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Author:かのん
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基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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メロディ2015年6月号
「秘密 THE TOP SECRET season0 OLIGINAL SIN ACT.6」

レビュー2:歪み




今回の事件は、1年掛けて、全6回。
計約400頁で描かれた。

その中に、ぎっしりと詰まった、事件の概要。
全てが明らかにされた今、改めて、流れを整理してみたいと思う。






タジクは、カザフスタンの遊牧民の中でも、特に貧しい地域に住む部族に生まれた。
兄弟と思って育った子羊を、素材として取り上げられ、料理して皆で食べる。
そんな思いを味わいながら育った。

タジクは、幼い頃から妹と共に、キャットフードの缶詰工場で働いた。
貧しさゆえに、病気がちな妹に食べさせようと、工場の商品を盗んだ。
そんなタジクを庇い、罪をかぶった同じ部族のサビーナは、他の従業員から日常的に暴行を受けるようになり、鼓膜に傷を負い、聴覚障害が残る事となる。

サビーナが自分の身代わりに暴行を受ける姿を見る事は、タジクにとって、耐え難かっただろう。
出来る事なら、本当は自分だと、告白したかったかもしれない。
けれど、自分が名乗り出れば、自分だけでなく、妹も迫害の対象になるだろう…サビーナが受ける暴行を、妹も受けるだろう…そう思ったら、黙って見ているしか無かったのではないだろうか。

タジクは、サビーナに、ずっと恩を感じていた。
自分と、自分の妹を、身を挺して守ってくれた…その為に、障害と共に生きる事になった女性。
もしかしたら、恋情に近い物すら、抱いていたかもしれない。

そして…成長する彼らを襲ったのは、異常に発生率の高い、ガンだった。
それは、旧ソ連時代にこの地で行なわれた、500回にも及ぶ、核実験の影響である事は明らかだ。
しかも、実験を行った政府は、あえてその土地に住む住人に何も知らせなかった。
あえて知らせず、避難もさせず、実験で被爆した人間への影響のデータを取る為に…

彼らの故郷は汚染され、生まれた子供達は、ガンにかかり、幼くして死んでいく。
タジクの妹も、9歳で亡くなった。
サビーナもガンを患い、生まれた一人娘は4歳で水頭症で亡くなる。
共に、国の卑劣な仕打ちに、愛する者を奪われた者同士としての、絆を持つようになる。

それにも関わらず、ロシア政府はシラを切る。
ロシアのポトノフ外相は、ガン発生率の高さは、実験の影響では無いと言い切る。
そして、汚染されたその土地を、ロシアの放射性廃棄物最終処分場にする事を求め、カザフスタンのアリエフ大統領も合意した。
ロシアのカザフスタンへの原子力技術開発の無償援助を見返りに…

タジクは、ヨーロッパに渡って料理人としての腕を磨き、日本で高級レストランを開いた。
一方、サビーナも日本で帰化し、沙羅の名で川谷寿明に近付く。
そして父親である川谷雅人衆議院議員も彼女を気に入り、沙羅は議員の秘書となる。

沙羅は、日本で働いているうちに、たまたま寿明の存在を知ったのか。
それとも、最初から、幼くして亡くなった娘の復讐の為に生き、カザフスタンやロシアの政府関係者に近付ける者を探していたのか。
議員の秘書になる程なのだから、言葉が出来るだけではなく、頭も良く、また、相当な努力をしてきたのだろう。

ちなみに、川谷議員は、「秘密」過去編で明らかにされた組織「プレミアム」に所属している特権階級であり、大学生だった薪さんとも対面している。

議員の息子の寿明は、その地位を利用し、放蕩三昧の生活をしていた。
悪事を働いても、証拠が見つからなければ揉み消せる…そう信じていた。

タジクは、問題が起こってから沙羅に助けを求められたのか、それとも、最初は腕の良いシェフとして出入りするようになったのかは分からないが、沙羅に紹介され、寿明らに食事を提供しながら、殺人の後始末を担うようになった。

寿明は、明るみに出ている4人の女性達の殺人を自供したが、実はそれ以前から、ドラッグを常用し、女性達に暴力を振るい、年端の行かない少女すら殺してしまうような男だった。
タジクにとって、大切な人間である沙羅が目の前で寿明に暴力を振るわれながら、自分がそれを救えない事に、さぞ悔しい思いをしていただろう。

そんな寿明と縁を切れと沙羅にタジクは忠告するが、沙羅は、復讐を終えるまでは、別れる事も、その罪を訴える事もせず、寿明を助け、議員の秘書で有り続けたいと耐える。

そんな病んだ状況で、タジクが自分に出来る事は、沙羅の望みに応じて遺体を片付ける事、そして、寿明を食事を通じて死に至る病気にさせる事だった。
つまりは…ゆるやかに少しずつ毒を盛るようなものだ。
まるで、天罰を下すかの如く…

沙羅がその事を知っていて、自分は寿明の家で提供される食事に手を付けないようにしていたのか、それとも、タジクは沙羅に黙って、沙羅がその場に居ない時などを見計らって、病気に侵される食事を提供していたのかは、分からない。

寿明は、暴力団系風俗店で性的サービスを強要されていた、人身売買の被害者とも言える女性達のパトロンとなっていた。
やがて、寿明と共に食事をしていた女性達三人は、次々とクロイツフェルト・ヤコブ病を発症する。
マヒ等の症状を見せ始めた彼女達の対処に困り、寿明は彼女達を殺害する。

囲っていた女性達が手に負えない病に掛かったら…パトロンを止め、手切れ金等を渡して縁を切れば良かったのではという気もするが(それも相当酷い事ではあるが)殺す以外の縁の切り方を、寿明は知らなかったのだろうか。
あるいは、彼女達が出て行ったら、寿明がこれまでにしてきた悪事の数々や、あの家で病気に掛かったといった事を世間に暴露されるかもしれないという、懸念も有ったのかもしれない。

そして彼女達の遺体の始末を、寿明は全て沙羅を通じてタジクに依頼する。
復讐を終えるまでは今の立場を死守したい沙羅は、タジクに懇願し、タジクもそれに応えた。
病気のせいで手に負えなくなり、寿明は彼女達を殺し、また、寿明が殺さなくても、彼女達はやがて病気で死に至っただろう…そして、そもそもその病気の原因は、タジクがもたらした物なのだが。

タジクは、遺体を養豚場に持ち込み、全て豚に食べさせた。
証拠は全く無い筈だった。
だが、彼女達の失踪を不審に思った、被害者ガリーナの妹ユリアは、独自に姉を探し、タジクのレストランの生ゴミから、姉のピアス、血液の付いた衣服の切れ端、毛髪、歯を見つけ出し、警察に届け出た。

彼女達の失踪は、ほとんど家族も持たないパスポートも持たない不法入国者である事から、届け出も受理されず、失踪した三人の女性のうち、唯一身内が日本に居た、ガリーナの捜索願いの届け出についても、捜索活動は取られなかった。

その為、ユリアは単独で、無断でレストランのゴミ集積所から証拠を入手した。
正規の捜査では無かった為、見つけた物は証拠能力が無く、起訴に持ち込めない。
必死で姉の行方を追っていたユリヤは、警察に接触した事から、寿明自身か、あるいはその指令によって動いた実行犯に襲われて入院した。

この事を知った薪さんは、何とかせねばと、この事件に乗り出す。
…その様子を見て、タジクは、かつて自分を庇った沙羅の姿を思い出すのだ。

ひとまず、ここまで。

ここでやっと、薪さんとタジクが初めて対面する、あの場面に到達する。
ここに至るまでの背景の、何と言う濃密さだろう。

終わりの無い貧困。
幼い子供達が労働力を担う問題。
裕福な者との格差。
容赦の無いリンチ。

地域住民に知らされずに行なわれた、人道を無視した核実験。
その影響による、後々の世代にまで受け継がれる病気。
放射性廃棄物と、その処分場の問題。
そんな犠牲を払って、なお続く原子力開発。

特権階級の悪行と隠ぺい体質。
ドラッグの蔓延。
女性への暴行や殺人。
暴力団の存在。

人身売買の餌食になる女性達。
不法入国故に、病気になっても、行方不明になっても、守られない人々。
腰の重い司法行政……

多種多様な問題。
社会の病理が、凝縮されている。

拘置所の独房で、タジクが見ていた幻影。
一瞬、タジクもヤコブ病に掛かっているかのように思えた。
だが…きっと、そうでは無いのだろう。

タジクが見ていたのは、幻影では無い。
タジクがこれまでに見てきた、歪んだ現実社会そのものなのだ。

タジクは言った。
『もう「人間」を食べるしかないんじゃないか…』

タジクが見てきたのは、弱肉強食の世界。
弱い者が、弱い国が、強い者に食いつぶされていく。
弱い者は、抵抗する術も無い。

そう…まるで、か弱い子羊が人間の餌食となるかのように。





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