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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene7:正体




薪が第九の執務室に戻るのを待ちかねたように、部下が近付く。

「これなんですが」

木更津悠太と共に、犯行に加わった少年達。
その調査資料を手にし、薪は、目を見開く。

「深谷貴則、死亡・・・!?」

「木更津悠太の事故の二日前です」
「死因は・・・転落死」
薪は、資料に目を走らせる。

「時刻が深夜だった事も有り、事件性が有るかもしれないとの疑いも出ていますが、争った形跡も無い事から、事故か自殺かのいずれかの線で捜査されています。深谷貴則と木更津悠太、高校を卒業してからは交流を絶っていたそうで、周囲にも、二人の事件を結び付けて考える者は居なかったようです。山村稜介は、自宅から大学に通っています。田嶋元哉は、一人暮らしで、専門学校に」

「二人は・・・無事なのか?」
「え? それは・・・」
「たった今、この瞬間に、無事でいるのか!?」
薪の強い口調に、部下は状況を察する。
「あ・・・すぐに確認します!」

「上野!」
「はい!」
薪に呼ばれ、上野は直ちに報告を始める。

「桐生逸人は一人っ子でしたが、両親は、その後引っ越しをしています。木更津悠太の事故当日は、父親は関西に出張していたそうで、裏も取れています。母親は、その時刻には家に居て寝ていたと・・・誰も証言する人間は居ませんが」

「・・・昨年の事件の事や、亡くなった息子については、何か言っていたか?」
「木更津悠太の事故については、両親共、記事を読んで知っていました。だが、何故自分達がその日の事を尋ねられるのか分からないと。昨年の事件の事は、もう忘れたいのだから、放っておいて欲しいと・・・」

「・・・・・・」
薪は、こぶしをアゴに当て、考える表情を見せる。

息子があのような目に合い、学校を離れて亡くなり、そこから逃れるように、両親は引っ越しをして、別の場所で生活を始めた。
そして、もう忘れたいと言う。

両親の言動には、不自然なところは無い。
自分の思い付きこそ、間違っているのだろうか。

「薪」
呼ばれて、薪は振り返る。
傍らに立つ、長身の部下を見上げる。

「木更津悠太の脳だが、彼らは、停学処分になっただけで、後は、何の問題も無く卒業したようだ」
そう鈴木が言ううちにも、薪は、鈴木がプリントした別の資料に手を掛けていた。
「ああ。これだが・・・」
薪が受け取ったその資料を指し示し、鈴木は話す。

「立川蓮。桐生逸人とは、小学校から高校まで一緒だった」
「そして・・・桐生逸人の、一番の、もしかしたら、唯一の親友だった」
薪が続けた言葉に、鈴木は、一瞬、不思議そうな顔を見せる。

「・・・?」
「続けろ」
「あ、ああ」
薪が説明不足なのは、いつもの事だ。
鈴木は薪に促され、疑問は口にせず、話を進める。

「ずっとサッカーをやっていて、大学も、サッカーの名門に入っている。・・・だが、スポーツ枠じゃなく、一般枠だがな」
「・・・サッカーは止めたのか」
「そういう事なのかな。父親は、以前からよく短期の海外赴任をしていたらしいんだが、息子の蓮が高校を卒業したのを機に、母親も連れて海外に行ってる。蓮は、残った自宅で一人暮らしだ」

「・・・本当に?」
「え?」
鈴木が聞き返すと、薪は、じっとどこかを見つめた。

「立川蓮は、本当に、そこに一人で住んでるのか? 親の目が届かないその家で、誰かと一緒に暮らしているか・・・あるいは、もう、居ないか・・・。とにかく、彼の現在の動向をもう一度確認する必要が有る」
「どういうことだ?」

薪は、顔を上げる。
「僕達は皆、桐生逸人が、『三月に亡くなった』という前提で、捜査を進めている。だが、それが正しいのかどうかということだ」
「何だって・・・!?」

鈴木の言葉と共に、他の部下達も振り返る。

「桐生逸人の葬儀には、両親以外、誰も参列していない。誰もが『亡くなったという事実を知らされた』だけなんだ」
「それは・・・」

「役所に、死亡届が受理されているかどうか照会中だ。すぐに回答が来る」
「届けが出されていないって可能性も有るってことか・・・?」
「医師にも面接を要請している」
「医師の死亡診断書が無きゃ、届けは出せないからな・・・」

鈴木は、ぐるりと首を巡らせてから、言った。
「つまりは・・・桐生逸人が、手術が失敗して亡くなったというのは嘘で、実は生きていた。そして、昨年の事件の加害者である少年達を呼び出しては、復讐をしているということか?」
「まだ分からない。可能性としてあるというだけだ」

「でも・・・だったら、木更津悠太に、あの幻覚が見えたのも納得が行くな。本人を前にして、高校時代の犯行当時の姿が重なったんだ。呼び出しに応じたのも、亡くなった筈の桐生逸人が実は生きていたとなれば、確認しようという気も起きるだろうしな」
鈴木が言い、他の部下達も、顔を見合わせる。

「上野!」
「はい!」
突然呼ばれ、上野は思わず大声で応える。

「深谷貴則は、転落死だ。事件性が少しでも疑われる脳は、一週間は保存がされている筈だ。至急、脳データの入手の手配だ!」
「はい!」

そこに、内線電話が掛かった。
「はい。薪室長ならここに」
部下から電話を受け取り、薪は話す。

「その件でしたら・・・。はい、今からご説明に伺います」

連続殺人の捜査が終了し、第九メンバーは休暇の筈だった一日が、もう過ぎようとしている。
その間にやっていた事が、上の目に留まるのは、そろそろだと、薪も覚悟していた。






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