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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※清水先生の作品とは関係ございません。


オリジナルストーリー -記念日-





青木は、薪を見ていた。

ベッドの中。
横たわり、見つめる。
ベッドサイドの灯りに映し出される、美しい顔。

先程まで上気していた頬は、今は熱も冷め、磁器のような白さを取り戻している。
汗に湿った髪が額にかかり、更に毛先は細く尖った鼻を覆う。
その間に見え隠れするのは、綺麗な弧を描いた眉と、伏せられた目蓋を縁取る長い睫毛。

青木の唇を求め、切ない喘ぎ声を紡ぎ出していた唇は。
今は僅かに開かれ、規則的な呼吸を漏れさせるだけ。

その微かな息遣いが、20センチ程先から、自分の耳に達する、ただそれだけで。
胸が、締め付けられる・・・

薪が、居る。
眠っている。
呼吸をしている。

ただ、それだけで・・・

青木はふと、傍らの時計を見やり。
それから、薪に視線を戻す。

今、薪と話したいと思う気持ちと。
安らかに眠る薪を、このままそっとしておきたいという気持ちが。
交錯する。

布団から覗く、白い肩。
その肩に、青木は布団を持ち上げて掛け直す。
すると・・・薪が僅かに、目を開けた。

青木の視線の先で、薪は幾度か瞬きをする。
ピクピクと目蓋が動く度に、長い睫毛も一緒に揺れる。

青木はそっと・・・薪の顔に手を伸ばし、その目蓋に掛かる髪を払いのけた。
「ん・・・」
薪が、声を出す。
つい先程、青木が布団で覆ったばかりの薪の肩が動き、続いて白い手が現れて、その細い指が、薪の額に乗せられた青木の手首を捉えた。

「・・・起きてたのか」
言いながら、薪は目を開ける。
けれど、その大きな瞳で一度青木の視線を捉えると、再びゆっくりと目を閉じた。

目を閉じたまま、薪は掴んだ青木の手を自分の頬に滑らせ、更に唇に押し当てた。
「・・・・・・」
手の平に、薪の柔らかな唇を感じ、青木は目を細めた。

それから、青木は起き上がる。
青木の大きな手が、するりと薪の手から離れ、その気配に薪は目を開ける。
布団がめくり上がり、ベッドのシーツの上に、青木はきちんと座っていた。

ベッドの上。
サイドのライトの薄明りの中に浮かび上がる。
全裸で正座している、大男・・・

「・・・・・・」
今度は、しっかりと目を開け、その不思議な光景に見入る薪。
薪も起き上がり、あぐらをかいて青木に向き合い、言った。
「どうした?」

青木は、数瞬の間、薪を見つめ。
それから、言った。

「薪さん。明けましておめでとうございます」

「・・・・・・」
薪が、目を見開き、更に口も開き掛けると。
「どうか、今年もよろしくお願いします!」
青木は言って頭を下げ、数秒そのままじっとして、やがて上げた。

その顔には、生き生きとした、笑顔が浮かんでいる。

「お・・・まえ?」
薪は目を瞬かせ、それから傍らの時計に目をやった。
時計の針は、今が新年を迎えたばかりの時刻である事を伝えていた。

薪が青木に視線を戻すと、青木は薪を見つめて言う。
「オレ・・・嬉しいんです。薪さんとこうして、年を越す事が出来て。年の初めに、最初に一緒に居られるのが薪さんで・・・」

そう、それは、薪と青木が恋人同士になって、初めて共に迎えた新年。
それは、青木にとって・・・

「今日は、オレにとって記念日です」
青木は言って、ニッコリと笑った。

「・・・・・・」
薪は口を半ば開けたまま、黙って青木の言葉を聞いていたが。
やがて、ふうとため息を付き。

「そんな物に、こだわらなくたっていいだろう」
そう言った。

「そんな物って・・・!」
青木の表情が、たちまち、しかめっ面に変わる。

「お前はいつもそうだな。いちいちそういう事にこだわる」
「!・・それはそうですよ! 薪さんと初めて会った日。初めて・・・こうなった日。クリスマス、新年・・・薪さんは、記念日なんて気にする必要は無いっていつも言いますけど。オレにとっては、どれもが、薪さんとの大切な記念日なんです!」

「・・・・・・」
「あ・・・」
今や腕を組み、じっと青木を見つめる薪の姿に、青木は、自分が思わず声を荒げていた事を知る。
じわりと頬が熱くなり、顔が赤くなってくるのが分かる。
自分はいつもこうだ・・・すぐに感情的になってしまって、子供っぽくて・・・薪が呆れるのも無理は無い。

記念日なんて物にこだわるのも、薪から見れば、子供っぽい言動に過ぎないのだろう・・・

年の終わりに愛し合い。
ベッドの中で共に年を越し。
そして・・・新年を迎えた。
それが嬉しくて。

新しい年に、最初に顔を見て、声を聞けた相手が、薪にとって自分であること、自分にとって薪であること。
そんな事に、胸が弾んで。

馬鹿みたいだな・・・

青木は顔を曇らせ、うなだれる。
薪は、何も言わない。
きっと、顔を上げたら、薪の呆れ顔を見る事になるだろうと、青木がそんな予想をしていると。

「本当に、お前は・・・」

声が聞こえた。
青木が顔を上げる。
と同時に。

ふわりと、肩が薪の両腕で覆われた。
「ま・・・」
言い掛ける青木の唇の端に、薪の唇が触れる。

立ち昇る薪の芳しさに。
青木は目をつぶりながら。

そうだ・・・新年だなんて、そんな事は、関係ないかもしれない。
そう思った。

薪と居れば。
毎日、毎日が、新しい日。

昨日と同じ日なんて無い。
何が起きるか分からない。
いつもいつもが、驚きと新鮮さに満ち溢れた、新しい日なのだ。

そう・・・自分にとっては、いつだって・・・・・・






薪は、青木を見ていた。

ベッドの中で。
仰向けに寝そべり、寝息を立てているその姿。
無防備な顔。

薪は、肩肘を付き。
指先で、汗で湿った青木の額に触れる・・・
それから指先を滑らせ、青木の頬を手の平で包む。

薪は、青木を見つめたまま。
唇を動かした。

消え入りそうな、小さな声でのつぶやきは。
微かにこう聞こえたろうか。

「お前が・・・お前さえ居れば、僕は、毎日が・・・」

その先は、誰にも聞こえない。
薪の胸に、仕舞われるだけ。

そして薪は、顔を青木に近付ける。
束の間、真上から青木を見つめ。

そっと・・・その唇に口付けた。





「記念日」終






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