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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


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こちらは、1月9日に当ブログにてUPしたお話です。

このお話が生まれるきっかけを下さったうかさん(詳細はこちらの「後書き」に綴っております)が、今度は何と…
お話に合わせた絵を描いて下さいました…!!

涙が出る程嬉しいです(;;)
うかさん、ありがとうございました…!!

その素敵なイラストを2枚差し挟んで、お話を再UP致しました。
拙いお話が、素晴らしい絵のお陰で高みに昇ることが出来た、この作品世界を、皆様に味わっていただけたら、幸いです。

追記:他にも「秘密」イラスト等が見られる、うかさんのブログはこちらです。




※清水先生の作品とは、関係ございません。


オリジナルストーリー

「香気」






それは、すれ違いざまだった。

薪の鼻腔を掠めたのは、ほんの一瞬。
だが、薪の記憶を呼び起こすには、それで充分だった。





「やっぱり、ここに居たか」

「・・・何しに来たんだ」
振り返りもせず、薪は言う。
部屋に入ってきたのが誰なのか、最初から気配だけで分かっていた。

端末の前に座るシャツ姿の華奢な身体、画面に向かう小さな頭を背後から見つめ、鈴木は苦笑する。
そして。
「電話しても電源は切られてるし。大方、一人残業だろうと来てみたら、案の定だ」
そう言って、肩をすくめた。

薪の肩が、小さなため息と共に揺れ、その手がシステムを操作し、画面が停止した。
椅子と共に、薪はくるりと振り返る。

こちらを覗き込む、穏やかな瞳と目が合う。
シンプルなブラックスーツが、長身で均整の取れた鈴木の体躯に、良く似合っていた。

「・・・・・・」
しばし、無言のまま相手を見つめる薪の様子に、鈴木がやや首をかしげる。
「何だ?」
鈴木に問われ、薪は瞬きをし、それから目をそらす。
「いや・・・珍しいと思って。お前、香水なんて付ける事があるんだな」
「あ? ああ、分かるか。今日は結婚式に行ってきたから。無骨な職場とは違うからな」

言いながら、鈴木は上着を脱いだ。
目の前で、鈴木の上着がはらりと揺れ、鈴木が付けていたフレグランスの香りが立ち昇る。
控えめに付けられたそれは、強く香るわけではない。
けれど、敏感な薪の鼻腔は、その繊細な香りを捉え、記憶に刻み付けた。

鈴木は、上着を傍らの椅子の背に掛けると、改めて、薪の前にある画面を覗き込んだ。
「・・・成る程。これが引っ掛かったわけだ」

鈴木は立ったまま長身を屈め、片手をアゴに当て、画面を見つめている。
端末と鈴木の身体の間の狭い空間で、薪の身体は、鈴木の身体に椅子ごとスッポリ覆われたようになっている。


「香気」1

「香気」1


捜査の際には、こういった配置になるのは、よく有る事だ。
シャツの袖に覆われた鈴木の腕、アゴに当てられた大きな手、画面に見入る真剣な瞳が、薪の視界に入った。

「お前は帰れ」
唐突に、薪は言った。
鈴木は目を見開き、身体を起こして薪を見下ろす。

「お前、今日は休みの筈だろう。皆も、もう帰した。これは解決済みの事件だ。ただ、僕が少々気になる点が有ってチェックしていたに過ぎない」
そう言って、薪は鈴木に背を向ける。

「大体・・・」
薪は、言葉を繋ぐ。
「大体お前、二次会に出る予定じゃなかったのか? 無骨な職場とは違うんだ。気になる相手は居なかったのか?」

「・・・・・・」
薪の言葉に、鈴木は束の間、薪の背を見つめると、言った。
「あのな、薪。誤解が有るようだが、結婚式の二次会っていうのは、純粋に、友人達で改めて新郎新婦のめでたき日を祝い、交流と親睦を深める場だぞ。少なくとも・・・」

「性交相手を物色する場では無い、と?」

薪は振り返り、鈴木を見上げる。
天井のライトが反射したのか、薪の瞳が、きらりと光った。

「・・・・・・」
その瞳を見つめるうちに、鈴木は、こらえきれずに吹き出した。
「ぷっ・・・! ククッ・・・ハハハッ!」
「ハハ・・・」
鈴木の笑い声に、薪の笑い声も重なる。

そう・・・あれはもう、何年前になるか。
失礼な奴だと思った。
そのハッキリとした苦言に戸惑った。
互いに、忘れる事は無い・・・あの日。

薪は、椅子ごと鈴木の方を向き、下を向いて笑い。
鈴木は、立ったまま背後のデスクにもたれ、片手で額を抱えて笑っていた。

やがて静まると、鈴木は言った。
「ま、実のところは、出会いの場という面も有るさ。独身男女が顔を揃えるんだからな。けどオレは・・・今は、簡単に誰かと付き合おうとか、そういった気持ちは持てない」
話し始めた鈴木を、薪は、黙って見つめる。

「何ていうか・・・付き合うとしたら、真剣に考えたいっていうか。新郎とは、学生時代からの付き合いだけど。今日、彼らを見てさ、思ったんだよ。ホントに幸せそうだなって。初めて・・・結婚てものを意識したよ」
「・・・・・・」
鈴木を見上げていた薪の視線が、徐々に、下に降りていく。

そんな薪の様子には気付かぬまま、鈴木は、話を続ける。
「まあでも。そう言ったって、しばらくは先の話になるだろうけどな。どこの親だって、第九職員に娘を嫁がせたくはないだろうし。大体、残業残業で、この仕事をしてちゃ・・・」
「そんな事は無いだろう」
話をさえぎった薪を、鈴木は見下ろす。

薪は、下を向いたまま。
「お前なら、きっと。いくらだって・・・」
言葉はそこで途切れ、束の間、沈黙が流れる。

やがて、薪の耳に、声が届いた。
「オレは・・・」
鈴木の、声が。

「オレは別に、この状況が嫌だって言ってるんじゃないんだぜ。MRI捜査に対する世間の偏見がいくら強くても、オレは、この仕事を誇りを持ってやってる。将来いつか結婚するとしても、今はまだ、この仕事に向き合えればそれでいい。それに」
鈴木は、言葉を継いだ。

「守りたい人間は、一人居れば充分だ」

「?・・・」
最後の言葉に、薪が怪訝な表情で顔を上げると、自分を見つめる瞳と、目が合った。

鈴木のその静かな表情からは。
笑っているのか、怒っているのか・・・薪には感情が読み取れない。

「すず・・・」
薪が口を開き掛けると、鈴木は、薪の顔を覗き込み。

「本当に。今は、跳ねっ返りのお姫様一人に仕えるだけで精一杯だ」
そう言って、ニッコリと、笑った。

「な・・・!?」
薪が、眉根を寄せ、思わず立ち上がる。

「何を言ってる・・・! お前は昔からそうだ。人のことを姫だとか何だとか。大の男を掴まえて。馬鹿じゃないのか!?」
「これは大変失礼を致しました。姫ではなく、室長殿。部下として忠誠を尽くしたいと存じます」
微笑んだまま、鈴木は片手を胸に当て、かしずくような仕草を見せる。
「お前っ・・・!」
睨み付ける薪をよそに、鈴木は傍らの椅子を引き寄せると、そこに座り、端末に向かう。

「では室長、お手伝いします。オレは、この2カ月分をチェックすればいいか?」
「だから、帰れと言ったろう! 飲んできた人間に仕事をさせる気は無い」
「乾杯の1杯だけだ。後は飲んでないさ」
「それでも・・・!」
「お前が仕事を終えてたら、一緒に飲もうと思ってたからな。それで電話したんだ。これが終わったら付き合ってもらうからな」
「・・・・・・」

画面に向かい、既に仕事モードに入っている鈴木の横顔を見つめ、薪は、ふっ・・・と、ため息を付く。
それから。
薪も隣りの端末に向かい、椅子に座り直した。

傍らから、微かに・・・鈴木の匂いがした。
僅かに残るフレグランスと、いつもの鈴木の匂いが混じり合った、その香りは。

他のどこにも無い、世界でただ一つの、匂いだった。





そう。
たった今、通りですれ違った男性の、あの香りは。
鈴木が付けていた香水と、同じ物だった。

けれど、付けていた物は同じでも、混じり合った匂いが違う。
もう・・・あの匂いを嗅ぐことは無い・・・

「薪さん。・・・薪さん?」
その声に、薪は、我に返った。

「で・・・どうします?」
「・・・・・・」
無言の薪に、青木は、頭を抱えて言う。
「今の・・・聞いてくれてましたか?」

・・・聞いていなかったようだ。

夕方の街中。
二人並んで通りを歩いていた最中。
薪がふと足を止め、後ろを振り返り向き直る、ほんの数秒。


「香気」2

「香気」2


その間に、薪が何かを思い巡らし、話を聞いていないのは、よく有る事だ。
きっと、たった数秒の間に、膨大な量の何かが薪の頭の中をよぎっているのだろう。

「オレ、何が食べたいですか? って、聞いたんですけど」
「何でもいい」
即答しながら、薪は、さっさと歩き始めた。
自分で足を止めながら、すぐに先に行く。
そんな薪に早足で、青木は追い並ぶ。

唐突に、薪が再び足を止めた。
青木も止まり、薪を見やる。

薪は、青木の二の腕から胸の辺りを見ている・・・ように、青木には見えた。
だが実際は、薪は、見ていたのではなかった。
小さく深呼吸し、青木の匂いを吸い込んでいた。

傍らに居る、その人の香りを。

「まき・・・さん?」
青木が呼び掛けると、薪はまた唐突に、歩き始めた。
青木も並び、薪に話し掛ける。

「オレ、今日は中華が食べたいんですよね。薪さんも気に入ってるあの店。あそこなら油っこくないですし。いいですか?」
「前のように、いきなりラーメンを頼むような、芸の無い注文の仕方はやめろよ」
「ええ!? 中華で麺類は基本でしょう!」

歩く二人の背が、夕闇に溶け込んで行った。





香気 終






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コメント

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

〇1/10に鍵拍手コメント下さったAさま

こんにちは。
早速のコメント、ありがとうございました!
お返事が遅くなりまして、すみませんでしたm(_ _)m

素敵なお言葉の数々、ありがとうございました!
鈴木さん大好きなAさんにこういった感想をいただき、とてもとても嬉しかったです。

渡せなかったのは薪さんを守る為だった…そういう解釈も出来ますよね。鈴木さんたら…(;;)

私も薪さんは花の香りに近いと思っております!
イメージするのはジャスミンの香りです(フリージアと似てますね^^)
シャンプーやボディソープ等は、ライムのようなシトラス系の香りの物を使っていて最初はそういった香りがするのだけれど、時間が立つと薪さん本来のジャスミンのような香りが強くなってくる…というイメージです。

鈴木さんもきっと爽やかな香りですよね☆

青木は日向の匂い!これも私のイメージと一緒です!(^^)
人をホッとさせる穏やかな香りですよね。

ニンニク臭くなりそう…そうですね(笑)

■ 

こんにちは。
 これ、以前読んだ時にも素敵なお話だと思いましたが、今回こうして美しいイラストとともに読み返すとまた一段とイメージが鮮明になりますね。
  香りは記憶を思い起こさせることがあります。それが少しせつなく、でも、今はそれが薪さんを苦しめるものでなく大切な思い出になっているのでしょうね。
 そして「性交相手を…」という、あのインパクトのある懐かしい台詞がでてくるところ、最後の青木との掛け合いが楽しいです。
 かのんさんの素敵なお話とucaさんの繊細で美しいイラストがぴったりあっていてうっとりします。このまま、薄い本にして印刷して頂きたいです~。

■ 潮音さま

〇潮音さま

潮音さん、こんにちは。
コメントありがとうございます!

>  これ、以前読んだ時にも素敵なお話だと思いましたが、今回こうして美しいイラストとともに読み返すとまた一段とイメージが鮮明になりますね。

改めて読み返していただき、とても嬉しいです(*^^*)
イラストの力って凄いですね。SSの世界が広がる気がします。

>   香りは記憶を思い起こさせることがあります。それが少しせつなく、でも、今はそれが薪さんを苦しめるものでなく大切な思い出になっているのでしょうね。

あああ…そうそう、そうだと思います(;;)
本編連載中、鈴木さんの思い出は、薪さんにとってずっと自分を苦しめる物でした。
でも鈴木さんは、きっと自分に関する思い出が薪さんを苦しめる事は望んでいなかったでしょう…
今はきっと…「大切な思い出」そうなっていると思いますし、思いたいです…!

>  そして「性交相手を…」という、あのインパクトのある懐かしい台詞がでてくるところ、最後の青木との掛け合いが楽しいです。

ありがとうございます。
あのセリフ、本当にインパクト有りましたよね。
記憶に残る名言です(^^)

>  かのんさんの素敵なお話とucaさんの繊細で美しいイラストがぴったりあっていてうっとりします。このまま、薄い本にして印刷して頂きたいです~。

元々、うかさんのお陰でお話が生まれ、そして今回こうして美しいイラストを共に掲載する事が出来て、幸せです。
自分にとっても素晴らしい経験ですし、またこうして記事を目にする方にも喜んでいただけるのであれば、何より嬉しいです。
嬉しい素敵な感想をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
どうもありがとうございました!

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