・四人がかりで桐生君の服を脱がせ、それを撮影して投稿までしたんですよ。これが、悪ふざけで済ませられますか?』

『こんなこと言いたくはありませんが、桐生君にも、いじめられるような要素が有ったんじゃありませんか? 聞くところによると、桐生君は、病気で学校を休みがちにも関わらず、クラス委員長や文化祭実行委員等、いくつもの役職を務めているとか。内申にも関わりますから、こういった物は、子供達に平等に機会を与えるべきじゃありませんか?』

『いずれも、生徒達自身の推薦や投票によって決定したものです。桐生君は確かに欠席数は多いですが、成績が良く、人望もある生徒ですよ』
『先生は、桐生君の肩ばかりお持ちになるんですね』
『そうやって、先生が桐生君をひいきになさるから、他の子供達の嫉妬や反感を買うんじゃありませんか?』

「ひでえ・・・」
鈴木の傍らで、部下がつぶやいた。

二人とも、完璧に読唇が出来るわけではない。
だが、木更津悠太の目を通して、この場の雰囲気が、話がどんな流れになっているのかは、自ずと伝わってきた。

悠太は、なるべく逸人の方を見ないようにしている。
だが・・・時折、ちらりと逸人に視線を走らせると、逸人はただ、うつむいているだけだ。

「どんな思いで・・・この場に居るんだろうな」
鈴木が言う。
知らずに、こぶしが硬く握り締められていた。

当時、逸人が襲われた事件は、公に報道される事はなく、ネットの片隅で、ごく一部の記者が取り上げただけで、信憑性も無いネタとして、すぐに立ち消えてしまった。

薪は、投稿サイトの管理者、事件を取り上げた記者、更には、学校関係者へと辿り着いた。
現役の職員は、硬く口を閉ざしている。
連絡が取れたのは、退職した年配の男性職員だった。

「あんな事をして・・・よくある悪ふざけだと。信じられますか?」
犯行を率いたリーダー格の少年と、撮影をして投稿をした少年は、一週間の停学。
後の二人は、三日間の停学処分になった。

「それだけですよ! ・・・しかも、桐生君の方が、学校に居辛くなって・・・休学してしまった。彼は、被害者なのに。加害者の方は、何事も無く、卒業していった。・・・私はあの学園にも教師という職にも嫌気がさして、自ら退職を申し出ました」

被害者・加害者、双方の将来に考慮してという名目と。
保護者の強い要望。
そして、醜聞を晒したくない、学園側の都合。
それらの理由から、この事件は、内密に済ませようという結論が出た。

被害者・加害者、保護者も含め、双方共に、それで納得したというのが、学園側の見解だった。

「でも、本当に桐生君やそのご両親が納得していたとしたら、葬儀の参列を拒むなんて事は、しなかったでしょうね・・・」

「参列を? 桐生逸人君の葬儀ですか?」
薪は、そこで聞き返した。

「ええ。桐生君は、休学してから、病状が悪化したと聞いてます。手術も試みたが、失敗したと。私は、校長の代理で病院に見舞いに行きましたが、学園の関係者は見舞いもお断りだということで、桐生君本人には会えませんでした。葬儀も、誰も参列して欲しくないと桐生君が言ってたので、家族だけで済ませたという事で、学校に電話が有っただけで、お墓の場所すら教えてもらえませんでした」

「卒業アルバムにも、クラスの皆と並んで載るのは嫌だと・・・余程、学園の皆を恨んでたんでしょうね。それまでは、あんなに生き生きと学校に通っていたのに・・・」

教師との話を終え、薪は、考え込んでいた。
そして・・・

ずっと抱いていた違和感が何なのか、分かった気がした。




とある家で。
電話を手にしたまま、一人の青年が、震えていた。

「だって・・・お前・・・」
言い淀み、唾を呑み込むと、話を続ける。

「あいつは・・・死んだ筈だ。病気で・・・」
「本当に?」
電話の向こうで、相手は言った。

「お前は、葬式で、遺体を見たのか? そもそも、本当に葬式をやったかどうかも、確信が持てるのか?」
「だって・・・!」
「誰も見ていない。あの学園の誰も、桐生逸人の葬式になんて、行ってないんだよ。何故だか、分かるか?」
「っ・・・」

青年は、息を呑む。
その続きは、聞きたくなかった。
だが、電話を切ることも、出来なかった。

その耳に、相手の声が、届いた。

「桐生逸人は、こうして、生きているからさ」






関連記事

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/933-5b5808a1

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |