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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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メロディ2015年12月号「秘密 THE TOP SECRET season0 可視光線 ACT.2」

レビュー1:桜木の罪と罰



自分は、家族の誰にも、似ていなかった。

兄や姉にそのことをからかわれ、自分でも、その自覚が有った。
だから、何も言い返せなかった。

だが、母だけは違った。
母の言葉に、抱き締めてくれるその腕に、自分は確かに母の子なのだと、そして、地位の高い曽祖父の血を引いているのだと。
そう…思えた。

だから、頑張れた。
家族の中で浮く外見に、不自由な目。
コンプレックスを跳ね返し、上を目指した。
自分は、トップに立つのだ。

限りなく優しく美しい母。
その母の愛に応える為にも……




桜木の気持ちを思うと、やるせない…

桜木の母は、息子に対して、愛情と共に、負い目も有ったのだろう。
あの時。
歩いて帰ろう等と思わず、駅で待っていたら。
家族に連絡が繋がるまで、そこに留まっていたら。

もちろん彼女は、何も悪くない。
ただ、家路を急いでいただけで、犯罪に遭遇した。
それでも彼女は、子供が出来た時、自分を責めただろう。
終わらない負い目を背負ったのだろう。
夫に対して。
何より、生まれてくる子供自身に対して。

父親の違う子を生んだ。
夫は気付いていたのかもしれない。
「気の配り方はお父さんにそっくり」そう言った彼女は。
気付きながら気を配っていた、夫の態度を見抜いていたのかもしれない。

かつて市長も務めた家。
醜聞を嫌ったということも有るのかもしれないが。
自分の息子として育てることを許した父は、どんな思いだったのか。

「友達の気持ちがよくわからない」「トラブルが多い」
その原因は、桜木の特殊な目によるものだったのだろう。
人の顔の表情が分からない。
だから、相手の気持ちも分からない。

それまでに健康診断等で、周囲が桜木の目の症状に気付かなかったのか?とも思うが。
それでなくても家族の中で浮いた容姿を気にしていた桜木は、更に目が見えないと知られるのを避け、視力の健康診査も何とかして通っていたのだろうか。

愛する母の表情さえ、きちんと見えていなかった桜木。
それでも、触れられ抱き締められて、愛されていると感じていた。

家族の誰よりも母を大事にし、母が病気となれば、東京に呼び寄せた。
兄や姉が母を見舞わなくても、その兄姉の名で花を贈り続けた。

鬼瓦と呼ばれる程に、がむしゃらに上を目指し。
まさにトップを行かんとしていた。

けれど、その行く手は阻まれた。

かつて、薪さんは言った。
「総ての行いは、ご自分へと還っていきます」

そう。
桜木も、過去の自分の行いが、還ってきたのだ。

「見えてないんじゃないか?」
自分のコンプレックスを刺激され、そんなことは無いと。
自分は役に立つのだと。
そんな思いで、虚偽の証言をした。
(と、今の段階では思われる。まだ、確定されてはいないが)

それが…自分に還ってきた。

以前、テレビ番組で報道されていた。
事件に遭遇した際、咄嗟のことで相手の顔を見ていない、あるいは見ても覚えていない被害者も多い。
けれど、何とか役に立ちたいという心理から、つい、嘘の目撃証言をしてしまう。
嘘だという自覚すら無く、本当に見たと思い込む人も居る。
その挙句、全くの別人が逮捕され、後に真犯人が見つかった事件も有ると。

一般の、成人した被害者達にでさえ、そんな心理が働くことも有るのだ。
まして、コンプレックスを抱えた、まだ少年だった桜木は。
自分のその証言が、無実の人や、その家族の人生を狂わせるという、そんな大事になるとまでは、思い至らなかっただろう。
凶器が関口の物だったという記事の写真が、脳裏をよぎり。
自分はちゃんと見えていた、自分は役に立つ人間だ…それを立証したくて、目撃を断言した。

もし関口が冤罪だったとしても、その責任を当時10歳の少年に背負わせてしまうのは、酷かもしれない。
警察は、一人の証言だけでなく、様々な証拠を集めるべきであったし。
薪さんが言ったように、犯人逮捕を急ぐ警察が、桜木に「そう思いこませたりする事」が、有ったのかもしれない。
それでも、桜木の目撃証言が、有罪判決の決め手となってしまったことは、事実だ。

…けれど、本当に見えていたのか?
薪さんは疑問を持った。

薪さんが抱いた疑問を、犯人とされた関口の家族も、抱いたに違いない。
たった一人生き残った、関口の家族。
桜木より5歳年下の、関口の長男。

無理心中から逃れて20年以上を経て、彼は、復讐の機会を持ったのだろう。
桜木に、一番思い知らせるには、どうすれば良いのか。
自分が、桜木の証言によって、大切な家族を失ったように。
桜木も、証言したその時のように裸眼で見た相手を、自らの手で死に追いやり、それが大切な人間であると後から気付くように仕向ける。

桜木にとって、一番大切な相手…母親は、既に病床に伏している。
他に親しい友人や恋人が居るような様子も無い。
そこに…婚約者の存在が浮かび上がった。
彼には、それが千載一遇の好機に見えたことだろう。

婚約者の由花里を狙っていると思わせておいて。
長い黒髪に同じワンピースを着た自分を桜木に印象付ける。
…普通に考えたら、いつも同じ姿というのは不自然だ。
それは、素の姿を相手に晒さない為の、変装に違いないと思う筈。

それでもあえて、犯人は、彼は、桜木にその姿を見せ続けた。
桜木が、眼鏡を外してしまえば、顔など判別出来ないと…確信して。

もしかしたら、それは、彼の賭けでもあったかもしれない。
由花里が誘拐され、犯人が晒した姿と同じ服装にされ、桜木の前に飛び出す。
桜木が、裸眼でもそれに気付き、由花里を保護しようとしたなら。
彼の、関口の長男の復讐は、必要無かったことになる。
本当に父が犯人だったのだと、諦められるだろう。

でも、もし。
桜木が本当に見えていなかったとしたら、復讐は完遂される。
桜木自ら、由花里を撃った、その瞬間に。

桜木と犯人が対峙し、変装させられた由花里が現れるまで。
どういったやりとりが有ったのかは、まだ分からない。
由花里の他にも撃たれていた男というのは、由花里を誘拐した犯人、たぶん、関口の長男だろう。
彼は、何故撃たれたのか。
過去の事件を桜木に思い起こさせるよう、何らかの形で、桜木を追い詰めたのか。
それとも、桜木の眼鏡を外させる為、桜木に近付いて撃たれたのか。

いずれにせよ。
自らの命を賭して、復讐を遂げたことになる。

他にもまだ、疑問はいくつか残っている。

桜木は過去に虚偽の証言をしたというのが真相だとは思うが、本当にそうだったのか。
虚偽だとしたら、その証言による一家の末路を、桜木はどう思っていたのか。
桜木は、自らの出生の秘密を知っていたのか。
その秘密の犯人が永江であることも知った上で、永江の最後の映像を見ることになったのか。
何故、同期の薪さんを最初からライバル視していたのか。

そして…桜木は、暴行犯である永江の子だと思われるように描かれているが。
本当に、永江の子であるのか。

これまでの流れだと、桜木は永江の子であり、特殊な目も永江の遺伝のように描かれている。
だが、薪さんはまだ「永江とは接点が無く自然発生した可能性もある」と言っている。
まだ、今までの流れは全てミスリードで、桜木は本当に桜木家の子だという可能性も有るのだ。

もしそうだとしたら、そして桜木自身が、自分は暴行犯の子だと思い込んでいたとしたら。
必要の無いコンプレックスを背負って生きてきたことになる。
それもそれで、悲しい。

自然発生する確率が50万人に1人というこの症状が、永江に暴行された後で妊娠した子に偶然発生するとも思い難いので、やはり、桜木は永江の子だという説の方が有力な気もするが。

永江の子だったとしても。
桜木家の血を引いていたとしても。
いずれにせよ、桜木が抱えてきた物を思うと、不憫だ。

だが、だからと言って。
もしあの時、本当に見えていないにも関わらず目撃証言をしたとしたら、それは大きな罪であるし。
たとえ人違いだったとしても、人を撃ったこと、その罪も消えない。

桜木が、愛する由花里を故意に撃つ筈は無い。
だが…桜木は自分が見えていなかったことを、特殊な目を持つことを。
もしかしたら、自ら否定するかもしれない。
目の異常が確定されれば、それが永江と同じ特殊な物であること、更には母がその永江に襲われた過去を掘り返してしまうからと…
だから自分は見えていたと。

また…虚偽の証言をするかもしれない。

それによって、今度は自分の発砲事件が有罪になることを、承知の上で。
見えていなかったと認めれば、情状酌量され、罪が軽くなるかもしれない状況で。




少年時代に。
「見た」と言った、その一言が。

一つの家族の未来を狂わせ。
やがて自分の家族や、由花里やその家族の未来をも狂わせる…

たった一言が。
その先を大きく左右する…その重さ。

「あの時、こうしていれば」
「あの時、ああしていなければ」

当の本人には、長い人生の中で、忘れ去るような些細な出来事かもしれない。
だが、それが他人の人生を変えていく…その重さを忘れてはいけない。
そしてそれは、必ず、自分に還ってくるのだと。

「秘密」という作品の中で、繰り返し…思い知らされるのだ。






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